S03 霧江花恋の約束事 3月18日

************

わたしだって見えていたんだ。

わたしだって行きたかったんだ。

でも、わたしにはそんな運命の女神は微笑んでくれなかった。

わたしに

世界の裏側を覗くには、資格がなかったんだ……

************


――萩野朱鷺森神社:境内 AM10:45――


秋夜「え、ええと。その、うん。あれだ。いきなり呼び出して悪かった。頭のおかしいとか、ラノベの読みすぎとか言う前に話を聞いてくれると嬉しい」


ことり「うん」


秋夜「あっ……うんそうだな。えっとな、そのぉ、こないだから妙なものが見えるんだよ。ああーそう!見間違いとかそういうやつじゃないんだ!」


ことり「妙なもの?例えばどんな?」


秋夜「いや、お前とか水上とかが謎の光に包まれて変身したりとか剣を召喚して戦ってたりとかそういうやつ。やばい、俺がおかしいわけじゃないんだって。あーやばい、うん。適当言ってるわけじゃないんだけど、いやぁその、聞いてみたくて、さ」


ことり「う、ううん。流石に覚えがないものをどうって言われてもなんとも言えないんだけど、それでも見間違いじゃないって確信できるのなら案外本当にそうなのかもね」


秋夜「い、いや……その。引かないでくれただけでありがたいよ。で、で、だ。……あ、綾瀬。お前は……ああごめん!綾瀬にはアレが見えるか?」


▶綾瀬 客観視

 失敗

▶確かに見た。見えすぎた。湖に青いもやがかかり、空間が開いているのを。それはまさに悪鬼への入り口のようです


ことり「ううん?ごめん、よく見えないや」


秋夜「俺には薄くだがもやもやとしてはいるんだが、なんか時空間の入り口みたいなのが見えてな。あぁ……ごめん厨二病とかじゃないんだ。そう!俺が疲れてるだけなんだ」


ことり「んー、まあそういう日もあるんじゃないかな。あとは、あんま遅くまで起きてちゃダメだよ」


秋夜「いやすまん……。ほんと。俺のこんな妄想話に付き合わせてすまんかった。代わりといってはなんだが、今度飯奢るわ。何食いたい?」


ことり「いやあいいのいいのこれくらい。それに話聞いただけだし悪いよ」


秋夜「あ、あぁぁ……悪いな。なんか気い使わせて。じゃあ、また学校でな……」


ことり「ん、またね」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 AM10:45――


もみじ「ほ・ん・じ・つ・は!レイジングストームが1コイン残機9になってるよ!!ということで私も遊ぶー棗くんとこのはちゅわぁ~ん!よっろしくぅ!」


棗「仕事をしろオーナー。そんなのだから珍妙な連中しか集まらないんじゃないのか」

このは「はい~。こういう経験も大事ですよね~」


もみじ「わかってないわねぇ棗きゅん!小学生割烹着メイド!!!メイド!!!ロマンあるじゃない!ロマンも割烹着メイドも同じ所だったねぷふーっ」

もみじ「まあそんなことはどうでもいいんですです。棗くんにこのはちゃん。ついでにそこのヒモも来てくれる?」


棗「お前のそれはロマンじゃなく横暴と言うんだ」

このは「まあまあ、こういうお洋服もたまに着れるなら悪くないですよ~」


もみじ「そういう堅いこと言いっこなしなし。そういうわけで、湖に悪鬼の入り口が発生してるのは知ってる?なんだかんだと言われたら答えてあげるが世の情け。誰が作ったかはしんないけど、あるだけで悪影響なのだわ」


棗「そういうことか。それならさっさと片付けないとな」

このは「むぅ、それは早めに閉じてこなきゃいけませんね~」


もみじ「私がレイジングストームでチームアルファに英雄に祀り上げられる前になんとかしてきてー。今日は三連休だから喫茶店サボる!」


小菅沢 「――――反応が遅れてしまいましたが、そういうことなら行ってきます!」


もみじ「このはちゃんにメイド服着せたのはただの趣味でしたランラン」


棗「――良い度胸だ。精々苦労するんだなクソオーナー……」

小菅沢「……趣味はいいのではないでしょうか」


もみじ「ふわああぁ いってらっしゃあい よぉこそぉ↑モミジカフェへ~なんてねなんてね。――……閉めるから10秒で支度してね」


棗「ぺっ」

このは「わぁ、待ってください~。そんなに早く準備できないです~!」


――朱鷺森市 朱鷺森駅前 PM3:00――


花恋「すいません結センパイ!おまたせしてしまいましたか?」


結「いーや?私も今来たところだよ。そんなに慌てなくていいよ」


花恋「ごめんなさい!結センパイにご迷惑をおかけしてなければいいなってわたしも思ってて、で、ヘアセットとかしてたら気がついたらこんな時間でってはやりすぎちゃった……。――すいません結センパイ」


