S05.1 水上彩音のひらひら魔法少女戦隊 4月20日

――朱鷺森市 朱鷺森高校:教室 AM7:50――


秋夜「綾瀬がいない間に……なあ水上、ちょっといいか?」


彩音(魔法少女アヤネって何……?なんで少女アニメ主人公みたいな……。私そんな趣味ないのに)


秋夜「おい聞いてるか轟砲ロリ。おーい?」


彩音「誰がティガ銃か。ってそうじゃなくて、何か御用?」


秋夜「ああ。今日ちょっとうちの神社来ないか?教室だと朱城やら綾瀬やらがいてな……」


彩音「話しにくい事、か……。まあ、いいけど」


秋夜「ああ。すまんな。朱城が茶道部から戻る前に終わらせたいから放課後校門で待っててくれ」


彩音「ん、わかった。紙パックの午後ティーでも飲みながら待ってる」


秋夜「おう。じゃあ放課後な」


ことり「彩音ー、何話してたの?」

彩音「ん?相談事」

ことり「相談事?」

彩音「あんまり人に、特にあなたとかに聞かれたくないこと、らしいけど。詳しくは学校が終わってからだって」


ことり「特にってひどくなあい?――って放課後デート?」


彩音「構図的にそう見えるかもだけど、まあ違う」

ことり「ほーん?まあ頑張って」

彩音「それなりに」


――朱鷺森市 朱鷺森高校:校門 PM16:20――


彩音(さって、まだかなー。そろそろ午後ティー飲み切りそう)


秋夜「おう、待ったか?ちょっと俺と付き合ってくれ」


彩音「誤解を招く言葉だけど大丈夫?」


秋夜「お、おう!?あっ……えーっっと……ああ!なるほど。す、すまん……。じゃあ取り敢えず俺んちに向かいながら聞いてくれ」


彩音「はいはい、じゃあ行きましょうか」


秋夜「おう。――――最近朱城が魔法少女アニメにハマってるんだわ。プリキュアとかセーラームーンとかじゃなくて、ぴちぴちぴっちとかゆゆゆとかツインエンジェルとかのさ」

彩音(魔法少女……。あっ胃痛が)


彩音「……アッハイ、それで、それがどうしたの?」


秋夜「いや……で、な。あいつ実家のおじさんに結構な額のお小遣いもらってるらしいんだわ。――まあそこまでなら羨ましいくらいで済んだんだけどな……。その……」


彩音「えーっと、問題とする所は何?」


秋夜「いや、そのだな……。明日辺り朱城が自作の魔法少女グッズを持って拉致しに来ると思うんだわ。南無」


彩音「……………hai?」

彩音(それはつまり、これはつまり、えっと……うん?)


秋夜「めっちゃ露出すごいピチピチフリルみたいなのでな。いやなんというかそのな、な。えっとその情欲をそそられるといいますか直視出来ないというかみたいなのでして」

秋夜「こういうのを教えようと思っても花恋に聞かれると蹴られるだろうし、綾瀬に聞かれると割りとノリノリで着そうだし、朱城に聞かれるのは論外だしで、な?わかってくれ」


