第4話【でも関係なくね?】
二郎がことばを吐き出していた。
「でも関係なくね?」と。
「いい歳ぶっこいた大人がルールを破る。これに制裁を加えるために動画を撮って晒す。で、どこが悪いんだ?」十一郎が疑問系で逆襲する。
「悪くはねえのかもしれねえが気にくわねえな」二郎は言った。
「あ?」
「俺らが自転車専用レーンを走っていてクラクションを鳴らされたとか、そーいうのなら腑に落ちるんだよ。ムカつくからな。けどよ、鉄ヲタが線路の敷地の中で撮ってても、オッサンが線路の敷地の中で犬を散歩させてても結局自己責任だよな?」
「ルールを破ってんだろ」
「破ってるけど何かあったとき死ぬのはアイツらで俺らに迷惑がかかるか? 実際かからねえんだから放っときゃいいだろ」
「ルールを破ったヤツには制裁していいんだよ」
「有意義な使い方だよねー」と十五郎が調子よく相づちをうつ。
(チッ、またか)
「テメーは愉しんでるだけだ」二郎は切り捨てた。
「愉しいなあ。で、なにか悪いのか?」十一郎には開き直られた。
ムカついた。むかついたが効果的な一撃はことばによっては加えられそうもなかった。これ以上なにか言ったら分がもっと悪くなると、二郎はそう悟らざるを得なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます