第十三話 女装系男子の恋愛模様
映画を見終わった。
全編最高に面白かったのだが、特に最後のバトルは良かった。おそらくこの作品のファン全員が観たいと思っていることをしてくれていて、あまりの登場人物たちのかっこよさに泣きそうになった。
映画館を出て、その作品の主人公の決め技を略したような名前のカフェで一服した私たちはショッピングモール内の様々な店に入ったり素通りしたりしながらブラブラと歩いた。
今はずらりと並んだアパレルショップの内の一店舗に私たちはいる。並べられた洋服を英梨花が次々と手に取っていき品定めをする。手に取った服は元に戻したり、あるいは体の前面に押し当てて私に意見を求める。色々な英梨花が見られて楽しいのだが、どれも似合っているので似たような感想しか出てこなかったりする。
私は英梨花の服を見ているだけでなく自分に合う服も探している。英梨花が手に取った服で自分に似合いそうなものがあったら英梨花にどうかと訊いてみたり。まあそのときの反応は芳しくないことが多いんだけど。
「あーにゃはこんな風に買い物したりしないの?」
英梨花が私の手に持っている服に対する感想を述べた後そう言った。
「そこそこ行くかな。まあついこの間まで受験生だったから一年ぐらい行ってなかったけどね」
中学生の時はお母さんに連れられて行っていた。行くとは言っても、自分で選んで買っていたわけではなく、服には特にこだわりがなかったのでお母さんに選んでもらっていた。私の仕事はサイズが合うかどうかの確認と、着たくない服かどうかの確認だけだった。あと、たまに凛ちゃんと優羽の服選びに付き合ったりもしていた。
「そうだったわね・・・・・・じゃあブランクが原因なのかしら」
後半は声量から判断すると独り言らしい。
「え? 何が?」
独り言でも聞こえてしまったので訊かずにはいられない。
ブランク。何のブランクだろう。
「あぁいえ、何でもないわ。それならあーにゃが今着ている服は結構前に買ったものなの?」
「ううん。これはこないだの春休みに姉さんと凛ちゃんと一緒に買いに行った服」
女装が決定した次の日ぐらいに買いに行った。姉さんと凛ちゃんが毎回選んであげられないからとアドバイスは受けながらも自分で選んだのだが、たぶんこのときが始めて自分の意思で服を決めた時だった。だからなのか今着ている服は結構気に入っている。
「そう・・・・・・それは自分で選んだ服?」
「まあ・・・・・・だいたいは」
正確に言うと、ほとんど凛ちゃんと姉さんのアドバイスに従って決めたので私のした仕事はごく少量である。だから、「だいたい」自分で選んだというのは嘘だ。ならどうしてあのように答えたのかというと私は正直に答えようとしたのだが、言葉が口から出ようとする寸前で勝手に飛び出してきた意地が混じったのだ。
「ふーん・・・・・・」
英梨花は意味ありげな視線で私の全身にさっと目を通してから、再び洋服を見始めた。
「え? どうかした?」
もしかして私に洋服選びのセンスがないことがばれた? まあ別に知られてもいいけど。どうせ自分で選んでいる内に磨かれていくだろうから。
「気にしないで。独り言だから。それよりさっき言ってたけれどあーにゃは敷波さんや月乃さんとよく買い物に行くの?」
「姉さんとはそんなに行かないけど、慶と凛ちゃんとならよく行くかな」
「え? 変態と?」
英梨花が「慶」に食いついた。
「う、うん。そんなイメージないかもしれないけど」
あれ、もしかして言わない方がいい・・・・・・?
「あ、ま、まあ慶は私と凛ちゃんの付き添いって感じだけど」
そう思って慌てて言い繕う。実際に私が中学生の時はそのポジションにいたので現実にありえる設定だ。
「ふーん・・・・・・けれど変態は役に立つの? あまり役に立たなさそうなのだけれど・・・・・・」
声音から、英梨花は慶がチャイナドレスや丈の短いタンクトップ、スク水を要求するのでは、というようなことを考えていそうだった。
「大丈夫だよ。普段はああだけど慶は実は普通だったりするし、センスもいいから」
私は優羽と英梨花に仲良くなって欲しい。
英梨花が優羽に苦手意識を持たないようになれば、優羽は誰にでも好かれる人間なのですぐにそれは叶う。だからまずはその苦手意識の大半を占めているであろう優羽の性欲の強さは幻想なのだと、優羽は普通なのだと主張していきたい。
英梨花は私の言葉のあと、顎に手を添えてしばらく黙り込んでから口を開いた。
「変態は本当に変態なのかしら・・・・・・」
「? 哲学・・・・・・?」
変態は変態なんだから変態なんじゃないの・・・・・・?
「違うわよ・・・・・・初めの『変態』は固有名詞。ちゃんと言い換えると陽羽里くんは本当に変態なのかしら、ということ」
「ああそういうこと。どうしてそう思うの?」
お、英梨花は優羽が言動から想定されるよりも変態ではないと感じているのだろうか。私の狙い通りに話が流れていきそうだ。
「そうね・・・・・・最近変態の視線に慣れてきたからなのか、なんとなくそう感じるだけなのだけど変態の視線は私の胸に向いてはいるけれど見ていない気がするのよね」
「英梨花の胸じゃなくてどこかべつの所を見ている、みたいな?」
「そう・・・・・・なのかしら?」
英梨花は疑問符を浮かべ、私と目を合わせて説明を求めている。
「ここではないどこか別の場所・・・・・・さらなる深淵・・・・・・」
「・・・・・・あーにゃはやっぱり中二病をこじらせているの?」
英梨花は本気で私が中二病なのではないかと疑っているようだった。声音から分かる。
「冗談だって! ファッション中二病だから!」
なんか中二的台詞を言える道筋が見えるとどうしても言いたくなってしまう。現実世界で言ってみたい台詞ランキングトップの台詞を言いたいみたいな感覚だ。
「・・・・・・まあそれはともかく」
英梨花、絶対私のこと中二病だと思ってるでしょ・・・・・・。
英梨花はそこで仕切り直して、
「あーにゃ、あの変態の視線がそう感じられる理由に心当たりはない?」
ある。めっちゃある。というか知ってる。のだが言えるはずもない。
「私は慶にそういう目で見られたことないから分からないかな。というかあんまり英梨花の感じてる慶の視線がどんなものなのかピンと来ないからもう少し教えて。そうすれば何か分かるかも」
英梨花は私の言葉に短時間考え込んでみせた。
「そうね・・・・・・私の感じている感覚を全て表した表現ではなくなるけれど、変態の視線からはいやらしさが感じられないのよね」
「いやらしくない、か・・・・・・」
私は意識的にややうつむき気味に声量を落として英梨花の言葉を繰り返した。
「何か思いついた?」
「いや、ごめん。何も思いつかない。というかいやらしくないのならべつに慶をそこまで目の敵にしなくてもいいんじゃ?」
「身の危険は感じなくても不快なのには変わらないのよ。あーにゃも分か・・・・・・るでしょ?」
英梨花は言いながら私の胸部に視線を落として再び私と目を合わせた。
「・・・・・・今の間は何? 貧乳って言いたいの?」
貧乳どころか偽乳なのでべつに悔しくはないけども。
「いいえ。持たざるものには分からない悩みかしら、なんて思ってないから安心して」
「・・・・・・英梨花って実は結構言うよね」
「ふふ。そうかしら?」
英梨花はいたずらっぽく笑った。
「・・・・・・まあこの虚しい議題は止めにして。どうして慶の視線はいやらしくないんだろうね?」
英梨花は「そうね・・・・・・」と少しだけ考える素振りを見せてから口を開いた。
「例えば変態が実は女の子、とか?」
「⁉」
心臓が跳ねた。私の目は限界まで開かれているのではないだろうか。
「え・・・・・・? どうしたのあーにゃ・・・・・・?」
落ち着け私。英梨花は冗談を言っただけだ。本気で言っているわけじゃない。ほんの少し口角が上がっていたのだから間違いない。
「あぁ! いや何にも⁉ その可能性は考えたことなかったなーって! そっかーそう考えると説明できるのかー! や、でも実際あり得ないでしょ! 男装して学校に通う理由って何、って話だし」
だめだ焦っている。心臓が早鐘を打っている。自分の心音が聞こえる。そのせいで声が大きくなりすぎた気がする。早口だったかも。どもった? どもってない? 大丈夫? それすらも思い出せないほどに焦っている。
「・・・・・・そうよね。冗談よ冗談」
「だよね! 英梨花が冗談言うなんてびっくりした!」
「冗談ぐらい言ったことなかったかしら」
「どうだったっけ⁉ あ、私お手洗い行ってくるね。ごめんだけど英梨花この辺りで待っててくれる?」
このままだと確実にぼろがでる。一回思考を整理して気持ちを落ち着けないと。
「分かったわ。いってらっしゃい」
私は英梨花の返事をちゃんと最後まで聞いてからトイレに向かう。
あーやらかした。
何の心構えもしていないときに英梨花があんなこと訊いてきたから必要以上に焦ってしまった。おそらく英梨花は私の反応を不自然に思ったはずだ。まあ自分がどんな風に喋って、手や視線を動かしていたかなんて分からないから、自然な対応だった可能性もあるけど希望的観測は止めた方がいい。英梨花は今頃、優羽が本当に女の子である可能性を検討している頃だろう。それなら考えをまとめさせないためにすぐに戻った方が良い? ・・・・・・いや今戻ってもどうせさっきと同じことの繰り返しになるだけなので、私が落ち着くことを優先するべきだ。
多目的用トイレに入って鍵を閉める。無心で手を石けんを使ってきれいに洗い、深呼吸。
よし。落ち着いてきた。
私は多目的トイレの中をぐるぐると歩き回りながら何をすべきか考える。
まず優先目標は英梨花の中で生まれた「優羽が本当は女の子なのでは」疑惑を消し去ることだが、今考えてみると英梨花にならばれてもいい気もしてきた。まあもちろん隠し通せるのならそれに越したことはないのだが、ばれたとしてもそこまで実害はないと思う。
私たちがなぜ優羽が男装をしていることを秘密にしているかというと、それが広まると困るからだ。広まると何がまずいのかというと、まず優羽のお母さんが授業参観などで学校を訪れた際生徒がたまたまそれについて話していて、それを知ってしまう可能性があることだ。これは絶対にだめだ。他には、広まった場合優羽に事情を尋ねる人間も出てくることだろう。そうなるとかなり話題性があるだろうから、瞬時に学校中に知られるところとなり、優羽の進んで知られたくはない事情が大半の生徒に知られることになってしまう。それはかなり辛いのではないだろうか。
今述べたように広まってしまうと困るが、数人が知っているだけなら問題ない。現在校内で知っているのは私と凛ちゃんと姉さんと先生が数人。そこに英梨花が加わろうと大して違いはない。人の口に戸は立てられぬ、とは言うものの英梨花は言いふらすような人間ではないから問題ない。
とはいっても私の独断で言えるはずもなく。とりあえず今はどうにかして誤魔化さなければならない。
私が今から行わなければならないのは英梨花の「優羽は本当は女の子なのでは」疑惑を払拭することなので、始めに思いつく方針として別の設定を与えてそちらを信じ込ませることだ。この際気をつけなければいけないのは無理のない設定であること、英梨花の疑惑の根拠となっている条件を全て満たすこと、この二つである。こう考えるとそんなに難しくない。優羽の男装歴はかなり長いので仕草なども自然で、英梨花の疑惑の根拠は優羽の視線がいやらしくないということと、優羽の顔がかわいいという二点だけだだろうからだ。後者はどうしようもないので前者を満たしさえすればいい。例えば優羽がホモだとか、おっぱいを見ていないと死んでしまう病なのだとか、おっぱいを見ているのではなくそこから覗く異界を観察しているのだとか、優羽はシャイボーイで目を合わせられないので仕方なくおっぱいを見ているのだとか、実はおっぱいではなく尻派なのだが向かい合っていると見ることが出来ないので仕方なく妥協しているとか、胸の辺りの制服のデザインを眺めているのだとか、赤ちゃんに母乳を与えるおっぱいに生命の神秘を感じているのだとか。
ぱっと思いついただけでもこんなにある。まあほとんどはボツな訳だが、「おっぱいではなく尻派」というのはかなりいいのではないだろうか。視線がいやらしくない説明も出来るし、不自然でもない。これまでの優羽のおっぱい大好き発言は、尻派はアブノーマルだと思っていたので仕方なくおっぱい派のふりをしていたと言えばいい。私がそんなことを知っているのは幼馴染みだから、で説明できる。勝った。
勝利を確信した私は晴れやかな気分で多目的トイレを退出し英梨花の元へ向かう。
角を曲がると英梨花が見えた。誰かと向かい合っていて話しているようだ。友人とばったり出くわしたとかだろうか。近づいて行くにつれて二人の顔や服装がはっきりと分かるようになってきた。
あれは・・・・・・優羽?
間違いない。英梨花と話しているのは優羽だ。
そういえば凛ちゃんと優羽がいつだったか忘れたがクラスメイト数人と週末、つまり今日遊びに行くのだと言っていたような気がする。しかし英梨花と優羽の周りには凛ちゃんもクラスメイトの姿も見えない。はぐれたのだろうか。
「慶ー。ばったり会うなんて奇遇だね」
私が声を掛けると優羽がこちらを振り向いた。
こちらを向いた優羽は無言で歩いてきて、私の少し前で立ち止まった。私の方が優羽より少しだけ背が高いので優羽はわずかに上を向いている。優羽の表情は消えていた。
「旭陽、なんで?」
「ん? なんでって何が?」
文脈も何も存在しない優羽の「何故」に戸惑う。
その声は低く抑揚に乏しい。
「だから、なんで羽咋さんと一緒に出かけてるのか訊いてるの」
いや、そんなの分かるわけないでしょ、と言いそうになるのをぐっとこらえて、
「映画を英梨花と観たかったからだけど」
「なんで?」
「なんでって観たい映画だったからだけど」
「そうじゃない。ボクが訊いてるのはどうして羽咋さんなのかってこと」
「・・・・・・英梨花がその映画の原作を読んでたからだけど」
「なんで羽咋さんなの? 旭陽はボクも読んだの知ってるよね?」
「いやだって慶はこうやって私以外のクラスメイトと遊ぶ予定だったんでしょ? じゃあ私と映画観に行けないよね?」
「そうだけど、明日ならボク空いてるよ。べつに今日じゃないとだめって事もないでしょ?」
「そうだけど・・・・・・」
「ならなんで? なんでボクじゃなくて羽咋さんなの?」
優羽は相変わらず無表情でその声は淡々としている。
「なんでってそんなの・・・・・・」
そこから先は続けれない。
私はどうしようもなくて優羽から目をそらした。
「いいから言いなよ」
無神経に促す感情の乗らないその声が私の感情を逆撫でする。
「・・・・・・そんなの英梨花と映画を観た方が楽しいからだけど」
英梨花と優羽じゃラノベ読みとしての練度が違う。
優羽の表情はそれを聞くと初めてわずかに歪んだ。
「つまり旭陽はわたしよりも羽咋さんの方が好きだって言いたいの?」
「いや好きとか嫌いとかじゃなくて――」
「じゃあ何なの・・・・・・⁉」