彩音「――――つまりは、明日気を付けてね?」


秋夜「ああ。そういうことだな。俺としては着てくれても一向に構わんけどな!」


彩音「………変態!」


秋夜「うるせー!全青少年の夢がほっとけば明日実現するというのに、わざわざ忠告してやったんだぞ!変態と罵られる謂れはない!」


彩音「夢は二次元に詰め込んで一生夢見ててよ、もう……。明日、明日かぁ……」


秋夜「まあ、流石の朱城もお前に似合うやつ仕立ててくるだろうから安心して着てくれ。俺は1眼レフを学校に持ち込む」


彩音「しかもロケーションは学校なの……。露出が多い時点で似合ってても着たくないのに……」


秋夜「諦めて着てくれ。っとうちの神社に着いたぞ」


――朱鷺森市 萩野朱鷺森神社 PM16:40――


秋夜「花恋に俺の秘蔵DVDを燃やされてな。靄靄してたのをスイーツにぶつけたんだわ。無駄にケーキあるから朱城が来る前に食って帰ってくれると助かる」


彩音「着いた……着いちゃった……あはは……はぁ」


秋夜「水上はレアチーズとショートとショコラとモンブランのどれが好き?持ってくるわ」


彩音「――――ショコラで」


秋夜「ウッス。俺の秘蔵ファイルの為に犠牲になってくれ」


彩音「もう一度燃やされちゃえ……」


秋夜「花恋にバレなけりゃいいんだよ。いっぱいあるから肉つけろ」


彩音「人の変態画像集のためになんで体づくりしなきゃなのよ……」


秋夜「いや俺どうこう以前に細すぎんだよもっと食え」


彩音「女性の体重関係を口にするなんて、ほんと……」


秋夜「体重は言ってないだろ!せめて着替えるときにアバラ見えないくらいは太れって」


彩音「仕方ないじゃない、食欲云々以前に食べても重くならないんだもの……」


秋夜「おう……世の女性を殺しに来てる発言だな……。いいから食え食え」


彩音「むぅ……イタダキマス……」


――朱鷺森市 朱鷺森高校:校門 PM13:20――


玲海「あーーー!!!!アヤネ?何処行くんですか?今日はミス魔法少女コンテがあるって言ったじゃないですか。早く被服室行くですよ!!!!」


彩音「ちょっと待ってひらひら嫌なの私そんなの似合わないからあああいいいいやあああああぁぁぁぁ……」


玲海「ほら来るです!魔法少女にロリ枠は必須ってシューヤの本に書いてありました!合法ロリはあなたしかいないんですよ!」


彩音「それは本の中の世界での話だから!本当の世界にそんなもの必要とされてないからぁああ!」


――朱鷺森市 朱鷺森高校:被服室 PM13:35――


彩音(あぁ……あれは、彗星かなぁ……?いや、違うな…彗星はもっと、ばぁーって、光るからね……)


花恋「ほらー!口では嫌がってもなんだかんだで流されてくるんだよ!」

玲海「ほら!この全身タイツにフリルだけひっついたCostumeと胸元と背中バッサリなCostume、アヤネ、どっちにしますか?」


ことり「うっわあすごいセンス」

彩音「どっちも変態的じゃないですか!嫌ですよ私そんなの着るの!いやー!」


玲海「まあ着なければその肌蹴た初々しい裸体を嬲るようにカメラに収めて、ケダモノが溢れたInternetに放出してもいいんですよ?」


彩音「なんで英単語だけ流暢になる留学生みたいな台詞になってるんですか……」

ことり「いやしっかし、どこからそんな服持ってくるの……」


花恋「忘れがちだけど実際ギリ留学生だから……。玲海ちゃんの自作らしいですよ?私は諦めてこの露出の少ないのを……」


ことり「うわすごい。手先器用なのねー」

ことり「こっちの背中出てるのも結構可愛いと思うよ彩音」

彩音「自作なのは事前にあの変態に聞いてたからわかっていたけども、せめて露出は少ない方が……」

彩音(いや、逆にそれがそそってしまうのだろうか?でもそのままの考えが……)


花恋「じゃあ私着替えてくるね……」


ことり「ってあれ、花恋も着るの……」


玲海「当然です!!魔法少女は5人揃ってこそマコトのpowerを発揮するのです!!」


ことり「戦隊モノかな?あいや、でも確かに5人いるイメージは確かにあるかも」


▶彩音は5人揃わせる為の犠牲者になれと言わんばかりの視線をことりに向けた!

▶ことりはガッツリ目を逸した!


