第14話 おじさん、勇者、魔王さま…… (14)
神々しいというか? 大人の淑女……。
それも大変に艶やかで、妖艶さを醸し出している女性なのだ……。
まあ、そんな容姿の魔王さんだから、彼女の真っ赤な紅玉の瞳に俺は見詰められると……。
まさに蛇に睨まれた蛙状態ではないが、黙り込んで何も言葉を漏らす事などできない……。
それこそ? 俺自身更に思ったもんね。
「どうした? 主人? 自分自身の妻に見惚れてしもうたか?」
「えっ? いや、あの……」
魔王さんが俺にこんな言葉を漏らしてきたのだが、見惚れ呆然としている俺は、こんな言葉しか自身の口から漏らす事はできなかった。
でも魔王さんは、そんな呆然としている俺に、また甘えてきたよ。
それこそ? 俺が愛おしくて仕方がない感じだ。
だって、魔王さん自身の艶やかで小さな唇を使用しながら、もう俺の胸で顔を埋めるだけではなく大胆に……。
多分俺達二人の様子を背の後ろから見ているだろう、勇者さんの視線など気にせずお構いなしに。
俺の頬や首筋……耳に当て這わせて、甘えてくるのだよ。
最後が名残惜しくて仕方がないと言った感じなのか?
それとも? 俺との再開が嬉しくて仕方がないのか?
その辺りは俺自身もいまいち良くはわからないが?
本当に俺自身も傍から見られると恥ずかしくなるぐらい魔王さんは大胆に甘えてきたよ。
でッ、そうなると、俺自身もくすぐっいから我に返り──。
取り合えずは、俺自身も死を覚悟しているわけだから、再度魔王さんを『グイ!』と、力強く抱きしめ、彼女の匂いと温もり、肌の感触を堪能をした。
いつ後ろから勇者さんに、刺され死んでもいいようにと……。
「どうだ? 主人? お主の妻は良い
するとさ、魔王さん、俺にクスっと、笑いながらこんな台詞を述べてきた。
う~ん、でも? 俺としては、先程から述べている通りだよ。
「えっ? いや、俺は君に、妻だと告げられても、本当に良くはわからないんだよ?」
とにかく俺自身、魔王さんを妻にした記憶が、一切ないので、こんな言葉しか彼女に述べる事が出来ないのだ。
う~ん、それでも彼女は?
俺の困惑をしている表情など全く気にもした素振りもなく。
「そうか?」と、だけ言葉を漏らしてきた。
だから俺も「うん……」と、頷きながら、言葉を漏らしたよ。
「でもの主人……。やっと巡り合えた妻をあなたは置いて死にに行くと述べているのだぞ……。本当に後悔はないのか?」
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