S10.2 皇桔梗の新しい出会い 6月26日
▶やっとのことで得られる自由。誰も昔の私を知らないから、気軽に生きていける。けど誰も私を知らないから、いつも一人。――だれか私を…… そして今日も、何でもない一日が終わる。 ――はずだった。
――朱鷺森市 朱鷺森高校:廊下 PM17:30――
桔梗 「慣れてきたけど、やっぱ馴染めてないなぁ……。今日もまたゲームセンターに、――けど最近いろんなことに巻き込まれるし……」
桔梗「――ひとまず帰ろう。課題もあるし予習もしなくちゃ」
玲海「キミね。もみじさんの新しいDollなのは」
花恋「まあまあ待ちたまえ。お姉さんたちといいことしていかないかね」
桔梗「ど、どーる?あの先輩達の言ってることがわからないんですけど……」
玲海「どうやらなかなかおもしろいですわね花恋サン」
花恋「夢の続きの話をいたしませんか?」
ことり「いやあんたら後輩捕まえて何してんの」
桔梗「あっえっとその……。まだ、何もされてないので大丈夫です!」
玲海「何を仰る卑しい卑しい雌狐様。私達は時間に苛まれた哀れな子羊を保護しようとしてるんですよ」
花恋「欲しいものを全部奪っていく水飲み鳥と違って秋の傀儡でしかない後輩ちゃんをスカウトしてるだけですよ」
ことり「雌狐。水飲み鳥」
桔梗「?? えっと傀儡?後輩?――――えっ私?」
ことり「と言うかスカウトってなんのよ……」
玲海「時間の波に飲まれた夢の中にピンとくるかい?桔梗ちゃん」
桔梗「なんのことですか?私には……」
花恋「ほほう……。強情だねえ」
玲海「もみじさんに言われたとおりこの映像をXvideosに上げればいいんだよね?このコスプレムービー」
花恋「ことりと同じくらいきっちくー」
ことり「ええい要所要所に私を巻き込むでない」
ことり「というかなんで脅しかけてんの」
桔梗「…………別人じゃないでしょうか? 顔は似てますけど目の色とか違いますし」
花恋「――――すごい楽しい子だね」
玲海「ならXvideosに上げとくかー。別人なら許可取らずアフィれる」
花恋「ごめんねー。人違いだったみたい。愛しの彼氏様のところに行くよーことり」
ことり「いやまあ、うん……」
玲海「ああ置いてかないで。――おっ夕方で再生数200とか暇人かな?」
ことり「というか誰が相手であれ動画アップはやめて差し上げて(」
玲海「いやまあもみじさんに好きにしていいよって言われたけど一応許可取りに来たら別人らしいじゃん?」
花恋「往来で恥ずかしいことする人は余裕ですね。彼氏様のとこ行こうよ」
桔梗「――さっきから何処かへ行くだど行かないだの、グダグダ言ってるくらいならさっさと行ったほうがいいんじゃないですか? 待ってる人もいるなら後輩いじめてる暇なんて無いんでしょ? せ ん ぱ い た ち に は」
玲海「やっとネコミミ外しましたねー再生数823の女優さんは言うことが違いますわぁ」
花恋「ボスが待ってるから行ってあげて。――――こいつは傷抉るの好きなだけだからさ」
ことり 「いや増えてる。というかマジであげたの!?」
玲海「そりゃあね。こんな可愛い子のコスプレとかみんな見たいよ。ほら行くよ桔梗ちゃん」
桔梗 「嫌ですよ。自分たちで行けばいいじゃないですか。そもそもなんで私の名前知っているんですか?初対面ですよね?」
玲海「察し悪い黒猫ちゃんだなぁ。もみじさん知ってて、喫茶店に通っててYouの秘密を握ってる。脅しはかけても対価は要求してない。そこまでわからないのならとんだ脳みそお花畑ですね」
花恋「知らない振りしてやることやってるそこの見た目兎の中身ハイエナと違うんですから……。玲海……」
桔梗「――――じゃあそこの人も、さっきからオロオロしてるだけのあの人も、一緒だって言うんですか」
ことり「いやまあ、そうなるのかな?――と言うかさっきから私に対する周りの評価ひどすぎない?」
花恋「残念ながら当然。こんな脳内お花畑でも出来るお仕事に心当たりないですか?」
桔梗「そうですか……。最初っからグルだったんですね、先輩も。――今日も喫茶店に行けばいいんですか?」
玲海「いやいや。そこの青虫に食われてる花畑に毒された哀れな蜂が新設した場所があるのよ。そこに案内しようと思ってね」
花恋「まあついてきて。きっと猫ちゃんにも得になるよ」
桔梗「あ、哀れ?――わかりました。じゃあ先輩、案内お願いしますね!」
ことり「いや、あの、置いて行かないでください……」
――朱鷺森市 朱鷺森病院:病室――
玲海「つきましたよ瑠璃ちゃん。ここが我らのボスのお部屋です」
桔梗 「――――あの、お見舞いかなにかなんですか?入院してる知り合いなんていませんが……」
凛空「遅いですよお姉さま。秋夜お兄さんだって暇じゃないんですからね!」
奉「まあまあ……」
桔梗「あー……、えっとお久しぶりです、ね」
凛空「お久しぶりです。もみじさんのおもちゃの方」
奉「ことりさんよりお強い人ですよね。お久しぶりです」
ことり「いや、あの……。そうなの……?」
桔梗「えっと、おもちゃはやめてくれるかな?桔梗って名前があるから」