凛空「玲海お姉さま。開場まで後20分らしいです。早くするのです」

玲海「Oh!コトリ、早くCostumeを身に纏って月に変わってお仕置きするのです!!」


彩音「目を逸らすんじゃないっ!って、開場って何!?身内だけで終わるわけじゃないの!?」

ことり「えっ待って私も?」


玲海「当然です!!まあ向こうで待ってる男の衆目にその肌色を舐めるように凝視されたいならその制服でもいいですケド」

凛空「お姉さまお姉さま。私達も着替えないと時間ないです」

彩音(逃げたい、帰りたい、寝たい……)


ことり「いやまあ着るのはいいんだけど、衆目って言った……?」


玲海「そうね。Ria!ミス魔法少女コンテだから当然じゃない!アヤネ!行くわよ!」

彩音(さも当然のように連れてかないでー……)


――朱鷺森市 朱鷺森高校:グラウンド PM14:00――


司会「今年も始まりました!校長の趣味である朱鷺森市主催ミス魔法少女コンテスト!なぜ魔法少女なのかは市に聞いてください!それではーエントリーナンバー1番!花の女子高生ユニット、正義の味方です!」


玲海「さぁ!どんな魔法少女Costumeを選んだのか自分で名乗り口上してもらうわよ! 月の光に誘われて、煌めく朝日の化身!Remi!!」

花恋「ほ、ほんとにやるの……?あなたの為に捧げます、愛の魔法少女か、花恋……!」

凛空「え、えっと……全国のお兄ちゃん、お兄ちゃんになぁれ♪Ria…………」

彩音「――――あなたの心を撃ち抜く、彩音……」

ことり「愛とか恋とかそういうあれのあれ!ことり!――――――待って待って予想以上に恥ずかしいこれ待って」

彩音(無理!やっぱり無理!こんなのを見て喜ぶ大人の友達とか言う変態の集まりに見られるの無理!)


▶グラウンドにいる男子は大盛りあがりですね。写真部と思われる高そうなカメラを持った生徒が物凄い勢いでフラッシュを焚いています


秋夜「いや恥ずかしいのはわかるが高校のグラウンドの特設会場でしゃがむと余計恥ずかしいからな……。――――撮るけどさ」


彩音「うるさい変態の権化!その手に持ってる一眼レフしまって!!!」


玲海「参加者3組とはいえ全力で勝ちを奪い取るのです!!!」


ことり「というかそもそもなんでグラウンドの真ん中にこんなんできてるの!邪魔でしょ主に部活動の!!」


司会「大丈夫です!!!!!!今日は部活動おやすみなので!」

秋夜「いや気づいたら企画が通ってたんだよ……。一生の宝にするって!」


彩音「恥でしかないから今すぐ燃やして!」


ガヤ「いいぞー!」

ガヤ「写真撮れー!」

ガヤ「1枚70円だぞー!」

ガヤ「カメラマン秋夜作は1枚90円だー!先着20名様だー!」

ガヤ「買った!!!焼き増ししとけ!!!」

彩音(もうやだ、早くこの場から去る!)


▶彩音はダッシュして逃げるように被服室に戻っていくよ


ことり「あっちょっ待って彩音おいてかないで!!」

花恋「いやーこの空間に置き去りにしないで!」


司会「ありがとうございましたー!いや~恥じらうJKとかたまんないですねーってえっ?決めポーズを取ってないから失格!?あー正義の味方チームさん残念です!――――えっ??2組目の小学生ユニットさんも風邪で欠席?えーっっと……3組目のふたりはオバチャン☆です……」


掃除のおばちゃん「男は私の前に跪くのよ!」

PTAの親御さん「煌めく魔法の花咲き乱れ!キュアピーティーエー!」


司会「――――――――…………それでは、ミス魔法少女コンテストの優勝チームは ふたりはオバチャン☆ チームでした!また7月にお会いしましょう~!」


ガヤ「金返せー!」

ガヤ「優勝は正義の味方だろうが!!!」

ガヤ「秋夜作の写真は1枚140円!!値上がりだよ~!!」

ガヤ「おま……!マジかよ……」

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