結「あはは、花恋らしいね。まぁまぁそんなに謝らなくても怒ってないよ」

結「それで何するんだったっけ?」


花恋「ああ言ってませんでしたね。――――結センパイには、あたしを殺してもらおうかなって思ってまして」


結「えぇ?私あんまり力無いよ?というか何だか物騒だよー、どうしたの急に?」


▶結 落ち着かせ

 成功


花恋「ああすいません……言葉足らずでした。正確には結センパイに、湖に見えるあれをなんとかしてほしいんです。結センパイなら見えますよね?」


枯尾「力の1号技の2号、僕の名前は枯尾花…ふふふふ。面白そうな話をしていますね」


花恋「楽観の3号!霧江花恋です!おねーさんも見えるんですか?」


枯尾「ハッキリではないですが、見えますね。面白い子は好きですよ。飴をあげましょう。ハッカとサルミアッキしかありませんが」

結「私ハッカくださーい」

枯尾「はい、どうぞ。僕はハッカ味が苦手なので大量に余っているのです」


花恋「サルミアッキですか?あたし好きなんです!おねーさんいい人なんですね。一緒に行ってほしいなって思ってるんですが、結センパイと一緒に来てくれませんか?」


枯尾「ええ、大丈夫ですよ。荒事は苦手ですが、怪異は僕の娯楽ですからね」

結「花恋ちゃんは危ないんじゃないかな?ドッペルゲンガーにぐわーって襲われちゃうかもだよ?」


花恋「わたしには入る資格なんてないですから。行けばわかります」


▶枯尾は小菅沢に電話をかけます


枯尾「というわけで盾……じゃないですね、面白そ……ええっと、女性だけでは不安なので来ていただければな、と」

小菅沢 「な、なるほど、わかりました……。ご連絡ありがとうございましたっ!丁度こちらもその悪鬼に向かっていたところです、入り口で落ち合いましょう!」

枯尾「ええ、そうしていただけると助かります。僕も1人では寂し……辛いですからね」

小菅沢「ハッ、ハイッ!!それでは後ほど……!」

枯尾「今回はうっかりしないように、お願いしますね?」


――朱鷺森市 朱鷺森湖 AM11:00――


▶綺麗な湖で、飲水にもなっています。最近だとブラックバスの野生化が問題になっていて、食用転換したりする活動をしていたりします


花恋「ゆいセンパイ!ここです。見えますか?」


結「あー、何かあるねー。なんだろーあれ」


花恋「やっぱり見えるんですか。一生懸命特訓したんだけどなぁ」


結「何を特訓したのかは知らないけど、結果はそのうちついてくるよ」


花恋「そうですね。わたしだって4年間一生懸命真面目に頑張ったんですけどね。――ところでおねーさんはどちらへ?」


結「枯尾花さんどっかいっちゃったけど、たぶん遅れて来るんじゃないかな?」

ことり「あれ?花恋?」


花恋「あれーどうしたのことりちゃん!しゅーやくんに神社裏されたって学校で話題だったんだよ!」


ことり「そんな話題になることなのあれ。ちょっと相談受けただけだよ」

ことり「というか花恋はどうしてここに?」


花恋「あーごめんことりちゃん!こっちが私の尊敬する結センパイ。結センパイ!こっちが数々の男を素知らぬ顔で手酷くフッた魔性の女ことりちゃんだよ」


ことり「魔性って……。と言うか告白も受けたことないしー」

結「ことりちゃんっていうのかー、だめだよそんな傷つけるようなことしちゃー」

ことり「あ、どうぞ宜しくお願いします。結さん」

枯尾「そして僕が枯尾花です」

ことり「うわびっくりした。枯尾花さんいたの」

枯尾「ええ、いつの間にかいました。何分記憶喪失なものでして」


▶小菅沢達が遅れて湖に到着します


小菅沢 「お待たせしました。枯尾花さん、それと……鳥江、結さん……」

このは「先客がいたんですね~にぎやかです」

小菅沢 「ア、アレ、綾瀬さん……どうしてこちらへ……?」


花恋「ことりちゃんも見えてて、素知らぬ顔で来れるんだね……才能の差だなぁ。いいもんいいもん!あたしだってまたしゅーやくんと修行するもん!」


枯尾「修行!いいですね。僕も修行は好きですよ。修行の結果林檎をジュースに出来るようになりました」

ことり「どうしてって言われても、アレが見えたから気になって。――と言うか花恋も見えるの?ってかこれ修行でどうにかなるものだったんだ……」


花恋「うん。なんとかぼんやりくらいだけどね。結センパイ!申し訳ないですが、あたしをお願いします。あたしは神社に行ってきますので……」


結「うんうん、また何か相談あったら気兼ねしなくていいからねー。ばいばいー」


▶棗 水泳

 クリティカル

▶大きいブラックバスが釣れた!


