S13.1 鏡崎彼岸の戦闘訓練 8月5日

――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM13:00――


彼岸「――もみじさん。私は前回の……、触手の件で力の無さを痛感しました……」


もみじ「そんなことより彼氏でも見つけなさいよ。夏休み入ってるのよ?」


桔梗「彼氏……」

彼岸「うぐっ……。まあ、そうなんですけど……、その……。い、いえ……このままだと彼氏どころかあの空間の餌食になりそうなので……」


もみじ「戦の強さは心の強さよ。そのままだと二の舞いよ二の舞い」


彼岸「――そう言われましても……。どなたか知ってる方で凄く強い人とかっていません……?」


もみじ「私がいるじゃない……。仲介出来るくらいには実績あるのよ……?はぁ……、まあいいわ。私の暇潰しにしようとしてたのを回してあげる」


彼岸「それなら強くなることそのもの……、が心の強さなんですよね……。うーん……」

棗(心が弱いやつが警察官を続けられるのだろうか……いや、よそう)


もみじ「棗くん!この喪女の訓練の護衛してあげて。ちゃんと報酬も出るから」


彼岸「――喪女ってもみじさんに言われ……いや、なんでもないです」

棗「そうだな、今日は他にいないみたいだしな。俺も確かめたいことがあるし丁度いい」

桔梗「あ、あの私も……、いや、そんな今に不満があるとかじゃなくて、そのもっと強くと言うか、輝けるようにというか……。その」

彼岸「私一人で遭遇ということはあまり無いと思うので……。そうですね、ではこの三人で挑んでみましょうか……」


もみじ「棗くん両手に花だけど手出しちゃダメよ。さて、今回のやつだけど、榎屋氏の屋敷の、奥さんの部屋に湧いてる悪鬼を潰しておいで。色々と負が溜まってるのよ」


棗「出すか。そんな物好きに見えるか俺が」

彼岸(ハイライトの無い目でジッと棗を見る)

桔梗(もしかして、この人達とつるんでいたら永遠と秋夜さんに振り向いてもらえない……?)


もみじ「あなたがずっと手出さないから今の状況なのはわかってるわよ。はいこれ鍵。終わったら返してね」


棗「――なんだ、素直に捉えたら負けなような発言をされた気がする……」

彼岸「――ありがとうございます。桔梗さん、お互い気を付けて頑張りましょう」

桔梗「は、はい。そのお互い不運続きな気がしますけど、がんばりましょう」

彼岸「では行きましょうか。――私のような背の高い女には興味の無い方のようなので安心ですしね」


▶ハイライトの薄い目で彼岸は歩き出すよ


――朱鷺森市 榎屋邸:夫人の部屋 PM15:00――


▶榎屋邸は夏水やみらのがそれなりに掃除をしているので、ホコリは少ないです。内装は家具が少ないながらも高級感のある部屋だと感じます。中央に黄色い悪鬼が広がっていますね


棗「四季華族に関わる屋敷は、経年劣化で倒壊する可能性がある。用が済んだらさっさと帰るぞ」

彼岸 「さて、目的の悪鬼は……。――ありますね。堂々と。帰還の準備はよろしいでしょうか?」

桔梗「真ん中にあれがあるだけで幽霊屋敷って感じになりますね。――今回こそは、しっかりと」

彼岸「さて、何が出てくるんでしょうか……?」


――筋肉拒否の意思表明――


▶古いお屋敷のあちらこちらに、筋肉の写真に様々な禁止標識が浮かび上がっています。その中心に細身の幽霊のようなものが筋肉を見ては悲鳴を上げていますね


彼岸 「……ある意味地獄絵図ですね」

棗「まぁ、見知った人間でなくてよかったっということだ……」

桔梗「筋肉……?なにか聞いたような気が……」


マダム「また筋肉質なのが来たわ!私の逆鱗に触れたくなければ、今すぐ消えなさい!」


彼岸「うぐぐ……。相変わらずこの格好は恥ずかしいですが……、負けませんよ!」


▶マダムは重力を発生させ、そもそも近づけず、攻撃しようとすると標識でガードしてきます


▶彼岸 武道

 失敗


▶筋肉アンチマダム ファイア 桔梗彼岸

 16ダメージ

▶手のひらに火球を作り、思いっきり投げてきます


彼岸「熱い熱い熱い!火が!燃えます!燃えますって!」

桔梗「あっつ! なんで私に!筋肉ありそうな二人がいるじゃない!」


▶棗 銃知識

 成功


▶桔梗 歌唱で判定 快晴

 ファンブル[行動禁止]


▶彼岸 観察力で判定

 成功


棗「今はできることが無いか」

桔梗 「もしかして……、結構ピンチ?がんばらなきゃ……!」

彼岸「どうしましょうか……」


桔梗「歌を届ける……っ!声が、うまく……。――けど、祈るくらいなら……!届いて!」


彼岸「このままじゃ近寄れそうに無いですね……。何かあれば……?」


▶筋肉アンチマダム プリンターガン 棗桔梗

 16ダメージ

[棗:林檎の板][桔梗:例大祭カタログ]

