ラストまで読ませていただきました。
読みやすく、うまく纏められたお話だと思います。
被害者家族である凛の心情に共感し、加害者たちの短慮な行いに憤慨しながら、凛の行く末を案じて読み進めていました。
更生というものは、本当に難しいですね。
何事もそうですが、当の本人が真に自覚しなければ、更生などできません。妻を持ち、娘が生まれるとなっても罪を自覚しない前島(堂島)が、果たして別の形の外部からの働きかけで自覚したのかと考えても、答えが出ません。そういう苛立ちを、福丸修三は抱えていたのでしょうね。
真希がアフリカへ無事旅立てたことは、個人的には良かったなと感じました。彼女ならば、あちらで自身に課した贖罪に励むでしょう。日本を離れることで視野が広がり、新たな人生を歩んでいければと思います。
心に溜まったドロドロとしたものを吐き出してしまった凛。これまでの慎重さとは一変、真正面から向かったのは、彼が生物学上の父親だと理解してしまったからでしょうか。言いたいことを言った凛は少しばかりすっきりしたのかもしれません。
あそこで罪を問わずとも良かったのではないか。そういう思いも抱きましたが、凛からの働きかけによって、吉永には少なくとも何らかの心境の変化は訪れたでしょう。それが罪の自覚を促すことを願ってやみません。
総じてとても面白かったです。
素晴らしい作品を読ませていただきました。ありがとうございました。
作者からの返信
最後までお読み頂き有難うございました。遅読と仰られていましたので、もしかすると最終話まで到達する前にフェードアウトなされるかもと覚悟していました。その覚悟に反してここ数日の怒涛の追い込みをみて嬉しく思っていました。
その上、このような丁寧なコメントを頂いた事に感謝いたします。
しっかりと読み込んで頂けたのだとコメントの端々から伝わりました。
またいつの日か、何かの作品で出会える事を願います。
★★★の評価を頂けた事にも感謝いたします。
あのレビューコメントを読まれた読者がいましたら、きっと本編に導かれるのではないかと期待されます。
こんにちは。
ミステリーを読み慣れないというのもあり、凄惨な事件の数々や容赦のない展開に、読み進めるのに勇気が必要な物語でした。
「犯罪被害者家族は加害者にどう罪を償わせれば満足するのか?」
というキャッチコピーにもある問いの答え探しながら読み進めたのですが、ラストまで読んでも答えは簡単には出せないものでした。
罪と向き合う勇気がなけば命を絶ってしまうし、そもそも罪の意識が低ければ償いようもなく……。
私は「満足」というのが「赦し」かな? と思って読み始めたのですが、それこそ簡単なものではないのが現実なのでしょう。
「あなたには父親は存在しない」と告げられた凛さんが、一連の捜査や復讐の末に「私に父親は存在しない」という結論に達した事で、決して赦すことはできなくても、前を向き漸く自分の人生を歩き始めた決して暗くはないラストなのかなと感じました。
全編を通して、非常に考えさせられる物語でした。
素晴らしい物語をありがとうございました。
作者からの返信
最後までお読み頂きありがとうございました。
その上、率直な感想も頂き感謝いたします。
そして、★★★の評価も頂き嬉しい限りです。久し振りの評価ですので、次作書く上のモチベーションとさせて頂きます。
又、いつの日か別の作品で出会える事を願います。
編集済
一気読み(と言うには時間がかかってしまいましたが……)させていただきました。
読了した直後だと色々な感情が混ざり合っていて偏った意見しか書けないと思ったので、数日経ってからこうして感想を書かせていただいております。(レビューというよりただの感想ですし、ネタバレも含まれているので最終話のコメントに書きます)
読み終わった直後、そして今も思い浮かんでいるのは「私刑の愚かさ」です。
凛が真犯人を見逃した時点では「ただの復讐物として完結してしまうのか……」と少し落胆していました。しかし、最後母親の仇を取るために凛が福丸と同じ行動に出た瞬間、考えは変わりました。「ああ、これは凛も福丸と同じ末路を辿ってしまうんだな」と嫌~な予感が頭をよぎり、覚悟と決意に満ちた凛とは裏腹に、後味の悪い余韻を残して物語は終わりました。強要罪または脅迫罪といった罪を犯してでも堂本に謝罪を迫った福丸は殺害され、凛はそれに倣います。真犯人の真希もアフリカに渡った先でどうなるのか……、何だか暗い将来が暗示されているように思えてならないのです。
