第4話 桐島と女の時間

桐島が10ページ書き終えた頃、ノックをする音が聞こえた。彼はドアの前に行き、開けた。そうしたら、天野が立っていた。

「あの、こんにちは。」

「あぁ、天野さん。どうしたの?」

「桐島さんとお話ししたいなぁ、と思って。」

「え?僕と?どうして?」

「小説好きだから・・・。プロの小説家の方と色々お話しをしたいです。」

「あぁ、いいよ。入って。」

そうして、天野は桐島の部屋に入った。

「いきなりで恐縮なんですが、この小説について、色々聞きたいです。」

「ああ、どうぞ。」

そうして、二人は色々本について話した。

「本当に君、本を好きなんだねぇ。」

「メジャーな本からマニアックな本まで色々大丈夫です。」

「成る程。」

「また、お邪魔していいですか?」

「いいよ。」

天野は自分の部屋に戻った。

そうしてしばらくして、数時間ゆっくりしていると、ドンドン、ドンドンと桐島のドアが鳴った。

「今日もか。開ける開けるよー。」

ドアを開けると、酔った草木がいた。

「よーす、桐島さん。」

「メイちゃん。また、酔ってるなぁ。」

「ねえ、聞いてよ。桐島さん。また、クソ上司がね。うっさいのなんのって。」

「あー、はいはい。今日はどんな感じ?」

「私さぁ、美人じゃん。それで、お局がうっさいのよ。『私が男を振り回してる?』ですって??男達が勝手に寄ってくるの。」

「あー、はいはい。そうだねぇ。」

「まだあるわ。だいたい、あの女、男達を振り回そうとして、男達を振り切ってるわ。」

「あはは・・・。」

桐島は草木に対し愛想笑いをした。

「で、クソ上司は?」

「ハゲ上司が私に近づいては『頑張ってね。』ですって。頑張るのはあんたの髪よ。知ってんだから。あんたが養毛剤仕事場に持って来てるのを!」

「・・・。」

桐島は男としてその話は辛かった。

「まぁ、メイちゃんも大変だな。男達が寄ってきて。」

「本当よ。酔って良いのは私だけ。」

この酔っ払いと桐島は思った。

「兎に角、男達が寄ってきたら、落ち着かないわ。本当勘弁してほしい。私は社内恋愛は興味ないの。」

「けど、社内でないと出会いがないだろ?」

「まあ、暫くは恋愛はいいわ。」

「そうですか。」

まだ草木がグチグチ言っていたので、色々桐島はため息をつきながら聞いていた。

「あー、ちょっとはスッキリした。有難うね。桐島さん。」

「まぁ・・・ね。あんまり仕事のストレスためこむなよ。」

「何?桐島さん彼氏?」

「まぁ、家庭の一員かな?」

草木は赤い顔を更に赤らめ、

「あっそ。」

と草木は言って、桐島の部屋から出て行った。

「はあ、それにしても・・・。」

と、桐島はため息をつき、

「疲れた・・・。」

と言った。

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春が来た 峪明博 @sakoakihiro

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