S07.1 魔性の女ことり 5月23日
――朱鷺森市 朱鷺森高校:校門前 13:30――
玲海「で、悲劇のprincess様が直々に私たちに招集かけるとは、果たし状ですか?」
ことり「待って待ってお見舞行こうってお話です」
花恋「デートしたんだぁ……へぇ……」
ことり「いやうん、まあその、うん」
このは「お見舞い?誰のでしょう」
玲海「そこの乙女Gameの主人公サマが今まさに攻略しようとしてる神主くんに勝利宣言するんですって」
花恋「趣味悪~い」
ことり「ちゃうねん、ちゃうねん。――秋夜くんが怪我して入院してるでしょ!!!皆心配でしょ!!!!!じゃあどうせなら皆で行こうって!!!!思ったの!!!!!!」
玲海「わざわざ大勢で見せびらかせに果たし状まで来たんですよこのはちゃん。こんな穢れたJKになっちゃだめですよ」
花恋「秋夜の御見舞なんてフルーツ渡して10分で終わるってのにねぇ……」
このは「いや、うん……、あ、そっか、いわれてみれば」
このは「あの、そもそも入院してたこと知らないんですけど……。怪我、ですか?」
花恋「私が一生懸命踊ってたのに、見に来ることすらもせずにバケモノに庇われた私可愛いよね見てって自慢されてるんだよ?」
ことり「待ってください決してそのようなつもりは」
玲海「実は余裕持ってヒラッヒラ出来るのにわざわざ庇われるとかオットナー」
ことり「いやまあ、あんま否定出来ないけど故意ではなかったんです!!!」
玲海「恋ですって嫌味ですね」
花恋「抜け駆けどころか牽制までしてきましたよこのはさん」
ことり「いや違うからね!?」
玲海「まあ幸せがOverflowしてる雛鳥は置いておいて、ちゃんと手土産持ってきたんですか?」
花恋「一応林檎とスポーツドリンクを。このはちゃんは知らないだろうし私の代わりにメロン渡してあげて」
このは「ありがとうございます。そうですか……、庇って怪我を……。近しい人を、巻き込む……、はぁ」
ことり「置いておかれたほうが実は一番いいのかもしれない……。きかれてないけど私はタオル持っていってます……」
玲海「あの次はBridalですよ!みたいな脳までぴよぴよしだしたのは置いておいて、庇われるほど思われてるのは間違いないんだよ」
花恋「看病プレイとか見せつけに行きますねぇ。こういう無意識の嫌味プレイは友達減らすから気をつけるのよこのはちゃん」
ことり「そういうつもりは毛頭ありません!!!!」
玲海「無意識でこういうことするから魔性の女になるのよ。誑かしのProですよPro」
花恋「泣いた男の子を足蹴にして人の男を奪い取っていくんだわおよよ……」
ことり「ええいええい!ここでぐだぐだしてても何も進まん!!!」
ことり「行くよ!!」
玲海「自分が一歩リードしてるって見せつけてますね」
花恋「魔性の女ことり」
――朱鷺森市 朱鷺森病院:病室 PM14:00――
花恋「秋夜ー来たぞー愛しのラバーことりを連れてきたよー」
玲海「感謝すればいいのです。2人くらい守れるかいしょーってやつを持ってください」
ことり「うっ……。なんだかんだいざ会うってなるとなかなか入りづらい……」
花恋「顔も見れないほど照れてるんだってー」
玲海「おっとめー」
ことり「ちーがーいーまーすー」
秋夜「うるせえ!静かに入ってこれんのかお前ら」
花恋「テレテレほの字のぴよぴよは置いておいて、はいポカリ。カッコつけるのもいいけど限度はあるでしょ」
このは「しゅーやくんが入院してたなんて知りませんでした、大丈夫なんですかぁ?」
秋夜「ポカリサンキュ。このはちゃんも来てくれたのか。ありがとな」
玲海「ところでシューヤ?前々から聞きたかった事があるのです。そこの頭がフットーしちゃってるよぉちゃんの時、気にしてなさ気だったけど、いつ見たんですか?」
