クライマックスフェイズ:シーン6「あった。なかった。」

GM:あなた達は桜井博士が居るはずである廃倉庫に辿り着いた。桜井博士は物陰に隠れているが、追い詰められている。

 この倉庫に居たもう一人の人物、ロストレコードの銃口は桜井博士に向けられていた。

琳:はわー 「ヤスミちゃん!」と、とりあえず声をかけますかねぇ

 ちゃんと名前知ったからそっちで

GM:振り返って見えたロストレコードの顔は、明確に誰かへの敵意と憎悪を抱いていた。

ロストレコード:「ああリン、ちょうどよかった。一緒にこのクソヤロウを殺そうよ。きっとすっきりする」

琳:「ど、どうしたのヤスミちゃん、怖いよ……?」

ロストレコード:「言ったよね。私はさあ。足が速かった。でも実験に失敗して足を切って、腕を切って、体を切って、脳みそ刻んで……感覚は無くなったよ。肌ざわりも、臭いも、食べ物の味も、目も見えず、耳も聞こえない。脳とされている機械が情報として処理するだけ。感情も覚えない。嬉しい悲しい全てだめさ。データログに残るだけのテキスト。ごめんね旧友。私は嘘を付いた。嘘を吐ける機能はあるんだ。役に立っちゃったよ」

琳:「なにが、嘘、なの……?」

ロストレコード:「私は機械。感情なんて抱けない。リンと話した時に、"嬉しい"とか"懐かしい"とか言ったけど……今も昔も、私はそんなものを感じない。それらはただの数値なんだ。私は機械だから人間の感情を持つ機能は無いんだ」

琳:「……」立ち尽くして、俯いて、

 「……でも、でも、"嬉しい"とか"懐かしい"とか、そう言ってくれた、それを受け取ったのはわたしだよ。"言葉をくれた"のはあなただよ。だから、わたしの中ではそれで十分なの。……すごく、自分勝手だね。でも、私はそれを、嘘だとは思わない」

ロストレコード:「そうだよね。リンは。嘘も真と捉えられる……人間、だから……」

琳:「……ヤスミちゃんだって、人間だよ。元気になって、UGNでお仕事したいって望んで、ちゃんと、働いて。きっと、それは、あなたの意思だから。……きっとわたしは、何度だってそう言う、と思う」

ロストレコード:「うん……元は人間だったから、人間としての欠片は私の中に残ってる。……たったひとつだけ、私が人間だと思えるモノは残ってる。私はそれを絶対に手放さない」

琳:「聞いてもいい? それって、なぁに?」

ロストレコード:「憎悪だよ。この恨みだ。憎しみだ! 私の全てを全て変えた、怒りと怨念! それだけは一生離さない。絶対に忘れない。手放さないと決めたんだ!!!」

琳:「……うん、やっぱり、ヤスミちゃんも人間だよ。手放さなくてもいい。でも、今は」

 近づいて、銃持ってる手を降ろさせたいなーって思うんですけど、誰か何かします……?

GM:近づこうとするとロストレコードの銃口が舞風琳に向けられます。

ロストレコード:「今は……?」

琳:「……おさえて。あなたが撃つところは、見たくない。わたしだって、その人は嫌いだけど、でも、それ以上に、……あなたに、手を汚してほしくない」

ロストレコード:「そっか。汚れちゃうか……そうだよね、そうだよ。でも、汚れても構わない。どれだけ汚れても手放さない。だからこれは、私の自由」

琳:「……そっか。なら、わたし、あなたのこと、止めようとするかも。……これも、わたしの自由、だよね」

GM:ロストレコードはこくりと頷きます。

琳:言うことはこれくらいかなぁ……あとはもう殴ってでも止めるぞ、感が……

GM:するとロストレコードの隣に強烈なレネゲイド反応が発生します。

琳:(咄嗟に離れますかね)

GM:形成される黒い渦は瓦礫を掃けさせる、バロールの能力。フリースイッチがこの場に現れます。

輝:「た、隊長!?」

フリースイッチ:「そうとも! 全ては自由さ! 敵対するのも仲良くするのも、誰に味方して誰を敵にするのも、全て自由さ!」

GM:そう言うとフリースイッチはロストレコードに手をかざします。

 その手からはどす黒いレネゲイドウイルスが放たれていき、次第にロストレコードの姿や雰囲気も、らしくなってしまうでしょう。

琳:「だめ……っ!」って言うだけ言いますね……

フリースイッチ:Eロイス【超越者の戯れ】 オート/自動/単体/視界/解放

 いつでも使用可能。対象の同意が必須。

 対象キャラクターは衝動に対する任意のEロイスを即座に取得する。

 対象がジャームでなかった場合、即座にジャーム化する。

 あなたは与えたEロイスの影響を受けず、いつでも解除することができる。

GM:理性を捨てた獣、ジャームと呼ばれる存在にロストレコードは慣れ果てます。

輝:「隊長! なにやってんですか!  あいつは、あいつは、.....人間だったんだぞ」

フリースイッチ:「なにを言っているんだい? 元からこの子は立派な人間だよ? これまでも、これからも。ただ、君たちがジャームと呼んで、差別してくるだけさ。それも自由だけどねぇ」

輝:「違う! ジャームは人々を襲う化け物だ! 僕は……いや僕たちはそんな化け物になりたくないから日常を大事にしてるんだ。そんな人をジャームにした隊長。お前こそジャームそのものだ!」

フリースイッチ:「もともと人間は人間を襲うよ。昔から戦争してる。日常を大事にしようとしまいと、それはただの人間でも壊せるものだ。君達が誰をジャームと呼ぶかどうかは、自由だし、それを許容するもしないも自由だけど。そもそもキミタチに日常なんてあったっけ? まあいっか。どんな理屈をつけて戦おうと自由だからね」

輝:「許さない。僕はお前を絶対許さない」

フリースイッチ:「どうぞ、ご自由に。許したり許さなければいいさ」

琳:無言で、ただただ唇を噛んでますかね

GM:そう語り合う貴方達をよそに、ロストレコードは左手をゆっくり握りしめ、すぐ開く。何度も何度も。

ロストレコード:「これがジャーム化か。もう少し、気分も変わると思った」

 Eロイス【憎しみの連鎖】 常時/自動/自身/至近/憎悪

 テキスト改変Eロイス。あなたと同一エンゲージにジャームを出現させる。

 「そっか。私は最初から、昔からジャームだったんだ。ははっ」

GM:ロストレコードの周りから鉄屑たちが一塊になり、それは何か人型のように見えるでしょう。

琳:「ヤスミちゃんは、にんげんだよ。ずっと、ずっと……」

 小さく、呟きます「やだよ、こんなの……」

ロストレコード:「その通りなら、私は生まれた時から人間だよ。改造されてもジャーム化しても、人間さ」

琳:「そう、だね。……でも、やっぱり、止めなきゃ。わたしの、自分勝手だとしても」

フリースイッチ:「そうとも! 自由さ! 自由だ! 最高さ! これが世界さ!」

GM:声を張り上げ主張し続けるフリースイッチ。それを見てかアナタ達二人の間にぼそりとエラがつぶやきます。

エラ:「なあ二人とも。人間よ。教えてくれ。私は今、過去のあの時ああしていればよかったという、叶わない妄想がやけに止まらないんだが、これは、言葉として存在する感情か?」

輝:「それは後悔という感情だな。これがあるから人間は悔しいや悲しいといった感情が生まれるんだ。そう、人間なら」

琳:「……はい、きっと、"後悔"っていうんだと、思います。わたしも今、少しだけ、そんな気持ちがあります。でも、だからこそ、前を向かなきゃとも、思えるような、そんな感情なんじゃ……ないでしょうか」自分にも言い聞かせるように

エラ:「後悔、なるほど。忌々しく頭を駆け回る癪な感情だな。うっとおしいほど巻き付いてきて、離れやしない。だが私は逃げるわけにはいかん。しかし戦闘が不向きなのは変わらん。支援に回る。踏み出す一歩、お前達に託すぞ」

琳:「……はい。わたしはもう、目をそらしません」

輝:「僕は、いや俺はもう戦える! フリースイッチ、お前を倒す!」

GM:目をそらさずに、この光景を直視する。駆け巡る思いがレネゲイドウイルスに大きく反応し貴方達に衝動を与えてきます。

 衝動判定 難易度9


衝動判定は琳が成功、輝が失敗。

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