秋夜「ああ……、すまんね。おそらく玲海が何の説明もせずに強引に連れ出したんだろう……?俺は萩野秋夜。ここは緑の化物と謎の搭に対する戦力を固めていざという時相互協力出来るようにしようっていう会だ。――なんかやったなら申し訳ない」
玲海「なんもやってないよー」
花恋「えぇ……」
桔梗「ええ、何もありませんよ。さっき彼氏様の所へっていってたのはこういうことだったんですね。誰が本命なんですか?彼氏さん?」
秋夜「おえ……なんつーことを……え、えっとな……そのな……………………綾瀬」
桔梗「女性に囲まれてる中で言い切るってすごいですね……。綾瀬さんがこの中に居るのかどうか知りませんけど」
玲海「言っちゃうんだ……」
花恋「………………………………」
ことり「………………………………」
凛空「男ですね」
奉「いいなぁ……」
桔梗「あれ……?あの、これ、もしかして。私やらかしたやつです……か?」
凛空「桔梗お姉さんよくKYって言われない?お姉さま達の空気カチンコチンだよ……」
桔梗「いやそんなことは……。そもそもこんな状況になることなんて生まれて初めてですし……」
奉「ドンマイです桔梗お姉さん……」
玲海「I can't believe you're so clueless. You're like a babe in the woods.」
ことり「えっっっと……、ありがとう、ございます……」
花恋「………………………………秋夜、説明」
秋夜「お、おう……。桔梗さん。さっきの通りだ。相互協力を目的にしてるからアクが強いかもしれんが仲良くしてくれると嬉しい」
玲海「テレテレの愛の詩囁かれて脳も身体もパーになってるのは置いといて、手始めに桔梗ちゃん。魔法少女コンテストってのに出てみない?」
花恋「……またやるんだ」
桔梗「ごめんなさい。仲良くはまだしも、魔法少女コンテストは意味がわかりません。もう今から上手くやっていけるか不安です……」
秋夜「いや俺もわからん……。朱鷺森市が春と夏にやってるコンテストだ。なぜかは知らん……」
凛空「お姉さまの作った衣装来て歩くだけですよ」
桔梗「コスプレですか……まあそれだけならまだ。けどそれがあの化物と何の関係があるんですか?」
玲海「ないよ!私がKatzchenと仲良くしたいだけ」
秋夜「英語ですらないんかい」
桔梗「そんな言い切られても……。それにこういうのって一緒に作ったりするところから楽しむイベントなんじゃないんですか?べ、別に……、嫌だって言ってるわけじゃないですけど、お祭りは嫌いじゃないですし……」
花恋「あっ……」
凛空「あっ……」
桔梗「えっ……?」
玲海「DRESSに興味がある!?是非!被服室に来てください!!二人でカッコイイ衣装を作りましょう!!」
桔梗「えっあっはい。あれなんでみんなそんな反応に、また何かやらかした?」
奉「どうやら玲海お姉さんは服作るの大好きらしいんです。あんまり露出派手にしないでくださいね……私恥ずかしいので……」
桔梗 「露出って……、うんありがとう」
秋夜「女の子ばっかで居心地悪い……。あ、ああー……、その、桔梗さんも俺とも仲良くしてくれると嬉しい。――――もしかしてお前ら自己紹介すらしてないんじゃないか……?この反応」
桔梗「えっと、そういう言い方あんまりよくないと思いますよ? お力に慣れる範囲でなら同業として……」
花恋「女心がわからない色ボケのバカだから気にしないで。私は霧江花恋。得意なのは舞かな」
玲海「私は朱城玲海。斧でどつく感じ。あれにdelicacy求めるほうが無茶よ」
桔梗「そうなんですね……。私からもしっかりと自己紹介を。――桔梗です。……皇桔梗です。弓を使っていました」
ことり「綾瀬ことりです……。あの……歌ってました……」
秋夜「失礼な奴らだ。気配りのできるやつってクラスで話題なんだぞ」
凛空「はぁ……」
奉「桔梗お姉さん桔梗お姉さん、私喫茶店でバイト始めたんです。よかったら来てくださいね」
凛空「いや脅しですよねあれ……」
桔梗「また今度学校帰りにでも行くね」
ことり「よし、じゃああれだ、自己紹介もしたし、あんまり病室に長居するのもいけないからそろそろ解散しよう」
奉「そうですね。秋夜お兄さん、お元気で」
凛空「桔梗お姉さんもお姉さまに気をつけて」
桔梗「私も失礼しますね。そうだ玲海さん。一緒にコスプレもいいですけど、するからにはあれ消しといてくださいね?」
桔梗「凛空ちゃん、奉ちゃんもまたねー」
玲海「別人じゃなかったんだ。4200再生したんだけどなー」
花恋「はよ消せ」
桔梗「その知り合いがもしかしたら参加するかもしれないじゃないですかー」
玲海「はいな。また明日学校でね」
▶桔梗が病室を去ってから、こそっとUSBを渡します
玲海「はいシューヤ。消したやつの元映像。もみじさんにはこの映像はシューヤが持ってくべきだって」
秋夜「えぇ……、どうしろと……」
――
秋夜「……………………」
秋夜「……」カチッ
秋夜「……………………うわぁ。結構大胆な格好してるんだな桔梗ちゃん。――色々と見えたりしてるんだが大丈夫なのか……?和服……いいよなぁ……」
秋夜「…………いい。…………いい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます