第8話 海での鉄則の話
普段はあまりないのですが、
ダイビングをしていると、稀に道に迷うことがあります。
「海中の正確な地図」というものは存在しないため、
ダイビングは事前におおまかな地形図を把握しておき、
潜ったあとは、「コンパス・深度計・時計」だけを頼りに
進む方向を定めます。
水というものは、空気ほど先が見通せるものではない(地上で50m先は見えても、50mプールに入ると向こうの端が見えないのと同じ)ため、海中でのナビゲーションは技術と経験を要します。
しかも海中というのは3次元の世界。前後左右にプラスして「上下」というものも加わります。
コンパスで方向を知り、深度計で上下を知り、時計で(移動した時間を元に)距離を知る のです。
ですが、
海という自然は、時々刻々とその状態を変えてゆきます。
潮の干満よって、全く同じ場所でも、時間帯によって深さが変わることもありますし、深さが変われば当然、水中での地形の見え方も全く変化します。
また、潮流によって、進むべき方向から流されていってしまうこともあります。
よって、
海中で迷う という事態に陥ることが稀にあります。
海中で迷うこと。それは死に直結するとても危険な状態です。
もし迷ってしまった場合には、必ず行うべき
「鉄則」
というものがあります。
それは、
立ち止まって考えること
です。
立ち止まり、いったん冷静になるのです。
前後左右・上下をよく見て、自分の位置をしっかり確認するのです。
これを Stop and Thinking といいます。
自分の位置が確認できれば
進むべき方向がわかります。
そして、
タンク内の空気の残量、残された体力、残された時間
を冷静に計算し
生還するのに最善の方法をとる のです。
さて・・・海ではなく、普段のあなたはどうでしょうか?
何かに迷ったとき、
立ち止まれる勇気がありますか?
冷静に自分の置かれた状況を判断できますか?
残された体力・気力・時間をもとに
最善の方法を考えられますか?
私にはムリ
というのはナシです。
あなたの生き方を決められる人は、
あなたの人生を生きられる人は、
あなたのかわりになる人は、
(あなたの大切な家族を守れる人は、)
あなたしかいないからです。
Stop and Thinking
これが海での鉄則です。
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