秋夜「あーいやその……。そのーちょっと夜高校で綾瀬と会ったことが前あってな」
花恋「へぇ……?学校デートなんてしてたんだ。意外と手が早いんだ秋夜」
秋夜「違う違う!じいちゃんにバレないように、深夜にオンゲを部室でやってたら綾瀬がいたんだよ」
玲海「はぁ……、夢も浪漫もない話ですね……。そこの顔も見れない話すこともままならない内地蔵のぴ~よぴ~よ置いてくね」
ことり「うっ……」
花恋「後はお若いお二人に任せて~ってやつね。このはちゃん、秋夜は大人になってくるらしいから、入り口で待ってようか」
このは「は、はあ」
ことり「待っておいてくねってそういう」
秋夜「お、おい!?」
玲海「Bye」
▶玲海達はひらひらと手を振りながらこのはの背中を押して病室から出ていったよ
秋夜「あいつら台風かよ……。綾瀬、大丈夫か?元気ないんじゃないのか?」
ことり「えっ、いやうん!大丈夫、です」
秋夜「そ、そうか……」
ことり「あのーーー……、この間は、ごめん」
秋夜「あ、あのさ、俺が勝手にやったんだから気にしなくていいから。それだけ」
ことり「うん……」
秋夜「それだけ、ずっと言いたくてっさ」
秋夜「なんか、すまんな。綾瀬だけでもどうとでもなりそうだったのに勝手に身体が動いてたわ。無駄な心配させて、ごめん」
ことり「うん……ごめん、ありがとう」
秋夜「今日の朝、うちにもみじさんが来て、全部教えてくれたよ。気付かない馬鹿は俺だけだったんだな……」
ことり「あーーーそっか、うん、隠してたつもりはないっていうか、まあ誤魔化したりもしたんだけども……」
秋夜「そ、それでな。なんか、俺にも出来ることないかなって思ってさ、じっちゃんにお願いして、立入禁止のあの祠。入れるようにしてもらった。じっちゃんによると、破魔のお守りが入ってるって」
秋夜「1ペアあるらしいから綾瀬と、このはちゃんで使ってやってくれ。――――本当にすまんかった。許してくれとは思わないが、気にしないでくれ」
ことり「うん、ありがとう」
ことり「というかあれ、それだと秋夜くんの分はどうするの」
秋夜「俺……?まずは治さないとな。その後は……、俺の部屋の地下で特訓するよ。女の子1人守れないなんて、情けないからな」
ことり「そ……っか、楽しみにしてるね」
秋夜「――――ちょっと恥ずかしいこと言ったな俺。気使ってくれてすまん……」
ことり「ううん、こっちこそ色々ごめんね……」
ことり「怪我、大丈夫……?――――じゃ、ないよね……」
秋夜「気にしないでくれよ……気にされると俺が惨めに見える」
ことり「ごめん……。ああそうだ、タオルもってきたんだ。よかったら使って」
秋夜「ああ……ごめんな。見舞いサンキュ。このはちゃんとお守り使ってくれよ……」
ことり「うん、ありがとう」
ことり「それじゃあ今日はもう帰るね。騒がしくしちゃってごめん」
――朱鷺森市 萩野朱鷺森神社:対魔の祠 PM3:00――
▶神社の一番奥、本来禁足地とされている場所にポツリと置かれている祠。そこに
ことり「いいよとは言われたけど、さすがに本人いないところからもってくの気が引けるなあ……」
このは「立ち入り禁止のところにお守りなんてあったんですね~」
ことり「じゃあ、取るよ……?」
▶祠の中には、古い勾玉の半分ずつをペンダントにしたものが置かれていました。その下には大量の御札が貼られた木板があります。ピリッと痺れるような感覚もしますね
このは「下手に触らない方がいいですね~。ペンダントだけいただいていきましょう」
ことり「そうだね」
▶
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます