第34話 口下手で直球
金曜の時点で内示はあったのだが、
今日の午後になって正式に辞令らしきものが出た。
特に今までとなんら変わることはないのだが、少しだけ責任が重くなった。
ロンドンに赴任したお世話になった課長さんにメールでその件を報告した。
と、3時頃になってロンドンから電話が入る。(ロンドンは朝だ)
「(メールを)見たよ見たよ。よかったな よかったな よかったな!」
少し涙声になっている。電話の向こうで目をうるうるさせて話している課長さんの顔が浮かんだ。
「いろんな価値観があるんだから、自分の思うようにやれよ。上手く言えないんだけどさ、○○ちゃんは○○ちゃんでいいんだよ。とにかくよかったな。なんて言えばわかんないけどさ、よかったなよかったな。」
感激のあまり、言葉は意味をなしていなかったが、
言葉なんかをはるかに越えて、気持ちはダイレクトに伝わってきた。
嬉しかった。
わざわざロンドンから「よかったな」と言うためだけに朝イチで電話してきてくれているのだ。
「がんばれ。がんばれよ。」
としつこいぐらいに繰り返して電話は切れた。
口下手で直球。そういう人なのだ。
だが、そういう電話をくれる人がいてくれることを、本当に幸せに思う。
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