人を裁くべきは人か法か。昔から議論されているテーマではありますが、人を裁くのは法でなければいけない理由の一端もここに見えている気がします。法では届かない一線もありますが、法でなければ超えてはいけない一線もあるのでしょう。だからこそ人として一線を超えることを決めたキャラクターの結末、また将来がとても不憫に思えてしまいました。
「私刑の愚かさ」と愚かにならざるを得なかった人間の哀れさが良く出ていると思います。
(償いをテーマにした作者様の思惑とは異なるかもしれませんが……)
地の文がキャラクターの一人称で進んでいくので、刑法についての考えが作者様のものなのか、凛のものなのか、それとも一般論として言っているのか分かりづらい点は少し残念でした。残念な点は他にもあると言えばあるのですが、読者としての私の好みの問題もありますし些細なことなので割愛します。
手放しで褒めたい点があります! シリアルキラーとしての金沢拓也の設定が良いです! まずは在日朝鮮人という設定、それが子供時代の差別やいじめに繋がったのかなと想像できます。幼い頃に両親が離婚しておりそのせいで愛を学べなかったということもわかります。最初はそれでグレただけの不良と思っていましたが、別の連続殺人と金沢がつながった瞬間、子供時代の設定が輝いて見えました。「もしかしたら父親に酷い仕打ちを受けていたのかも」「母親が去ったということが根底にありレイプを経験したことで女性を狙うシリアルキラーになったのかも」「出所後連続殺人を始めるための何かしらの出来事(引き金・ストレス要因)があったのかも」という連想もでき、それまでただの下種野郎だった金沢というキャラクターが一番印象に残るキャラクターへと昇華しました。殆どのシリアルキラーの子供時代が悲惨であるという事実をしっかりと踏まえてこの設定を作ったのだろうと感心しました。
かなり重いテーマではありますが、サクサクと読めて面白かったです。
長文失礼いたしました。
追記
残念な点について追記します。前述している通り私の好みの問題が大きいので参考程度に見てもらえると嬉しいです。
まずは凛の性格です。遺族としての立場の感情を全面に押し出しているストレートなキャラクターですが、もう少し刑事という立場を絡めて葛藤を描いても良かったのかなと思いました。
最後に真希が見逃された点についても、凛によって逮捕されることで「償い」というテーマに対する法の限界という葛藤を描けたのかなとも……。一生をかけた償いとそれを履行させること、することの難しさはかなりリアルな問題として私達の目の前に存在していると思うのです。
重ねて言いますが、これは私の好みです。この作品が「償いは一生をかけるべき」「その一償のための犯罪は許されるべきだ」という作者様の思想(ちょっと過激な言い方になってしまいましたが)を伝えるためのものならば、そういった葛藤は必要ないと思います。
金沢が拷問を受けている様、(元)犯罪者達が辿ることとなった末路、そういった描写そのものに魅力を感じている読者もかなりいることは他のコメントを読んでいるだけでも分かります。そういった方に突き刺さる作品に仕上がっていることは確かです。
どちらにしろ素晴らしい「小説」だと思います!
秋川十一様のこれからの活躍に期待しています。
作者からの返信
読み応えのあるコメントありがとうございます。
コメントの内容から丁寧に読んで頂けた事がうかがえました。
残念な点が他にもあるということですが、是非お聞かせ願いたいという気持ちがあります。もし気が向いたのなら、追記という形でお聞かせ願えれば幸いです。(どうしてもという訳ではありません)
最後に★を付けて頂けた事に感謝いたします。
追記を書いて頂きありがとうございます。
感慨深く読ませて頂きました。
そのご意見を踏まえて精進してまいります。
大変参考になりました。
感謝。
コメント、失礼します。
「更正」「償い」「正しさ」様々なことを考えさせられ、とても全てを言葉にできません。書籍化されたら絶対買います。
性犯罪被害者の復讐譚として東野圭吾著の「さまよう刃」を読んだことがありますが、そのなかでは復讐者(被害者の父親)と少年A(レイプ加害者)の立ち位置が固定されストーリーが進みます。
こちらの作品は、過去と現在の事件が交わり、加害者と被害者の逆転が随所にある点で先が読めず手に汗握りました。
しかしやはり悪人の本質は悪人で...、善人でも残虐なことが出来てしまって...。
登場人物たちが何を選択していくのか、それが最善なのか、私の中できっとこの先も考え続けるテーマとなりました。
重厚な物語でした、ありがとうございました!
