第七夜
冬を越え、春が訪れる。
街に桜が咲き、散りゆく季節。
四月がやってきた。
夜、
二人の吐息が混じり合い、交じり合う。
彼女の白い肌は薄桃色に染まり、私の愛を受け入れる。あたたかい、あたたかい、
未来は、まだ、生きている。
ことを終えた私と未来は、ありのままの姿で向き合い、おやすみの口づけを交わす。
「プル……
「未来、最期だなんて……」
「プル、明日の夜は、もう……」
「未来、やっぱり私が消え——」
その先の言葉は、彼女の唇に遮られた。
明日は四月の末日、
プルプルギスの夜を発動させる日。
世界を滅亡させる為の、術式を発動させる日。この日を逃すと、好機は二度とない。
ひとたび発動に成功すれば、数分で街は死都と化し、数時間で国は滅ぶ。未曾有の天変地異が同時に世界を襲い、破壊する。
一週間もしないうちに、世界は清浄化され、
死に至る。
「んっ、み、く……」
未来が私の唇を離してくれない。その先の言葉を、言わせてくれない。
彼女は、死にたがっている。
私の消えた世界で、生きながらえるのを拒んでいる。二年前、あの日、あの時、
私が未来の手を取った所為で、決別したい世界と生きることを強要した。
彼女の望みは、死——
明日、私は滅亡術式、
『プルプルギスの夜』を発動させる。
「約束よ……私が未来を、自由にしてあげる」
「……ありがと、プル。大好きだよ」
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