第4話 おじさん、勇者、魔王さま…… (4)

 まあ、こんな感じで、俺は、とにかく自分自身の都合の良いように解釈をした。


 だから『なぁ~ん、だ。そうなのか』と、声まで漏らしたよ。


 でッ、俺自身の気持ちの方も事故ではないかも知れない? と思うと、更に安堵もしたから。


 俺自身は周りを落ち着いて確認をしたのだよ。


 撮影用の機材やスタッフの人達が何処にいるのだろうか? と、キョロキョロと辺りを何度も確認した──。


 でもね、何処にも人影や機材など見当たらないのだよ?


 う~ん、それにさ? 先程の車を運転していた自分自身に直接伝わり聞こえた、リアルな振動と衝撃音は、一体何だったのだろうか? と、その事自体も、ふと、不思議に思ったよ。


 でも、まあ、あれだ?


 この尻餅をついている人達の容姿なのだが……。


 もしかすると? 車で跳ね飛ばしたかも知れない、俺が言うのもなんだかと思うのだが、本当に凄い容姿をしているよ。


 まあ、傍から俺が見て思うに?


 先ず撮影やイタズラテレビの番組でもない限り、普通では出来なスタイルだねと、思う。


 だってお二人揃って、中世の時代のようなヨーロッパの鋼の甲冑を着込んでいるのだ。


 それも白と黒とで、お互いが良い具合に分かれた色をしているのだよ。


 それに、お二人の着衣している甲冑には、赤や金と銀との多彩な模様に、派手な宝石等が装飾として散りばめられてもいる。


 だから見るからに高そうな甲冑だなぁ? と、俺は直ぐに思ったよ。


 でも、映画やドラマの撮影用ならあれぐらい派手でも、全然問題はないのかも知れないね?


 まあ、こんな感じで俺は、相変わらず自分自身の都合の良いように思案をしているよ。


 でもさ? 俺の車の前で尻もちをついて座っている女性かも知れない、二人をこのまま放置する訳には行かないので。


「あっ、あの、お二人は、座り込んでいるようですけが、大丈夫ですか?」


 と、声をかけてみた。


「ああ、少し痛いが大丈夫のようじゃ」


「ッ、いた、たたた……。私の方も大丈夫ですよ」


 ……ん? あれ? 可笑しいな?


 お二人の女性は、痛いと言葉を漏らしている言っている……。


 も、もしかして、やっぱり俺は、二人を車で跳ね飛ばしたのかも知れないよ?


 そう、思うと?


 俺は体中の血の気が引いた──。


 やっ、やばい、どうしよう?


 は、早く謝罪しないといけない……。


 ど、どのように謝罪すればいいだろうか?


 ちょ、ちょっと待てよ、車に跳ね飛ばされて、この場で平気な様子でいるのも可笑しい?


 着衣していた甲冑のお陰だろうか?


 俺はとにかく慌てふためきながら、色々と思案をした。



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