▶棗達の影に向かって標識を差し込み、心臓が内側から裂けそうな痛みを感じます


棗「おっと、備えあればだな」

桔梗「あっ、うぅぅ……。なんなのよ一体……」


[ズヴァーチ]桔梗

▶棗 転移石 エーテルターボ 朱鷺森神社の御札を拾う

▶トランプを取り出して、空中に放り投げ銃で撃ち抜くと桔梗が落ちてきます。それをお姫様抱っこで受け止めます。


棗「騙しの手品ってやつだ」

桔梗「ちょっ、ちょっと!いきなりなにを!」


棗「ただでこっちの弾丸をくれてやってるわけないだろ、ギブ&テイクってやつだ」

棗「それでもってこれが逆転の鍵になるかどうか」


桔梗「あれ、そこに何かが?」

彼岸 「落ち着かせグッズ、だそうですよ。そこに書いてありました」


▶彼岸はポスターを指差します。そこには、

『お母様が筋肉いやいや病を発揮したらこれを投げつけてください』

と、朱鷺森神社の御札が書かれています


桔梗「なるほど……。御札?」


▶桔梗 御札を拾う

▶彼岸 御札を拾う


彼岸「問題はこれで足りるのか、というところですが……」


▶筋肉アンチマダム 時の刃 棗桔梗

 13ダメージ

▶標識を影に差し込んだ後、思いっきり横薙ぎに引き裂きます。身体が何もしていないのに激痛に襲われます


棗「ちっ、少しえぐったか」

桔梗「これくらいなら、まだ!」

彼岸「――無理はしないでくださいね。私の我儘で死なせてしまったら……、悲しいですから」


▶棗 御札 桔梗


棗「――パスだ。これだけ有っても駄目そうなんでな」


桔梗「はい!?わわ……、どうしろっていうですか!」


棗「なんか他にも落ちてたの拾っただろう?多分あれを使えばいい。――多分な」


▶桔梗 朱鷺森の御札

 65ダメージ


▶彼岸 朱鷺森の御札

 44ダメージ

▶御札が白い光を出したと思うと、マダムに光線が当たります


桔梗「えーっとこう?うわぁ、光った!」

彼岸「これなら私も……!」

彼岸「……えいっ!」


▶筋肉アンチマダム ファイア 桔梗彼岸

 18ダメージ

[桔梗:例大祭カタログ]


▶棗 高速回復薬 エーテルターボ 通常攻撃[麻痺追加攻撃]

 成功 2ダメージ


▶桔梗 朱鷺森の御札

 64ダメージ


桔梗 「私なんて焼いても美味しくないのに、もう!」

彼岸「結構効きますね……」

棗「いたちごっこじゃ終わらないな……。一か八かだ!」

桔梗「今がチャンス!」


桔梗「これで……終わりです!」


マダム「娘も…………」


▶マダムの標識がさらさらと消えていって、筋肉のカーニバルが空間を壊し始めます。肌色が強すぎて地獄絵図ですね


彼岸「くっ、やはりまだ力不足ということですか……」


桔梗「終わった……。けど自分の力でやった気になれない……。これじゃあ振り向いてもらえない……」


棗「ふぅ、お疲れさん。協力できるってのも一種の強さだ、俺がほとんど攻撃しなくても勝てたしな。胸を張って帰るぞ」

桔梗(違うそうじゃないの……そうじゃ……)


彼岸「違う……。まだ、まだ足りない………。力が無ければ、私はいつまでも抜け出せない……!」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM17:00――


彼岸 「――皆さんお疲れ様です。……私の訓練に付き合わせてしまって申し訳ありません」

棗「なんでそう一々辛気臭いんだあんたは……。馬鹿真面目にも程があるぞ」

桔梗「危なかったですけど無事帰ってこれて良かったです。私もまだまだなので頑張ります」

彼岸「――すみません。その……、ずっと1人だったものですから、つい……」


もみじ「お疲れ様。――あの奥様殴れないっしょ。苦労したんじゃない?」


棗「そうだな、搦め手……、なんだろうかあれは……。まぁ俺があまり手を出さなくてもその2人で勝ったな」


もみじ「奥様……、秋乃ときのさんはそりゃあもう強い魔法使いで夜叉だったのよ。生きてる時は私がいくら銃撃ち込んでも当たらなかったくらいね」


彼岸「あの構え……。もし私から攻撃してたらやられてたでしょうね」

桔梗「弾を避けるって……、何者ですか一体」


もみじ「避けるんじゃなくて、4倍にして撃ち返してくるのよ。その様子だと全盛期の一部すら出てなかったみたいだけど」


棗「――なるほどな、納得したよ。オーナーでそれなら俺じゃ相手にならないわけだ。だが収穫はあった、今日は帰る」


もみじ「まてまてまて。そこの喪女と逆襲ガールの愚痴に付き合って報酬を受け取る作業がまだよ」


棗「――待てはこっちの台詞だ、報酬はともかく俺が愚痴に付き合うのか?なんでだ?」


もみじ「私が嫌だからよ。はい報酬。色つけておいたから後は任せた」


▶もみじは封筒を投げ渡して裏に引っ込んでしまいました


彼岸「喪女……。うう……、いいですよ……。どうせ私なんて女らしくありませんよ……」

桔梗「逆襲……?それはともかく愚痴なんてありませんよ。ええ、そんな誰にでも喋るような人間じゃないですから」

棗(さっそく入りやがった……。はぁ……)

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