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せわしなく店内が動き回る。
今日も変わらず、食器がぶつかり合う音や、客達の大きな騒ぎ声で店は満たされている。
耳に入ってくる会話は、「今日村一番の美人とヤッた」「あいつがイラついたから殺した」など、聞くに耐えない物ばかりだ。
煙草と酒の匂いが充満していて息が吸いづらい。
全く酷いものだ。なんだって俺はこんな所でこんな奴らとつるんでいるのだろうか。
少しの緩みも無い愛想笑いとは裏腹に、冷え切った心が、心の壁を更に厚くし、青年を塞ぎこむ。
酒場を後にして、心臓に手を押し当てる。
自分ならもっと上手くやれたはずだ、結果論だ。
あの時ああしていれば、希望的観測だ。
全部自分の責任だ。今までしてきた事の結果がこれだ。報われない人生だ。これまでしてきた努力は何もかもが無駄だったんだ。
目を閉じると、瞼の裏に映るのはかつての仲間達の顔だった。
未だ鮮明に脳裏に残る、彼らと過ごした日々の記憶が自分を責め、苦しめる。
たった数日で汚れ切った聖杖を強く握りしめ、ふと、今まさに思い立ったかのように青年は1人小さく言葉を紡ぐ。
「神よ、クソッタレな神よ。今もなお、我が身に取り憑いていると言うのなら、聞け。全部お前のせいだ、お前が、お前さえいなければ、こんな事にはならなかった!俺は、憎むぞ、こんな道に俺を堕とした、お前を、この命がたとえ尽き果てようとも、俺は、お前を憎み続けるぞ!」
青年の激情を計り知れる者は、もはやこの世界には居ない。
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