作者からの返信
丁寧なコメントありがとうございます。
並びに、素晴らしいレビューコメントを書いて下さった事に感謝いたします。
あのコメントを読まれた読者はきっと本編に興味を持ってくれる事でしょう。
すごく面白くて、普段は長編はゆっくり読み進めるタイプなのに、通勤時間を利用して、あっという間に読みました。文にも完成度がありますね。コメント欄を読むと、これで一次落ちしたとあり、信じられない気分です。
女刑事の独り言の部分が感情移入しやすかったです。女刑事の凛や悲しい過去のあるクールで美しい女医のキャラが良かったです。でも男性キャラは鰍沢さんを除くと、自己中心的な独白ばかりする犯人の下衆さが目立つのが残念。まぁ、これがテーマでもあるのですね。途中のエピソードで登場のベソのお祖父さんが唯一、清々しかったので、最後に登場してほしかったです。
直美はどうなるのでしょうか? 加害者の子を持って辛い思いをして暮らすのでしょうか? そんな後日談も含めて、番外編の更新を願っています。その時★追加させて頂きます。
作者からの返信
どこからこの作品にたどり着いて頂けたのか分かりませんが、見つけて頂けた事に感謝いたします。
イヤーな気持ちになられたでしょうが、この小説の面白さに気付いて頂けたのなら幸せです。(秋色さんが読み続けていられる事は知っていましたが、💛だけでコメントがなかったので、どういう感想をお持ちなのかな? と思っていました。)
★も付けて下さった事に感謝いたします。こういう気遣いが気持ちを上げさせて、また何か書いてみようという気持ちになるというものです。
いつか何かの作品でお逢いできる事を願います。
それでは、ありがとうございました。
編集済
出逢えてよかったと思える素晴らしい作品でした。
読ませて頂き有難う御座いました。
終始、感情が揺すられっぱなしでしたね。
細かな設定に描写、ストーリーの構成は素晴らしく、内容も引き込まれるものでした。
善と悪という言葉が有りますが、本作を通しこの定義の出来ない事象を改めて考える機会を頂きました。
主人公が取った選択は、社会的には悪と定義されるでしょうが、私はそうは思いません。
持論ですが、善悪は『本人』にとって都合の良い事か否かという事で人間のみが使う『存在しない定義』なのかも知れません。
長々とコメントして申し訳ございません。
ついつい、この物語の熱と毒にあてられ興奮してしまった様です。
これからのご活躍期待しております!
追伸
まともなレビューが出来ずに申し訳有りません。感動を伝えるのは難しいですね…
私の表現力の低さゆえ、どうかお許しください。
作者からの返信
最終話までお読み頂きありがとうございます。
特に後半は一気読みして頂いたみたいで、それがとても嬉しく思います。
★も付けて頂けた事にも感謝いたします。
そして褒め過ぎなくらいのコメントにも感謝です。あのコメントを読んでくれた読者がいましたら、きっと本編に興味を持って頂けると確信しています。
編集済
読ませていただきました。
素晴らしい。悔しいなぁ、なんで評価されないんだろう……。
コンテストの一次審査で落とされると仰っていましたが、それはおそらく誤字脱字の多さと、出版向けの基本的な書き方の決まりから外れた部分があるからではないかと感じました。
僭越ながら、とりあえずひとつだけ誤字報告を。「酷い目にあう」という意味で使う場合の「あう」は、「合う」ではなく「遭う」を用います。
差し出がましいこととは存じますが、もしご入り用でしたら誤字・脱字や文法等の報告を各話にあげていきますので、ご用命くださいね。そのへんのミスで評価を下げるのは本当にもったいない作品だと感じますので、喜んで伺います。
追記。改めまして、校閲結果を報告しますね。
金沢は自供の信憑性《しんぴょうせい》が認められ、三件の殺人と遺体遺棄の罪で起訴され、現在は警察病院を退院させられ、小菅の拘置所で裁判が始まるのを待っている。
→金沢は自供の信憑性《しんぴょうせい》が認められ、三件の殺人と遺体遺棄の罪で起訴された。現在は警察病院を退院させられ、小菅の拘置所で裁判が始まるのを待っている。
私たちの人生を狂わした男
→私たちの人生を狂わせた男
お母さんの人生を狂わした
→お母さんの人生を狂わせた
あなたが受けたのは被害者への償いじゃなくて、ただ単に裁判所が決めた刑罰を受けただけなのよ。
→あなたがしたのは被害者への償いじゃなくて、ただ単に裁判所が決めた刑罰を受けただけなのよ。
修正が終わってから再度この物語を読ませていただきますね。そのあと、☆とレビューを書き込もうと思います。
再読したときにまた修正すべき箇所を見つけましたら、応援コメントに追記しますので、レビュー後にでもご確認ください。
私のお節介が少しでも何かの助けになっていれば幸いです。私自身も、いろいろと勉強になりました。ありがとうございます!
作者からの返信
最終話までお読みいただきありがとうございます。
誤字の指摘、早速訂正させて頂きます。
差し出がましい事は大歓迎いたします。
いつでもドンドンご報告下さい。
素晴らしいと思って下さったみたいなので厚かましくも細やかなお願いを一つ。
小説好きの友人知人がおりましたら、こんな小説があるとボソッと呟いて頂けたら幸いです。
読ませていただきました。
私の求める謎ではありませんでしたが、警察小説としては間違いなく面白い作品でした。伏線も綺麗に回収されていましたし。
改めてイベントへの参加ありがとうございました。
作者からの返信
最終話までお読み頂きありがとうございました。
また、★評価して頂いた事を感謝いたします。
いつの日か別の作品で出会える事を願います。