棗「フィッシュ!さて」


ことり「おおー、湖のヌシ!すごいですねまさきさん!」


棗「魚も特に影響なし。これなら解決しちまえば何の問題もなさそうだな。これはこのまま貰って行こう」

枯尾「大きくて立派ですね。こんなに大きいのは初めて見ます」

棗「といってもこのままじゃあな……誰かいるか?焼けるならもらっちまって構わないぞ」

枯尾「――うーん。僕はこの魚を食べてみたいのですが、焼いてみても良いですか?」

棗「ん?ああ、どうぞ」


▶枯尾 自炊

 成功

▶手際よく捌き、美味しそうに焼きます


枯尾「ふふふ。上手く火が通りましたね。日頃の成果が出たようです」

ことり「おおー、釣ったばかりをすぐ食べる。いいねー、サバイバルだねー」

棗「ほー、見事なもんだな。折角だしそのまま貰ってくれ。魚持ったまま動きたくないしな」

結「料理上手なんですね、すごいなー……」

枯尾 「いつか猪を狩って丸焼きにするのが夢ですね。美味しい物は幸せになりますから」

小菅沢「いい匂いがしますね……この魚は食べられないと聞いてはいたのですが、この匂いなら大丈夫そうですね。棗さん僕にもあとで一匹お願いします」


棗「ふっ、いいだろう。俺のことはフィッシュ棗と呼んでくれ」

棗「って違うそうじゃない。さっさと調査するぞ。そのために来たんだ」


枯尾「――さて、この魚は後でいただくとして……今回はこちらですか」


▶結以外はお祈りをしています


結「あのー、みなさん何やってるんです?」

枯尾「僕も以前初めて知ったのですが、これをやっておくと安全に帰ることができるそうです。便利な時代ですね」

棗「そういや、この子は誰だ?」

このは「あの、巻き込んで大丈夫なんでしょうかぁ……」


小菅沢「この人は鳥江さんのご姉弟ですよ……。姉弟揃って少し独特な方でして……」


ことり「うんまあ、花恋も特訓?でどうこう言ってたし、大丈夫じゃないかなあ?」

枯尾「ここにいるのなら覚悟があるのでしょう。巻き込んで大丈夫なのか心配するぐらいなら巻き込んでも大丈夫なようにするのが先達の役目です」

結「?よく分からないですけど、けんくんがお世話になってます」


棗「……ああ、彼の。よかった、もし綾瀬みたいな人間だったら最悪眠ってもらっていたぞ」


結「ところで……これから何かするんですかね?皆さん恋花ちゃんから頼まれた……のかな?」

ことり「うーん?人助け?」

棗「はぁ、参ったな。こうも色々巻き込むとはな……まぁいいさ、人間の力を借りないと俺たちも上手くやれないからな」

小菅沢「コレはあまり存在していてはいけないものなので――片づけに来たんですよ」

このは「見られないですむならこのははそれでもいいんですがね~……」


ことり「あるとないとじゃぜんぜん違うんですよこれ。かくいう私もこれのお陰で身体は健康、毎日ちゃんと朝起きれて、毎晩日記も忘れずに書いています!通常価格298円のところを、今回はもってるみたいなんで特別にタダで使い方を教えてしんぜよう!」

ことり「Shall we dance?」


棗「お、綾瀬ちゃんもこっちに馴染んできたな。良い傾向じゃないか」

結「ことりさんってゲームが上手いだけじゃなくていろんな事知ってるんですねえ」


▶結はぎこちなくお祈りをして、漫画を地面に置きます


小菅沢「――アレが人間の順応性、凄いですよ綾瀬さんは」

枯尾「さあ、準備を済ませて行きましょうか。皆の良き日々の為に」

結「よくわからないけど、恋花ちゃんを助けられるなら私も精一杯頑張りますよー」

小菅沢「行きましょう。結さん、後で先ほどの人について教えてくださいね」


――――甘美なる氷恋の神社――――


▶溶けてドロドロになっている能面がそこかしこに落ちています。クリスタルのようなものが各地に刺さっていますが、そこに目を瞑れば寂れた場所です。通路の奥に鳥居が大量に立ち並んでおり、時折なにかの鳴き声のようなものも聞こえますね


小菅沢「今回はずいぶんと不気味なところですね、警戒は怠れませんね」

枯尾「ふふふ。楽しみですね」

棗「ほいっと」

ことり「えいや! ううん、慣れない」

このは「敵さんがいないです。今までとは少し勝手が違うみたいですね~」

結「おー、手品ですかそれ?服の中からコインとかがパって出てくるやつですよね」


ことり「わかる」

ことり「いや、待って、服の中からコイン出てきたらそれ種も仕掛けも大アリじゃん……」


▶枯尾 空間把握

 ファンブル[5ダメージ]

▶棗 文化知識

 成功

▶秋月 聞き耳

 成功

▶小菅沢 風向き

 成功

▶能面から赤いレーザーが射出され、耳横を掠めます。

▶どうやらこれは萩野朱鷺森神社っぽいなって思います。鳥居が何十にも連なっていること以外ですが。奥からは澱んだ風が吹き込んでいますね。また、キーーーーッという叫び声みたいな音は恐らくうさぎの声なんじゃないか?と思いました