優羽は私を睨みつけた。理由は分からないが明らかに怒っている。理不尽に向けられるその感情に私は声を荒げそうになるが、意識して抑える。
「どっちの方が楽しいかって話だから」
「だからそれはわたしより羽咋さんの方が好きだってことでしょ⁉」
「だから違うって」
「じゃあ何が違うか説明して!」
「映画を誰と観た方が楽しいかなんて好きかどうか関係ないでしょ?」
「なんでそう言えるの⁉ そんなの旭陽の思い込みでしょ⁉ わたしに言い訳してるだけなんでしょ⁉」
その言葉に私の中で何かが切れた。
「なんでそうなるの⁉ どう考えても好きとか嫌いとか関係ないよね⁉」
「関係あるじゃん! 羽咋さんの方が好きなんだって認めなよ⁉」
「だから違うって! 好きとかじゃないって!」
「じゃあなんでわたしを誘わなかったの⁉」
「さっきも言ったけど英梨花と観た方が楽しいからだって!」
「だから要するにわたしよりも羽咋さんの方が好きなんでしょ⁉」
「なんでそうなるかなぁ⁉」
「どう考えてもそうじゃん・・・・・・!」
「なら明日優羽と一緒に映画観に行けばいいの⁉」
「そういう問題じゃない!」
「じゃあ何⁉ 優羽は何に怒ってるの⁉」
「怒ってないし・・・・・・!」
「いや誰が見ても怒ってるでしょ⁉」
「だから! 怒ってないってわたし本人が言ってるんだから怒ってないに決まってるでしょ・・・・・・⁉」
「いやだから・・・・・・はぁ、もういいよそれで」
「何がいいの⁉」
「何がって――」
「旭陽はいつもわたしに何も相談せずに、わたしの気持ちを無視して何でもする。凛ちゃんと付き合ったときもわたしに前もって何も言わなかったし・・・・・・!」
「そんなめちゃくちゃ前のこと・・・・・・! しかも付き合ってないし、その日のうちに説明したじゃん! それで優羽も納得したでしょ⁉」
「してない! なんでわたしに何も言わないの⁉ 旭陽はちゃんと考えてるの⁉」
「考えてるよ!」
「嘘! 絶対にわたしのことなんて何も考えてない!」
「なんでそんなこと言えるの・・・・・・⁉」
「結果見たら明らかじゃん・・・・・・!」
そこで互いの言葉の応酬は途切れ、私と優羽は睨み合う。
「あの・・・・・・あーにゃと、陽羽里くん・・・・・・よね? さすがに他のお客さんもいるからせめて場所を変えない?」
聞こえてきた英梨花の声に辺りを見回すとそこそこ多くの人と目が合った。注意するべきかどうか迷っているらしい店員さんもいた。
周りの状況を把握するとごちゃごちゃになっていた頭の中が徐々に整頓されていき感情が静まってきた。私は英梨花の言葉と自身の理性に従ってとりあえず場所を変えないと、と思った。そのために優羽に何か言おうとしてそちらに向き直ると、
「・・・・・・」
「優羽⁉」
優羽は早足でどこかに行ってしまった。
追いかけようとした足は一歩だけ踏み出されたものの静まらない感情に縫い止められてそれ以上動かなかった。
私は優羽の背中をそのまま見送った。
「あーにゃ・・・・・・?」
しばらく頭が働かなくて突っ立っていると英梨花が私を呼んだ。
「・・・・・・あぁごめん。とりあえず移動しようか」
言いながら歩き出しとりあえず人垣を抜ける。
そのまま無言で英梨花の後ろを歩いているといつの間にか駅に着いていてそのまま別れた。よく覚えていないけどそのときたぶん英梨花に「ごめん」と言えたと思う。
電車に乗って吊革につかまって揺られながら私は何も考えずに流れていく景色を眺めていた。私の見ている車窓からは夕日が見えるので私は今西を向いているらしい。空には薄く雲が広がっていて全体的に橙色というよりは赤い。
これって明日雨が降るって事だったっけ。
そんなことを思いながら私はひたすらに揺られていた。
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