第35話 俺とそれは始まった
次の日の朝。
簡単にスクランブルエッグとウインナー、ハッシュドポテトと4枚切りの食パンで朝食を済ませた後、俺たちはファニーが描いた地図を見ていた。あ、鎖? しまむらのアクセサリ-コーナー覗いたらいい感じのペンダントがあったから、それのペンダントトップを外して爺さんのペンダントトップに付け替えたよ。
それは国会議事堂の地下にあるという、《
問題はチャーリーことゲオルギウスの竜とレオナルドことファイアー・ドレイクをどう助け出すかだ。一応分担は決まった。レオナルドをファニーとバルーフの分身体が、そしてここ重要。
チャーリーを俺とバルーフの本体が奪還することになった。
いいか、耳かっぽじってよく聞けよ、俺。超一般人のこの俺が足手まといになる予感しかないこの俺が! 奪還に向かうってどういうこと!?
いや、別に俺が死ぬのは惜しくないけど変に人質に取られるヘマするんじゃないかとか俺が死んで動揺したファニーとバルーフが国会議事堂吹っ飛ばすんじゃないかとかいろいろ考えちゃうわけで。でもだからといって、言い方は悪いけどファニーを使ってまでバルーフを手に入れようとしていたやつらのところにうちの家族だけで送りだすには勇気がいるわけで。
どどどどどどどどどどどうしようと震えている俺をなに勘違いしたのかバルーフは俺が守ってやるからな、怖くないぞ! と慰めてくれるし、ファニーはファニーでレオのやつ、一度ぶん殴りたかったんだよね! と過去の恨みがあるらしく両手の拳を握って言っている。なんでも昔戦後間もないころに爺さんがようやく家族分と手に入れてきた肉を食べられたらしい。
よし、それは殴っていいぞと俺はGOサインを出した。だからと言って拳をばきばき鳴らさないで! 俺の女の子への淡い夢がもっと儚くなる!
さすがに東京まで言ってると時間がかかるし、だからと言って俺たちが東京までのこのこと行くとなにを理由に拘束されるかわからない。だから、俺の曖昧な記憶の国会議事堂ではなくファニーが覚えているチャーリーがいるという部屋に直接転移することになった。記憶の読み取りの魔法もバルーフは使えるらしく読み取るぞーと軽く言ってからの数秒で読み取っていた。
さすが千の魔法を操るアジ・ダハーカ、邪悪なる竜の血脈! かっこいい! とわざとらしいまでに褒めたたえると、きめ顔で胸を張って自慢そうにしていたから多分気付いてなかったんだと思う。っていうかこいつさりげなく厨二的な表現好きだよな。
穏やかで、晴れやかな春に相応しい日だった。
『片倉クロエによる家族奪還計画』は開始された。それがのちに『片倉クロエの《
ついでに、このことによって国家反逆罪としてクロエを逮捕しようとした国だったが。記者にそれを発表したところどういうことをして国家反逆になったのかを説明できず、記者たちからは総スカンされて。
結局警察も理由が不明のままではと逮捕状も出せずに《
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