枯尾「凄い数ですね……。ちょっと不思議な気分です」

このは「う~ん……うさぎさんの悲鳴のように聞こえますね~」

ことり「結さんも、こう、自分でなんかすごそう!って感じのもの思い浮かべてみるとみんなみたいなことできますよ!」


▶結は手を組んでお祈りし、ふと上を見上げて空中から落ちてくるギターを拾います


結「おー、本当にできました。やっぱり愛用の物が一番ですよね」


棗「萩野神社と言えば……綾瀬ちゃん、最近あそこの神社について何か聞いてないかい?」


ことり「うーん?と言ってもしゅーやくんにも入口が見えてたのと、あとは神社から此処が見えてたくらい?」


棗「見えてた?彼は人間だよな?まさか」


ことり「いや、でも花恋と特訓?してたみたいだし?」


棗「花恋?誰だそれは。萩野神社の関係者か?」


▶一行は鳥居の通路から歩を進めていくと、小さい祠が中心に置かれ三叉路になっている場所に辿り着きます


枯尾「僕達は左に行ってもいいし、右に行ってもいい。勿論、直進しても良い」

小菅沢「分かれ道ですか、分断して進むのは、この人数では得策とも言い難いですね」


▶秋月 民俗学

 成功 8ダメージ

▶祠の扉が開き、能面がたくさんふわふわと浮いてきて纏わりついてきたと思った瞬間、爆発します


このは「こんなところにあるなんて、何の祠なんでしょうね~……ひゃっ!」

棗「なんだっ!」

ことり「うおっ、こわっ!」

小菅沢「狂暴な能面ですね……!」

結「いてて……大丈夫ですかーみなさん」


棗「ああ。それよりだ、特訓とは何のことだ?萩野と花恋というのはどういう関係なんだ?」

ことり 「どういう関係って言われても……。どう言う関係なんだろう……?」


▶枯尾 空間把握

 失敗 精神8ダメージ

▶三叉路のうち左の通路がバグったゲームのように視界が揺らぎ、最初からそこに道は無かったかのように消失します


枯尾「何か無いですかね……うっ……」

ことり「うげえ……気持ち悪い……」

結「頭がくらくらしますー……」

枯尾「うう……。すみません。どうにも今日は上手くいきませんね……」

棗「くそっ……。もう少し慎重にやってくれ……。話も飛び飛びだ……」

小菅沢「――――とりあえずあの道に進まなくてよかったということにしましょう」


▶結 ローカル知識

 クリティカル

▶綾瀬 歌唱

 成功

▶萩野朱鷺森神社の奥にある寂れていて、なぜ置いてあるかもわからない祠だ。どうしてここにあるかはわからない。ことりが鼻歌を歌いだすと、歌声は真ん中に集まって行き反響します。そのうち反響音もなくなり、真ん中の道も消えていますね


ことり「いまーはるがきてーきみーはー、きれいにーなったー」


枯尾 「――切ない歌ですね」


ことり「おお?なんか貢献した?貢献した?」


小菅沢「最初から道は一つだったようですね。突然歌いだすから何かと思いましたが、流石ですね!」


ことり「へっへーん!作戦通りさ!」


結「これ朱鷺森神社にある祠ですよー、なんでこんなところにあるんでしょうね?」

このは「相変わらずよくわからない空間ですね~」


▶三叉路を右に進み、更に長い階段と鳥居を登っていくと蝋燭に照らされた小さめな建物が1つあるのを見つけます。その周りには数多の能面がゆらりゆらりと炎と共に舞い踊っていますね


