第12話 おじさん、勇者、魔王さま…… (12)
「いやぁああああああっ! あなたぁあああっ! 何を言っているのぉおおおっ! あなたがいなくなったら、妾はぁあああっ! どうすればいいのぉおおおっ? ゆ、勇者エヴァ──! このひとは本当に関係ないの! この異世界に済む只のひとなのだから見逃してお願いだからぁあああっ! 首を取るなら妾の首だけをお願い……お願いします……」
「ま、魔王さん! な、何を言っているのぉおおおっ? む、娘がいるんだろう? 娘がぁあああっ? 君が死んだら、娘はどうするのぉおおおっ? 俺みたいに一人ぼっちになるじゃないかぁあああ? ゆ、勇者さん! お願いします! 魔王さん……じゃ、なく、
「えっ? い、いやぁああああああっ! あなたがぁ死ぬなら妾も一緒に死ぬ──。もう離れて暮らすのはいやぁああああああっ! 頼むから妾だけをおいていかないでぇええええええっ!お願いだからぁああああああっ!」
「置いていくもなにも……。娘がいるだろうに君には……」
俺は絶叫染みた言葉を魔王さんに告げ終えると、彼女を強く抱きしめたよ。そしていつでも魔王さんの盾になれようにと、勇者さんの居る位置へと、俺自身の背を向けた──。
魔王さんを庇うように……。
とにかくさ、先程も少し述べたけれど、勇者さんに首がいるなら、魔王さんではなくて俺の首を代わりに取ってくれと嘆願をしたら。魔王さんはこんな様子だよ。絶叫をあげて錯乱をしたような様子に変わったのだよ。
先程までの如何にも王? もしくは、女王とで言うか? 落ち着いて威風堂々とした威圧のある物言いだった彼女だったが。俺が自信を代わりに殺してくれと、勇者さんに嘆願をした所で急変……。
いきなり泣き叫び始めて……。俺の前に出て、勇者さんに自分を殺せと、嘆願を始めた。
それだけなら良いのだが?
一国の女王様なのに、俺を助けてくださいと、勇者さん泣きながらだけではなくて……。
へりくだりながら命乞いの嘆願迄も始めだした。
そんな姿を俺も見て驚いたが……。
俺の場合は、直ぐに慌てふためきながら、今度は俺が魔王さんの前に出て──。庇う方が忙しくて呆然──困惑をする暇等なかったけれど。
勇者さんの方は本当に驚愕──。呆然としながら、魔王さんを見ているのが確認取れたのだよ。
まあ、それぐらい、魔王様の変わりようは凄かったのだよ。
でッ、今はと言うと?
俺が力強く抱いている為か?
少しばかり気分が落ちついてきたような気もするのだが?
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