第14話 甘すぎる僕のお姉ちゃんとのバスタイム(後編)

「は~い、りくくん、そのまま座っててね~」


 いつの間にか、浴槽から出てきた姉さんが、僕の後ろにいた。


 自らが膝を折った体勢になっているのだろう。


 姉さんの顔が、僕の横にあるのがはっきりと分かる。


 おいおい、これって……!


 後ろから、姉さんに抱かれているような体勢になってませんかね!?


「フンフンフ、フ~ン」


 耳元で囁くような鼻唄が聴こえてきて、身体がビクッと反応する。


 それを悟られたくなくて、必死に我慢するけれどむず痒さがじわじわと蓄積していく。


「じゃあ、まずは身体を洗うよ~」


 そして、姉さんは僕の前に並べられたボディソープのボトルに手を伸ばす。


 結果。


 必然的に姉さんの身体が、僕に密着する体勢になってしまう!


「ふっ、ふわっ!!!!」


 ぽわんっ、と、僕の背中に、とても柔らかい物体が触れた。


「よいしょ、よいしょ~」


 そして、姉さんがボディソープのボトルをブッシュするたびに、その柔らかい物体が押し付けられるように上下に動く。


 な、なんて至福な感触……、じゃなくて!!


 ど、どうするんだ、これ!


「ね、姉さん……」


「ん~? ちょっと待っててね、りくくん~。アワアワ~ってするからね~」


 姉さんは、僕の反応が可笑しいことに全く気付いていない。


 幸い、姉さんの位置は後ろなので、彼女の姿は視界に入らない。


 だが、その甘い声と、なにより僕と触れている箇所が、姉さんの今の姿を想像させて一気に身体の温度が上がってしまう。


 しかし、それだけならまだよかった。


 姉さんが言った、「洗ってあげる」という行為。


 それこそ、額面通りの意味に受け取らなくてはいけなかった。



「は~い、順番に洗っていくからね~」



 順番?


「まずは首から~」


 そう言って、姉さんはボディソープで泡まみれになっている自分の手で、僕の首筋を撫でた。


「ひぃああッ!」


 思わず、我慢していた声が漏れてしまう。


 だが、姉さんには聞こえなかったのか、彼女は撫でるように僕の首筋を何度も撫でた。


 ボディソープのヌルヌルとした感触も相まって、身体が変な反応を起こす。


 なにか、僕はやってはいけないことをやっている気分になってしまう。


「ねっ、姉さん……! だめ……!!」


「ん~? じゃあ、次は腕と脇だね~」


「ひぃ!」


 しかし、姉さんは手を止めてくれるどころか、宣言通りに腕と脇の部分を撫でてきた。


「んっ、んん!!」


 もう、僕は声が漏れないように我慢するだけで精一杯だった。


 特に、脇の部分を優しく撫でられてしまうと、くすぐったさ以上のモノを感じてしまった。


りくくんの身体、綺麗だよ~。あっ、でも昔に比べたら、すっごく男の子って感じになってる! 触ってると分かるよ~」


 ただ一人、姉さんだけはとても楽しそうだ。


 姉さんは、僕の変な反応に全く気が付いていないのか?


 それとも、わざと僕の反応をみて楽しんでる?


 いや、それはさすがに考えすぎで、単に姉さんは僕の成長を喜んでくれているだけだろう。


 だが、次なる一手は、とても許容できるものではなかった。



「さあ、前もしっかり洗うよ~」



 ゆっくりと、姉さんの手が僕の身体の前に出現する。


 そして、僕の胸の回りを、優しく撫でまわす!


「わぁ、りくくん……やっぱり、大きくなってるね」


「ね、ねえ、さん……」


 姉さんの手が円を描くように動く。


 その指先が、僕の敏感になってしまった部分に当たるたびに、震えてしまう。


 そして、姉さんとの距離も、もはや一切の空間もなく完全に密着状態になってしまった。



 姉さんの手。



 姉さんの身体。



 そして、姉さんから発せられる、甘い声と匂い。



 その全てが、僕の身体をおかしくさせてしまう。



「おね、が、い……もう、やめて……」


「それじゃあ、りくくん……」


 僕の胸を撫でまわしていた姉さんの手が、止まった。


 そして――。


 そっと、姉さんの手は、下のほうへと向かって……。



「そこは本当にダメだってばーー!!」



 僕の絶叫が、お風呂場に響いたのだった。


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