結「道が消えたり、祠が出てきたり、面白い場所ですね」


棗「祠って言うのは元来何のためにあるものだ?人間がそれに関わる理由は何だ?考えろ……無関係なはずがない……」


枯尾「――――謎解きは任せることにします。僕は刀を振り回しているのがお似合いのようです」

小菅沢「皆さんお静かに……!先ほどから分かるように狂暴なお面がうようよしてます……騒ぐのは命取りになりそうです……」


▶秋月 ローカル知識

 成功 

▶結 観察力

 失敗

▶棗 情報分析

 失敗 10ダメージ

▶能面が体当たりをしたり、朧火が衣服の裾を燃やすします。萩野朱鷺森神社は代々10月の半ばに祭りを行っている。能の演舞も祭りと一緒にやっていたはずですね。

▶これまでの情報を踏まえ、萩野秋夜と霧江花恋きりえ かれんは神社で秘密の特訓をしていたようですね


ことり「あいた!何すんの!!」

結「うわっ!燃える燃えるー!熱い!」

このは「そういえば萩野神社では毎年10月に能を行っていましたね~。少しは関係ありそうです」


▶更に進むと、建物を取り囲むように照らされていた蠟燭の火が急にかき消され、再び薄明るくなった時、気がつけばあなた達は神社の中の能面舞台の上に立っています


このは「飛ばされましたね~。大丈夫でしょうか……」

結「おお、瞬間移動ってやつですかね?――今度は念じてもできないですね」


ことり「おーおー、これまた不気味な」


棗「!?ここは……舞台、なのか?」

枯尾「――――不思議な光景ですね」

小菅沢「見かけによらず狂暴なお面でしたね。――また会うこともありそうです」

棗「状況はよくわからんが、さっきまで居た厄介な能面はいない。手短に休憩を取ろう。あれも馬鹿にできないからな」

枯尾「――今のうちにお魚を食べておきますか」

結「じゃあお香でも炊きましょうか、痛み止めになるらしいですよー」

棗「助かる。何が起きるか分からんからな」


▶結 回復の草


枯尾「良い香り……、なんでしょうか。僕の感覚はアテになりそうにないですね」

このは「わぁ~、いい香りですね~」

小菅沢「ありがたいです……」

枯尾「――僕は考えるのが苦手なので分かりませんが、この場所はどのような意味があるのでしょうか」


▶秋月 情報分析

 成功

▶見回してみるとチラシが壁に貼られていた。それによると、今年の萩野神社の演目は[創作演舞:恋]と言うらしい。内容は、兎が村人に身分違いの恋をし、なんとか人に化けることができたものの、その村人には既に妻がいた……。とあらすじに書いてあります。物語の最後の展開は10月の公演まで秘匿されてあり、街の話題にもなっているようですね。


このは「ああ、今年の能の演目がうさぎさんの出てくるお話でしたね~。最後の展開がまだわかってないんですよ~」

棗「なるほど、だからうさぎの悲鳴か」

枯尾「兎さんですか。いいですね。僕は兎の足が欲しいです」


棗「――そうだ、その演目の主役が萩野秋夜だ。主役として抜擢されたはずだったな」

ことり「ほへえ、すごいね秋夜くん」


枯尾「――主役。それは凄い」

棗「なら、もう1人も関わっている可能性があるな。だから2人ともここが見えたといった……。とするには少し強引か」

枯尾「何か悩んでいたのかも知れませんね」

結「あの子変に思いつめる癖あるもんねー……。あ、そろそろお香切れそうですし行きましょーか?」

小菅沢「まだ結論を出すには早いですしね、情報を集めるにも、進みましょう」


▶能面舞台を更に進むと大きい襖があり、そこを開けて進んでいくとまた襖があります。それをずっと繰り返し進んでいくと、蝋燭が左右に立ち並び、一際豪華な装飾を施された襖があります。あれだけあった能面の姿は見えなくなっていますね


▶枯尾 罠知識

 成功

▶壁に槍の射出口がそこらに見えます。襖には鶯に突かれて死にかけている兎の絵が書かれています


枯尾「――槍の射出口がありますね。刺さったら痛いでは済みそうに無いでしょう」

小菅沢「よく気付きましたね……!射出口を避けて進みましょう」

綾瀬「うっへえ、流石に痛いで済まなさそう……」

このは「よく見つけられますね~。すごい観察眼です~」

棗(殺意の匂いに敏感なのか……?)

枯尾「罠は避けて行きましょうか。僕は痛いのは苦手ですが、刺さりたい方がいれば止めません」


――甘美なる氷の神社:表舞台――


▶襖の後ろで滝が流れる和室の厳かな空間に、黒い羽の生えた女の子が1人、正座で待っています


???「あなた達、特に結センパイに恨みなんてないですが、自衛のためには死んでもらうしかないですね」


小菅沢「お邪魔しといてなんですが……、貴方は……」


ことり「って意識あるの、花恋」


結「花恋ちゃん?神社に行ったんじゃ?」

棗「ふぅ。こうなるだろうなって感じだな」


ことり「え、というか花恋?」


棗「ここにいる以上そういうことだ。気を抜くなよ」


ことり「なんでここに?さっき神社に行くって??あれ?」


このは「彼女に関連したモノではあるでしょうけど、彼女本人ではないと思いますよ~」

小菅沢「そうですね、むしろ彼女の……。悩みそのものみたいなものでしょうか」

結「あなたが花恋ちゃんが殺してって言ってた花恋ちゃんなのかな?よく分からなくなってきちゃった」


花恋「私は霧江花恋。そのうちことりちゃんも、そこのおねーさんも、結センパイも体験することになるだろうね。澱みきった気持ちは溜め込まれるものなのよ」


▶花恋は何かを唱えたかと思うと、建物が崩れ落ち始めます


枯尾 「――ああ、感謝します。貴方は斬っても良い怪異です」


▶戦闘前行動 綾瀬 きびきび動こう 枯尾秋月

▶戦闘前行動 結 スルーパス


ことり「えっと、こんなのどうでしょう。」

このは「ありがとうございます、お任せください!」

このは「とはいってもこの不安定な場所じゃあんまりできることなんですけどね~。しっかり視てあげますよ~」


▶秋月 妖怪知識

 成功


▶花恋 アイス

 14ダメージ


花恋「自衛の為だからごめんねっ!」


ことり「あいったあ!!」

結「いったーい……」

枯尾 「くっ……良いのを貰ってしまいましたね」

小菅沢「何度も受けていいものではありませんね、早々に片づけましょう!」


▶枯尾 回復薬

▶小菅沢 ファイア

 32ダメージ


枯尾「凍りつく前に食べておきましょう」

小菅沢 「ハッ!きませい!焔!」


花恋「キャアァ……!!!火使えるなんて聞いてないよぉ」


ことり「おー、曲芸師みたい。というかなんかさっきの失敗した気がする!!!!みんなごめん!!!!!!」


▶棗 通常攻撃[属性違うぞ!]

 成功 52ダメージ


ことり「今度はちゃんとなんかいい感じだと思うのでどうぞ真貴さん!!!!!」

棗「いいアシストだ、ファイア!」

結「花恋ちゃん、どうしてこんなことしてるの?教えてくれないかなー……」


▶結 信用

 成功

▶花恋は物凄く憎悪に満ちた顔をして、吐き捨てます


花恋「ゼェ……ゼェ……。死に晒せばいいと思うよ」


結「うーん……ごめんね」


花恋「謝っても私に才能は生えてこないんですよ」


枯尾「――気持ちは分かりますが、相手は怪異で、もう命のやり取りは始まっているんです」


▶結 回復薬G ファイアウェポン


結 「火が弱いならこれで……」

枯尾「――氷には炎、ですね」


ことり「ありがとうございます結さん!」

ことり「なんかこう、取り繕おうとしたけど何も言葉が出ないや。だから……、とりあえず頑張るだけ頑張るよ!」


▶ことり 速度調整 ことり花恋

▶このは 情報分析

 成功


花恋「くぅぅ……身体が、重くッ……」


このは「う~ん、カラスと言えば火の象徴でしたね~。彼女の明るさがあって、目の前に立つモノはそれが反転したといったところでしょうかぁ?」


花恋「へぇ……賢いのね」


枯尾「光があれば影が差す、ですか。影が斬れるかはやったことがありませんね」


▶枯尾 魔眼 通常攻撃

 失敗

 成功 44ダメージ


花恋「人間の分際で無茶はしないほうがいいよ。死んじゃうよ?」


枯尾「おや、人間として扱って頂けるとは。ありがとうございます」

枯尾「まあ、それはそれ、これはこれです。怪異は斬りますよ、遠慮なく」


花恋「ま、そういう口調、考え方ができるのは今だからだよね。現実を知った時がどうなるかわたしは楽しみだよ。結センパイは私によろしく。―――ことりちゃんもね」

 

▶そう言うと、花恋の黒い羽の先端から燃えていき、やがて黒煙を纏って何もいなかったかのように静寂感が帰ってきます。そのおかげか水の音や崩壊の音が更にわかりやすくなり、慌てて周りを見渡すと崩れかけてきていた舞台が完全に崩落し、滝壺に飲み込まれようとしています


