第51話 俺と勝利の結果

「えっと……」

「ふふ、あなたがクロエ。旦那様とわたくしの子の子。孫であると聞いていますよ。チャーリーのことも、きちんと家族として考えていてくれているようで安堵いたしましたわ。こんないい子を育てるなんて、白花も親の務めを果たせたのですね」

「あー……はは。ま、まあ」


 白花しらはなは俺の母さんだ。

 にこにこ笑みながら話しかけてくる婆さんに、「うちの親は仕事人間で云々、金を出せばいいと思ってる云々」言えねええええええ!! と複雑な気分になりつつもあいまいに笑顔を作り返事を濁す。


 ちらりと俺の肩くらいまでしかない婆さんの頭越しに家族の顔を見ると。ファニーとバルーフは泣きそうな、レオとチャーリーは不思議そうな顔をしていた。うん、仕事人間たってわかんないよね。ネグレクト一歩手前だったって話もバルーフとファニーにしかしてないし。


 ってか「俺の名前は片倉クロエ、あんたの孫です」って言おうと思ってたけど、言いたいこと全部言われちゃったしね!! 他になに言えばいいんだ!? 趣味とか!? お見合いかよ! 頭が痛くなってくる思いであいまいな笑顔のまま。俺は口を開いた。


「……と、とりあえずずっとエントランスにいるのもなんだから、食堂に行こうよ。婆さん。……あ、婆さんって呼び方嫌だったりする?」

「いいえ? かわいい孫に呼ばれるのですもの、なんでも嬉しいわ。リビングじゃなくて食堂なの?」


 少し首を傾げながらも嬉しくて仕方ないと言わんばかりの笑顔のままついてきてくれた婆さんと、そのまわりできゃっきゃとはしゃぎまわるファニー、レオ、バルーフに。うちの家族は天使しかいないのかよ! と心の中で叫んだ。


 さすがにばあさんを見守るように優しい笑みを見せるチャーリーを可愛いというには俺の心の度量が足りなかった。無念(?)。

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