S12.1 北森桃風香の悩み 7月19日
――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM16:00――
桃風香「いらっしゃいませー!」
桃風香「んー……?あ、海で会ったおじいちゃんさんだ!」
中釘「まだ開いとるかね?」
▶中釘が荷物を抱えてふらふらしながら入ってきます
桃風香「開いてるよー!お好きな所に座ってください!」
彼岸「――折角の非番の日になんで私は一日中ここにいるんでしょうね……」
▶彼岸がカウンターでぐってりとしていますね。邪魔です
もみじ「帰りなさいよ……。バーじゃないのよ……」
彼岸「学生時代ゲームする余裕無かったんで楽しいんですよー仕方ないじゃないですかー」
中釘「おお……、すまんの。もみじさん、コーヒー頼めるかな?冷たいの」
もみじ「はいはい……。桃風香ちゃん、これ持ってってね」
桃風香「はーい!――はい!コーヒーです!」
中釘「ありがとう。ふぅ……、うまい」
桃風香「良かったー、あっ!そういえばボク桃風香って言うんです!」
中釘「もふかちゃん、ありがとう。改めて中釘電九郎じゃよ」
彼岸「あ、桃風香ちゃん。コーヒーおかわりお願いします」
▶彼岸は15杯目を平らげるよ
もみじ「くっそ……1杯で居座られるよりはマシとはいえ……」
北森「電九郎さんっていうんだー。はーい!コーヒーおかわり持っていきまーす!」
千場「マスターいるー☆みらの先輩が来てやったぞい☆ぞいぞい☆」
▶千場が裏口から勝手に入ってきます
もみじ「最近見なかったけど何処行ってたの?後家賃と彼氏見せろ」
千場「失礼だな☆あと家賃はまとめて払ったぞい忘れたんかい☆――まぁバイト戦士してました、はい」
もみじ「それは滞納してた分で全然足りてないわよ……。恋愛の聖地ロッテはそこの喪女にアドバイスでもしてあげて」
桃風香「ふぅー……」
千場「――え、なにあの小さい可愛い子。なにマスターこのはちゃんだけでなくまた別の子にも手を出したの?コワ。――あと聖地じゃねーよ☆」
彼岸「あ、はい!私鏡崎彼岸って言います!是非彼氏さんのご友人でフリーの良い感じの男性がいらっしゃったらご紹介をお願いできませんか!」
▶彼岸が死んだ目で全身を乗り出すように食い入るように聞きます
千場「あ、はい!私千場みらのって言います!ならぜひそこにいる姓を棗、名を真k……っていないな」
もみじ「あれなら怜ちゃんとデートに行ったわよ」
千場「マジカヨー私というものがいながらマジカヨー」
彼岸「お手つきじゃないですかぁー!!」
中釘「――――ん?奥の方の電灯が切れとるの?節電かい」
もみじ「いえ、その電灯を怜ちゃんに買いに行かせるついでに備蓄の荷物持ちに棗くんを連れて行かせたのよ」
中釘「なるほどの。じゃあ世話になっとるから取り換えは任せてもらえんかの」
もみじ「うーん……。奉仕アンドロイドの宿命よねえ……。お願いします」
彼岸「……あれ、桃風香ちゃん元気無さそうですね。大丈夫ですか?」
桃風香「――あわわ!ご、ごめんなさい!」
千場「グハッ!?なんだこの爺様から出てくる爽やかオーラッ!?浄化されてしま……」
彼岸(ああ、多分この人良くも悪くもここの同類なんですね……)
桃風香「彼岸おねーさん、何の話してるの?」
彼岸「――桃風香ちゃんにはまだ早い話かな……?」
千場「君の可愛らしさについてだよ。マイハニー?」
▶千場は桃風香にすって近づいて懐から紙のバラを出すよ
桃風香「こんにちは!」
彼岸「――危ない人でしょうか?」
もみじ「そこのチーバくんは単純にペド好きなだけよ」
千場「そのぎこちない笑顔も素敵だね?浄化されるよ……」
▶千場はニコニコしながら更に顔を近づけますね
桃風香「あわわ……」
彼岸「今日は非番ですが私警官ですので、目に余るようでしたら相応の対応をしますから、ご注意くださいね?」
桃風香「あ、えっと……彼岸おねーさん……」
千場「まぁ冗談は置いておいて……モフカチャンダッケ?ヨロシクネ!チバミラノダヨ!!」
▶千場は途端にガチガチの動きになってバラを手首をクイッと捻って消します
桃風香「はい!よろしくお願いします!」
彼岸「どうしました?何かお悩みですか?」
桃風香「あ……えっと、うん……。あのね」
桃風香「何か、海に行ってからもやもやするんだ……」
千場「オオコワイコワイ……」
▶千場はすっとカウンターから離れてテーブル席へ逃げるよ
もみじ「何逃げてるんだよ落花生。聞いてやれ?」
千場「マジカヨーワカッタヨー」
彼岸「もやもや……?陽に当たりすぎましたか?」
桃風香「ううん……違う」
彼岸「――何かありましたか?」
