第19話 朝の電話

自宅に戻っていたら、今朝7時半ごろケータイが鳴る。


こんな時間にかけてくる奴はひとりしかいない。


出るとやはり、、、ケンゾーだ。



「今日暇でしょ。昼メシでも食わない?」



「今、茨城の自宅なんだけど。」



「あ、そう。じゃ、何時に来れる?」



まったく人の都合など無視なのである。



ケンゾーの中では、もう僕が行くことになっているんである。



「3時頃には都内に着くと思うよ」



と言うと、



「あ、そう。じゃ1時に東京駅にいるよ。」






3時着の予定が強引に1時着に変更されてしまったので、


慌しく朝食。着替えて、近くのモールに向かう。


目的はタオル。タオルを買い替えようと思っているのだが、ユニクロのをお試しで買ってみたかった。


自宅のタオルは、ブラウン、ベージュ、カーキの各色の無地のものしか置いていない。重ねて収納したときに、この色目だと、綺麗なグラデーションが出来上がる。


モールのユニクロにてタオル探す。ブラウンを1枚買う。夏物のジャケットでなんちゃらの涼しい加工がしてある新素材のものがあったので、ついでにそれも買う。何も考えずに買っても、値段はたかが知れている。


モールから直接バスターミナルに向かい、来たバスに飛び乗る。


1時きっかりに東京駅着。


ケンゾーに電話する。(ケンゾーはケータイのメールが打てない)


丸の内付近か八重洲付近でシャンパンかなと僕は考えていたのだが、


ケンゾーはタクシー乗り場へ向かう。


聞くと「らいおん」 と答える。



暑かったのでビールが飲みたいらしい。わがままなので仕方ない。


銀座7丁目のライオンまでタクシーを飛ばす。




ビールを飲んで一息ついてから




「で、なんで今日急に暇になったの?」



と聞くと




「今日、父の日でしょ。何もいらないって言ったら、1日暇をくれたんだ。でも3時が門限なの。」



だと言う。



「じゃ、ローストビーフ食べれないじゃん。」



と言うと 「あ!」 と言って慌てる。



銀座ライオン7丁目店名物のローストビーフ(絶品)は日曜は3時の焼き上がりである。



「ちょっと、時間延長してもらう。ローストビーフ先に頼んどいて。」



と電話をかけに行くケンゾー。





大きなビールを数杯と、ソーセージ、ニシンの酢漬けとお目当てのローストビーフを食べ、



「じゃ、門限だから。」



といってケンゾーは帰っていった。





とんだ父の日のとばっちりだな と思いつつ、今はペプシのブルーハワイを飲んでいる。






という訳で今日は 日曜の7時半なんて普通の人寝てるよ! というお話でした。

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