それから

 しかし、片波は製薬会社の情報を骨を折って集めたこともあり、簡単には諦めきれなかった。独自で会社の闇を解明するしかない。愛用のパソコンは机の隅に置き、誕生日プレゼントで最新型のパソコンを手に入れた。IT情報の技術も学び、片波は薬の情報収集に没頭した。

 それから目新しい情報が乏しくも断続的に調べていた片波に、転機が訪れた。それは、ある製薬会社が販売し始めた視力回復の薬だった。日頃から薬を調べていた片波は当然目に入っていたが、前回の恐ろしさを経験していた以上、レビューや口コミを抜かりなく見定めてから買うようにしていた。それに、販売元の会社名が無名だったのもある。それが数日経ってみると、薬に対するコメントは絶賛の嵐で、テレビに出ているのを見かけるようにもなった。そこまでかと思った片波は、試しに買って服用すると、少しだが視力が日に日に良くなっていった。

 さて、その転機と呼べるものは、片波のふとした疑問からだった。内容、つまり服用事項が、あの忌まわしき薬と同様、一週間間隔だった。これに運命を感じた片波は、すぐに無名会社の情報を調べ始めた。

 高校一年が終わる頃のことだった。あれから気付けば、十一年のときが経っていた。

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