桃風香「うーん……。ゆーが君と遊んでて……その後師匠の仕事を手伝いに行ったんだけど、仕事始めたぐらいからずっともやもやしてて……」
彼岸「仕事が辛かった……、とかでしょうか?」
桃風香「寂しい……、みたいな……。師匠と話してなかったからかなって思ったけど、もやもやなおらなくて」
千場「ソレハコイダヨ。マスター、肉たっぷりハムサンドひとつ」
もみじ「空気読め森永」
彼岸「それは……、幽雅くんと遊ぶのが楽しかったから、寂しい気分になったのではないでしょうか?」
桃風香「そう……なのかな?」
桃風香「遊んでて寂しくなったりしたの、初めてだからよく分からないやー」
千場「ダカラネソレハコイダヨ」
▶千場はボリボリと氷砂糖を食べながら喋るよ。中釘の爺さんに鋭い目で睨まれます
桃風香「こい?」
彼岸「…………恋?」
千場「そう、私のもふかちゃんを見る目を見て?こんなに輝いているでしょ☆」
彼岸「幽雅くんに恋をしている……、可能性は無くはないですね」
千場「そしてほら、胸もこんなにドキドキ高鳴って!」
桃風香「……こいってなーに?」
彼岸「………………ほら、出番ですよ」
千場「オワァ!?」
▶中釘の爺さんに背中を叩かれ、彼岸に蹴られて話し始めますね
千場「ゴホン……。恋ってのはね、相手の人を好きになって好きになってもう抑えられない感じになっちゃうコトよ♪」
桃風香「んー……、師匠もこのはちゃんもゆーが君も……。彼岸おねーさんとか他の人もみんな好きだよ?」
千場「ああっ!!女神様さまっ!!――ぜひ、今夜は私の家に来て、どうぞ!」
▶千場は桃風香の手を握ってぶんぶんと振りますね
桃風香「えっとー……?」
もみじ「まともにアドバイス出来るやつはおらんのか……」
彼岸「ふふっ、私も好きですよ。でも、それとはまた違う好きなんですよ」
▶彼岸はみらのの肩を強く握って代わりに答えますね
千場 「あぁ^~ぷにぷになんじゃぁ^~アアァァァァァッ!!!?」
桃風香「そうなんだー?」
もみじ「桃風香ちゃん聞いて。恋っていうのはね、会えないと寂しい、会ってるだけで嬉しい、顔を見るだけでドキドキして、その人のことだけしか考えられなくなっちゃうくらい好きってことなのよ」
彼岸「――おお、経験者は語るというやつですね」
もみじ「ペドマスターとか喪女とは違うのよ……。桃風香ちゃんはそういう経験、ない?」
千場 「ペドマスターとはなんだ。その通りだ、よくわかっているじゃないか。肉たっぷりハムサンドまだ?」
桃風香「師匠と会えないと寂しいよ!」
もみじ「ありがとうね。でも、幽雅くんだとどう?」
桃風香「うーん……。寂しい、のかなー……?何だか時々もやもやして、他の仕事の事とか忘れちゃうんだ……」
もみじ「それは私より気になって仕方なくなってるの。それが、恋なのよ。つらくてもやもやして、胸が焼けるような感覚がするものなの」
桃風香「そう……なんだー」
もみじ「そうよ。だから取り敢えずはそこのダメダメお姉さんに肉たっぷりサンドを持っていってあげて」
桃風香「はーい!」
▶更に時間が経ち、閉店間際になっていますね
彼岸「――――駄目じゃないんですよ、ちょっと縁が無いだけで……」
桃風香「師匠、窓の鍵締め終わったよー」
もみじ「はいはい。そこの非番警察も店仕舞よ。出ていきなさいな」
桃風香「――ねぇ師匠、ボクはゆーが君の事好き……、なんだよね」
もみじ「さあねえ。私は桃風香ちゃんじゃないもの。幽雅くんを見て、ドキドキするかどうかは自分で確かめるのよ」
桃風香「うん、分かった……。もし好きだったら……、ボクどうしたらいいのかな?」
もみじ「幽雅くんにも好きになってもらうように、頑張るのよ。出来なかったらああなるわよ」
桃風香「好きになってもらうように……。うん、分かった!」
彼岸「うう……うわああぁぁん!私だってぇええ!私だって優しいイケメン見つけてやるもおぉおん!うわぁあああぁぁぁん!」
桃風香「――師匠、彼岸おねーさんはどうしたの……?」
もみじ「恋が出来なかったらああなるのよ。ああなっちゃダメよ?」
▶彼岸は泣きながらお店の外に全力ダッシュで出ていきました
千場「ちょいまち」
▶彼岸 反射
成功
▶みらのは足を引っ掛けようとしたよ。ですが、直前に出されたにも関わらず見事な反射神経でつま先を踏み抜いていって店を出ていきました
千場「お姉さん、今夜一緒に飲みませんk……アアアアアア!!???」
桃風香「うん!頑張る!――――じゃあ師匠!また明日ね!」
もみじ「えぇ。――あんたらダメ喪女共、代金と家賃。忘れないうちに出せよ。取敢えずみらの、はよ出せ」
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