第4話 ツンデレな僕の幼なじみとの登校
僕と姉さんの住むマンションは、築10年ほどの10階建てマンションだ。
僕たちの家は503号室なので、1階のエントランスまではエレベーターを使う。
そして、ボタンを押して到着したエレベーターを見ると、窓越しに知っている人物が乗っていることに気が付いた。
相手も僕に気が付いたのか、一瞬だけ目が見開いたような気がした。
しかし、すぐに視線を逸らしたところで、エレベーターの扉が開く。
「……おはよ」
すると、相手のほうから、小さな声で挨拶をしてきた。
両端で髪を結わえているのは中学生時代と変わっていなかったが、着ている制服は、僕の姉さんと赤いブレザー姿だった。
但し、背格好は僕と同じくらいだ。
「ああ、おはよう。
そう言うと、幼なじみである
だが、すぐに僕から視線を逸らして、プイッとそっぽを向いてしまう。
相変わらずというか、
クラスの中では、みんなの中心的存在の
一方、僕はと言うと大人しいタイプの人間であり、明坂たちのようなグループと接する機会など殆どない。
必然、僕と
エレベーターが一階のエントランスに到着すると、後ろにいた
「
「……うん、そうだね」
僕の後ろを歩くようにして、
「だったら……別に、一緒に学校に行くことは、全然不自然じゃないと思わない?」
「思わない? って言われても……」
なんともおかしな問いかけをする
「また中学校のときみたいに一緒に行けばいいんでしょ?
「ちっ、違うわよ!」
ムキになって言い返す
そこまで強く否定しなくても……と思ったが、振り返ってみた
彼女は、超がつくほどの方向音痴である。
小学生のときから好奇心旺盛だった彼女は、何かあるごとに登下校のグループから外れてしまい、迷子になってしまうという事件が日常茶飯事で起こってしまっていた。
まぁ、幸いにも
「だから! 何度も言ってるけど……散歩中に逃げちゃった犬を一緒に捜してたり……、スリの犯人を捕まえようとして追いかけたりして……ああ、もう! とにかく、あたしが迷子になるのは、ちゃんと理由があるんだからね!」
むぅ~、と頬を膨らませる華恋の表情は、僕が出会ったときの
そう、僕と
全く、困った幼なじみである。
「いい! 高校でも、あたしの変な噂は流さないって約束しなさいよ!」
どうやら、
まぁ、誰だって隠したいことの一つや二つ、あって当然だよな。
「分かってるよ。
「……ふん、ちゃんと分かってるみたいね」
切れ長の目は、相変わらず僕を見据えるようにしているが、口角がちょっとだけ上がっていることに気付く。
今日の
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