5
今まで、加奈子ちゃんとたまに外出する以外は家でのんびり過ごしていた休日も、聡さんと付き合うようになってから外出する機会も増えた。高校三年生になり、学業も上位をキープしていて、学内でエスカレーター進学を希望しているので教師からもお墨付きをもらっている。今は進学で大事な時期というのもあるが、私にとっては進学が決まったようなものなので、特に切羽詰まったことはない。
それでも、自分の時間を過ごすためにも頻度は適度に会った方良い。適度に会って、適度に楽しんで、適度に好きな気持ちをキープする。
人生の中で、初めての彼氏が聡さんで、お付き合いをすることをたくさん知ることができた。異性交流どころか人と濃く関わることを消極的に思っていた自分には、大きな成長なのかもしれない。
「姉貴、最近楽しそうだね」
弟がアイスを食べながらこっちの様子をうかがう。
「そう?」
「うん。最近外出することも増えたんじゃない?もしかして彼氏でもできたの?」
「うん」
「え?!うっそまじで?!姉貴すごいじゃん!今度紹介してよ!」
弟は喜んでくれる。私のことを自分のことのように喜んでくれる異性といったら、唯一弟ただ一人だろう。信頼における、たった一人の人物でもある。
「うん、いつか紹介するね」
「楽しみー!早めに紹介してよね」
部屋に戻っていった。私はリビングでメールのやりとりを楽しんでいた。
「今、勉強終了!」
「お疲れ様」
「お疲れ。なっちゃん明日暇?」
「暇だよ」
「なら、一緒に帰ろう。講義早く終わるからさ」
「うん」
「じゃ、いつもの場所で」
聡さんも大学が忙しいんだ。でも、私が付属の大学に進学したら、来年からは一緒に入れる時間も長くなる。そう思うと嬉しい。
笑みがこぼれる。
「あら、何か嬉しいことでもあった?」
お母さんが声をかけてきた。
「うん、何も」
「あらそう」
私は、部屋に戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます