第2話 桜が散る季節
「さて、小説を書くか。」
と、桐島は言って小説を書き始めた。
このマンションは2階建てで、一階は三部屋、二階は四部屋ある。二階の左隅204号室に、桐島は住んでいる。隣の203号室に天野が引っ越してきた。一階の101号室が、管理人で、大家が住んでいる。
「よし、10ページ出来た。」
と、桐島が言った時はもう既に夕方だった。そうしたら、隣の部屋がガチャとして、ドアが閉まる音がした。
「おぉ、天野さん帰って来たか。今日ぐらい辺りから、そろそろあれが始まりそうだなあ。」
と、桐島はワクワクしながら、ニヤついて言った。桐島の隣の住人はこれから起こることをまだ何も気づいていない。
数時間後、このマンションが騒がしくなってきた。それに気づいた天野は、
「何かしら?」
と言った。そうしたら、突然天野のドアがガチャリと言った。天野はビックリした。そうしたら、一人の50代くらいのおばさんがドアを開けた。
「やぁ、天野さん入るよう。」
「え?え?大家さん。」
「そう、ここの管理人の大家でーす。天野さん、20:30に101号室に来てね。絶対だよ!」
「は、はぁ。」
と、天野はそれとなく言った。そして、20:30。天野は言われた様に、101号室に行った。天野はノックをした。
「どーぞ。」
「失礼します。えっ?何これ?」
そこに書いてあったのは、引っ越しパーティーだった。天野の住人達からの引越祝いであった。
「本当は引っ越し先の家でパーティーするんだけど、天野さん、お年頃だから、今回はこの部屋でするわ。」
「は、はぁ。」
「自己紹介するわね。101号室の管理人にして、大家。鹿島愛。そして、私の隣でいるのが、202号室の草木メイ。そして、正面が、204号室の桐島洋。そして、右隣が103号室の猪野沢優。」
「宜しくね。天野ちゃん。」
と、草木が言い、
「まあ、もう一度宜しく。」
と、桐島が言い、
「宜しく。」
と、猪野沢が言った。そして、
「私、このマンションの住人達はおこがましいけど、一つの家庭だと思ってるの。同じ家で起き、寝、よく似たデパートや、コンビニに行き、同じゴミ捨て場所にゴミを捨てる。そして、朝と夜に、挨拶をする。」
「はぁ。」
「すぐには慣れないと思うけど、一緒に仲良くしましょうね。天野さん。」
「は、はい。こちらこそ宜しくお願いします。」
「このマンションは自由と思いやりを愛する場所よ。」
と、鹿島は力強く言った。天野は凄い所に来てしまったと思った。そして、鹿島は、
「後、毎週土曜日に私の部屋で毎週恒例の集まり会があるから。宜しくね。半強制だから。」
と、言い、
「毎週するんですか??」
「えぇ、そうよ。」
「半強制・・・。」
天野は自由と思いやりは?と思った。
「慣れると、楽しくなるわ。」
「はぁ。」
と、天野は言った。そして、皆ガヤガヤした。
「へぇ、天野さん。東高の女子高生なんだ。私もそうなんだあ。」
草木が言い、
「へぇ、阿南からねぇ。阿南市から受験したんだ。」
「はい。」
「じゃあ、友達もまだいないんじゃない?」
「えぇ、そうですね。」
「困ったら、私たちが相談とかに乗るから。ねぇ、桐島さん。」
と、草木は言い、
「おっ・・・おう、勿論そのつもりだ。」
と、桐島は言った。
「このおじさん、小説書いてるんだぜ。」
と、猪野沢は言い、
「えっ?そうなんですか?」
と、天野は食いついた。
「序でになんてペンネームで?」
「桐野浩史だけど。」
「え?私ファンなんですけど。」
「僕の本が好きなんて、天野さん、それなりにマニアックだね。」
「いやー、それほどでも。」
「褒めてないけどね。」
などと、皆話し合い、天野以外は酒が飲めるので、夜中まで飲んだ。そして、皆、自分の部屋に戻り、お休み、と言って、ドアを閉めた。天野はこのマンションの洗礼を受けた感じだった。
次の日。遅刻しかけで、天野は急いで行った。ここから高校まで歩いて5分くらいの場所ではあるが・・・。
少しして、11:00頃に桐島は起きた。そして、
「今日も小説を書くか。」
桐島は気合を入れた表情で言った。
そして、日は経ちこの土曜日、桐島は珍しく早めに起き、窓を開け、うーん、と伸びをした。そうしたら隣の部屋から
「お早うございます。」
と言う声がした。見たら、当然ながら天野だった。
「ああ、お早う。」
と桐島は言ったが、桐島は天野を見ていた。日差しに当たった彼女は若さに溢れ、多少は幼さを残しながらも、その美しい少女を彼は見とれた。
「・・・さん。まさん。」
桐島はハッとした。
「桐島さん。どうしました。ぼ~っとして。」
「いやー、君が幼いながらも、綺麗かったから、見とれてしまって。」
この年になると、多少は女性に正直に言う素直さが桐島には出ていた。天野は顔を赤くして、
「やだ、桐島さん、そんなお世辞を言って。」
と照れながら言い、
「いやぁ、冗談ではないんだけど・・・。」
と、桐島は弱々しく言ったので、彼女に聞こえたか分からないが、彼女は赤くして窓を閉めた。桜が散っていると桐島は桜を見た。
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