第3話 おじさん、勇者、魔王さま…… (3)

〈ガシャアアアアアアン!〉


「……あっ、あああ、やった? やったかも知れないよ……?」


 お、俺、急ブレーキを掛けたけれど。


 ど、どうもね、ま、間に合わなかったみたい……。


 いきなり俺の乗る車の前に沸いた光の玉──。


 それを俺が乗る車が、光の中にいたある物と衝突したと思う!?


 だってさ、俺の愛車から、かなりの大きな衝突音したのだよ。


 その時に俺は見えたのだ、光の球体の中に何かがいるのを!?


 それも衝突音がする前に人影……。


 それも二人もいた気がする?


 ひ、人を俺は車で跳ね飛ばしたみたいなのだよ。


 ほ、本当にこれから俺はどうしたらいいのだろうか?


 俺自身の体の震えも止まらないから、先程から呆然としているよ。


 俺の愛車ハンドルも握ったままで。俺自身の体も硬直している状態だから、その場に車を止めたままなのだ。


 でッ、俺の脳裏に流れるのは、後悔ばかりが……。


 本当にどうしたらいいのだろうか?


 何で俺は、マンガ本など欲しいと思ったのだろうか?


 真っ直ぐに宿に戻れば、こんな事故など起こす事もなかったのだと、後悔ばかりがあ脳裏を走る……。


 それも、何度も、何度もね……。


 先程も俺が述べたと思うけれど?


 俺はね、仕事を早く切り上げて、隣の街──。


 赤穂市のショッピングモールへとマンガ本を購入するための移動の最中に、こんな大変な事故を起こしてしまった訳なのだが。


 俺が事故が起こした場所は、県境の上りと下りとが、長く続く道でね。車のスピードの方も上がりやすいコースにはなっている。


  でも俺はね、言い訳などするつもりはないけれど、前方の方もちゃんと見て確認しながら走っていた。


 それに余所見もしていない。


 車のスピードの方も俺は、控え目で走っていたつもりだよ。


 だから俺の前方不注意ではない。


 本当にいきなりさ、俺の車の前方に沸いた──。


 巨大な光の玉──!


 それで『あっ!』と思ったら、もう遅かったよ。急ブレーキがね……。


 まあ、こんな感じの出来事が、先程起きた訳で……。


 俺自身いつまでも呆然として、後悔と反省ばかりしていても駄目だよ。


 もうそろそろちゃんとしようよ、俺自身!


 それこそ『シャッキ』と、気を高めようよ、俺! 先ずは外に出て、被害者の人達を確認するのだ。


 そして、ちゃんと心から謝罪をして精一杯の誠意をしようよ。


 先ず取り敢えず、救急車と警察を呼ばないといけない。


 そう自分自身に言い聞かせると俺は、慌てて車のドア開けた──。


 頼むから車で跳ねた人達無事でいてくれよと、何度も、何度も、願い思い叫んだ。それも心の中でね。



 ◇◇◇◇◇



「うっ、いた、たたた……」


「ッ……いた……」


 俺が車から降りるとね、車の前方に二人……。


 それも声からして、女性だと思われる人達がいたよ。


 大変に失礼かもしれないが、大変に変わった容姿で……。


 だから俺は、もしかして、映画やドラマ、特撮ヒーロー番組の撮影?


 それとも、テレビ番組の特番等のイタズラ番組なのかも知れないと、直ぐに思った?


 まあ、もしも、そうならば?


 あの巨大な光の玉と、この女性だと思われる人達の変わった容姿も、俺自身も納得がいく。

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