第18話 俺と買物

「いやー、買い物したね」

「おれたちのころは買ったものは自分で持ち帰らねばならなかったのに、いまの世は違うんだな! たくはい? なんてものがあるとは驚いた!」

「ベッドとかソファーとかそれぞれの部屋のものも大物ばっか買ったからね。小物はおいおい自分たちで何とかしてもらうとして。服とか食材も結構大量に買い込んだからねー、俺たちじゃ持てないよ」

「おれの魔法を使えば……」

「そしたらお店の人驚くからやめようね。もしやったら……こわーい目にあうよ」

「こ、こわい目!? ど、どんな目に合うんだ!?」

「ふっは、……さあ? 俺はあったことないから知らないなあ」


 自慢げに腰に手を当てて胸を張り魔法を使えば持っていける! と自慢しようとしたバルーフだったが、そんなことをすれば当然店側も驚きどころか大問題になること必須なので。こわい目にあうぞと声を潜めてあえてぼかして言えば、若干青ざめて震えながら俺の服の裾を掴んできた。かわいいところもあるんだなと思いつつも先ほどの服選びは大変だった。


 なにせこいつ、足は長い癖にウエストが極細だからちゃんと食べてるのかと心配されたりサイズは合わないしで結局ゴムのジーパン風の生地のズボンとか黒で似たようなズボンを数点、あとは服を50着くらい買って……といっても全部がバルーフのものってわけじゃない。

 ときおりかごに入っている女物の服に「なにこれ?」「これはファニーが好きそうだから」とか明らかにバルーフにはサイズの合わない大きい男物の服同じ奴数着をかごに入れては「レオナルドの分だ! あいつはすぐ服を燃やすからな!」とか言っていた。すぐ服を燃やすやつってどんなだよ怖いわ。


 結局かごに山どころではない、ツリーかよってくらいに服を積んだ俺たちに、会計の人も唖然としていて3人がかりで対応してくれた。服って積み上げるとあんなに重いんだねと新しい発見をして遠い目をした俺にレジの男の店員が「住所と名前、連絡先などを頂ければ宅配できますが……」と言ってくれたのは嬉しい誤算だった。

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