結「ん……分かった。ごめんね力になれなくてー」

棗「終わったな。倒した以上得られるものはない、帰るぞ」


ことり「なーんかシャクゼンとしないなー」


このは「遅れれば怪我ではすみませんね~。早くいきましょう」

小菅沢「ぐだぐだいうのは後にしましょう!脱出です!」

枯尾「――――本当は、別の回答があったのかもしれませんが……。僕のような人間には難しいでしょうね」

結 「……じゃあね」


――朱鷺森市 朱鷺森湖 PM5:00――


秋夜「……で?本当にここなのか?タイムスリップしそうなやつなら朝綾瀬と……、うん、綾瀬と見たが」

花恋「むむむぅ……。絶対いるはずなんだよ……!結センパイもことりちゃんもここで別れてそれきりでね……!綺麗な七瀬おねーさんにも聞いたから間違いないって!」

秋夜「だ~か~ら~!綾瀬も鳥江先輩とやらもいねえじゃねえか!あれから6時間も経ってんだぞ花恋。もう晩飯の時間だぜ」

花恋「えぇ……。でもほら!あれなくなったしそろそろ来るはずなんだよ。絶対あれはタイムスリップするやつじゃないんだって!」


▶結達が戻ってきます


結「あ、花恋ちゃんー訓練?は終わったの?」


花恋「あ~結センパイ!無事だったんですか!しゅーやくんがどうしても綾瀬が心配だー警察にーとかグダグダうるさいから探してたんですよ!」


枯尾「お二人は仲が良いんですね。羨ましいことです」

棗「都合よくご両人がいるもんだな。どうしたもんか」

小菅沢「今回の悪鬼を生み出したのは間違いなく彼女でしょう。心の内を聞き出してみれば原因も探れるのでは……?僕にはできませんが……」


ことり「あらま、心配してくれたの?ありがとう秋夜君」


秋夜「い、いやその。話を振ったのは俺だったからさ。なんかあったら後味悪いなぁってよ」


結「あ、そういえば花恋ちゃんによろしく……、って言ってたよ」


花恋「そうですか……。いつか、ちゃんと結センパイにもお話しますね。みなさん、この度はありがとうございました」


棗「なら、今から着いてきてもらえるか?聞きたいことは山ほどあるんでな」

小菅沢「ダメですよぉ棗さん!今はそっとしておきましょうよぉ!」

枯尾「――ところで、ずっと気になっていたのですが花恋さんと秋夜さんはどのような関係なんでしょうか。いえ、仲が良いのは分かりますが」

このは「人の心を、無理に詮索するものではないですよぉ?」


花恋「え、えぇと……私は巫女の家系なの。しゅーやくんは同年代だから一緒に修行してたってだけ。事情聴取っぽいのは明日とかでもいいですか……?門限が危なくて」


棗「これも仕事の一部なんだかな。まぁいい、それでいいさ」

結「うん、たぶんまだ今は話せないよね。――じゃあまた何か困ったことあったら頼ってくれていいからね」


秋夜「何カッコつけて私とか言ってんだよバーカ。なんかあるっぽいんだが、部外者っぽいので俺は帰ります。綾瀬、また明日な」


ことり「うん、また明日」

このは「今度は一緒に遊びましょうね~」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 AM9:30――


もみじ「それで?平日の朝から事情聴取とやらを受けに来たと。よっぽど聞かれたくないみたいねぇ……」


花恋「そ、そんなことはないですよ!しかも、おじいちゃんにあのことがバレちゃって放課後は当分みっちり巫女の修行させられるんです……」


もみじ「ふぅん……?原因はわかってるの?」


花恋「これかなぁ~……みたいなのはあるんですけど、やっぱりはっきりしないんです。わたしがやっぱり未熟だからなのかな……」


もみじ「棗くんからの報告書に、ことりちゃんのそっけない世間話、嫌がりはしてもなんだかんだスク水マフラーメイド服を着てくれるこのはちゃんや花ちゃんに、家賃をこっそり2倍に上げてるのにも気づかない天狗くんに、裏方の情報収集に回したフワンテちゃんに弟くん、それに石川からの経過報告…………!――――なるほどねぇ。若いっていいわねえ!ちょっとお姉さん妬けちゃうわ」


花恋「え!?え?ちょっと~七瀬おねーさんも教えてくれてもいいじゃないですか~!いじわる!」


もみじ「それがわかるまでは修行ってことで!いやぁコーヒーが美味いわ!あっこれは自画自賛ね……フフッ★」

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