第13話 おじさん、勇者、魔王さま…… (13)

 俺はふと、そんな魔王彼女を見て、ある事を思い出した?


 そ、そう言えば、魔王さんは?


 先程俺の車と接触をした時に、自身の顔に傷が入ったと。俺に述べていたね?


 だから俺はまた慌てふためきながら。


「ま、魔王さん! そ、そう言えば先程……俺の車と接触事故をした時に、自身のお顔に傷が入ったとか言っていませんでしたか? ちょ、ちょっ見せてください! 傷が深いようなら今から直ぐに病院へ行かないと、お顔に傷が残るようになりますから……」


 俺は魔王さんにこう述べると、失礼だとは思うが、彼女の被っている頭鎧に手をかけたよ──。


 魔王さん自身は、大きな角の生えた頭鎧を被ったままで、俺の胸に顔を埋め甘えている状態ではあったが、ほぼ強引に俺の両手で外し始めた。


 う~ん、もしかする?


 魔王さん自身は、俺に頭鎧を外されるの嫌がって抵抗をしてくるかも知れない? と、思ったのだが。


 魔王さん自身が俺の方を向き──。自身の顎をあげたよ。


『ほら、あなた、早く外して、頭鎧を……』と、でも言いたいような素振りをしているよ。


 だからわりと、複雑な仕組みではあったが、魔王さんの頭鎧は簡単に外す事ができたよ。


〈パサ……〉


「あっ……」


 俺は魔王様の頭鎧を外して、彼女の素顔を見て──。


 これ以上の言葉は漏れずに、沈黙をしたよ。


 だって魔王様の素顔は、俺の予想を大きく上回る美しさであったから、何も言葉を漏らす事ができないでいる……。



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