第14話 俺と片付け
なーんて考えていた時が俺にもありました。
「お、終わらない……!」
「むむ、なぜなんだ」
ほとんどあんたのせいだよ! とつっこみたいのをぐっと我慢する。なんでバルーフのせいかって? まず最初に「おれも手伝うぞ!」と名乗りを上げてくれたのは嬉しかったよ、重いものとかも収納の魔法を使ってもらえば望んだ位置におけると思ったからさ。
でも、でもさあ!! 部屋に入って段ボール箱を全部開けてくれたまではよかった。よかったんだけど! そこから怒濤の「これはなんだ?」「どういう用途で使うものなんだ?」が始まり、うまく説明できないものだったりすると俺がスマホで調べ始め、果てにはスマホに対しても「それはどういうカラクリなんだ?」がきた。スマホの仕組みなんて俺知らないから。作業進まないからやめてよ! 心の中で何度叫んだことか。
そうして両親と住んでいた元の家から持ってきた段ボール10箱は入り口は開いているものの3箱片付けたところで日が暮れた。
しかもそのうち1箱は調理器具っていうね! あとは調味料系統とかそれをしまっとく入れ物とか、コーヒー、紅茶にココアに抹茶オレとかそれもいちいち飲みたがって結局一箱ダイニングに運んだあとお茶の時間だと称して飲んだしで。俺の部屋のものを整理する時間が無くなってしまった。
救いは引っ越し業者に頼んでおいた大きい家具やクローゼットなんかはちゃんと頼んでおいた位置に設置してくれていたこと。だからゆっくりやればいいとしても今日中には終わるかなーとかのほほんと考えていた自分を殴りたい。そんなことをしていればいつの間にか夕飯の時間も近づいてくるわけで。
夕食の時は鍋でパスタをゆでてフライパンでコープから届いた春キャベツ、ベーコン、下茹でしたブロッコリーを入れて味付けした春色パスタという昼飯みたいな夕飯にレンジで温めたコーンスープをつけて食べた。
目を輝かせながら小さくカットしたベーコンのブロックを食べながら「肉だ……!」と打ち震えているバルーフにこいつ、顔に似合わず肉が好きなのかよ。でも結構がりがりだしな、俺よりウエスト細いし。もっと肉を食べさせてやろうと思った。こうしてバルーフを太らせよう作戦は開始とあいなったわけだ。
でも野菜を残そうとしたり俺が目を離したすきに皿に入れようとしたりしてたのは見過ごせなかったから、軽くでこピンしたら落ち込みながらもおでこを押さえふにゃふにゃ笑ってた。たぶん前教えた「親しいもの同士のお仕置きの仕方」の親しいってところが嬉しかったんだと思う。しかし俺は甘くない、野菜はきっちりと食べさせた。ってか俺はバルーフの母ちゃんじゃないっつーの。
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