春が来た

峪明博

第1話 出会い

春。高校生なら新年度新学期を迎える時期だ。

その、春真っ盛りの季節にあまりそぐわない、徳島のあるアパートの二階に住んでいる冴えない男がいた。

桐島洋、30歳。独身。彼女いない歴15年。

「暇だ。」

と、桐島は呟いた。

桐島は家で小説を書いているそこそこ売れっ子の小説家である。今日は五ページ書いたので、もうくつろいでいる。

そうしたら、隣でガタガタいう音が聞こえた。引っ越しっぽかった。

「なんだ?うるさいな。そうか。隣は誰も住んでいなかったな。そういう季節か。よし、丁度暇だしどんなやつか見てやろう。」

と桐島はワクワクしながら、ドアを開け隣を見た。

そこには、女の子が立っていた。年は幾つだろうか。中学生にしては、大人びているが、高校生にしては、まだ幼い感じである。そして、彼女は容姿は整っていた。少なからず綺麗だなと桐島は思った。そして、彼女を見とれた。そうしたら彼女から声をかけた。

「あっ、こんにちは。」

「あっ、ども。」

いきなりのことで桐島はびっくりしたので、大人とは思えない対応をした。

「あっ、ごめんなさい。通ります。」

「あっ、はい。どうぞ。」

桐島は近くのコンビニに行った。

なかなか容姿の整った顔だなあ、と桐島は思いながら、立ち読みしていた。暫くして立ち読みをしてから、アパートに戻った。そして、鍵を開けて、ドアを開けると、隣の部屋もガチャっと音がして、ドアが開いた。

「あのよかったら、母からです。」

隣の女の子から、ものを貰った。

「ああっ、有難うございます。」

「あの、この町に来たのは始めてなんで、宜しくお願いします。」

「えっ、ああ、宜しくお願いします。けど、ここに住むとは、なかなかやるね。」

「どういうことです?」

「ここの連中、管理人さん含め、癖があるから。」

「そうなんですか。どんな感じなんです?」

「そうだなぁ、近所付き合いは凄いなっ。今時古風な近所付き合いがしっかりしてる。あぁ、別にストレスに感じることはない。良い意味で、落ち着く所だから。」

「はぁ、有難うございます。」

「では、これにて。」

桐島は言って、ドアを閉め、桐島も閉めた。

「どれどれ?あぁ、阿南市の土産か。」

彼女が持ってきた物は阿南市の特産品であった。

数日後。朝8:20頃隣の部屋から、ガチャっという音がして、鍵を閉める音が聞こえた。

「学校に行ったのかな。ここいらの学校と言えば、高校なら、東高校だな。」

と桐島は言って寝た。

10:30頃に目が冷めて、スーパーに行こうとして、偶々隣の部屋の表札を見て、そのままスーパーに行った。

隣の部屋の名前は天野であった。

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