「やりくり」



うちの母の口から、よく「やりくり」という言葉を聞く。



私は、このやりくりという言葉を聞くと“美しい言葉だな”と思う。



やりくりと聞くと、私はよく聞くシチュエーションの一つに家事が精通しているようにも思える。



一貫してそうではないと思いながらも、女性から聞こえてくる言葉としてよく聞くことが多いように思いえる。




でも、その言葉が好き。




それは女性が美しく、聡明に見えるから。



私は不器用な人間で、どちらかというと一般的に言う女性らしい女性には見られないタイプらしい。


現に、ある程度の歳を重ねて化粧をしなければならないとTPOを気にするようになった以外は、女性らしさはみじんもないような気がする。


実際に、この前も公園で「お父さんと公園よかったね」と、ご婦人に間違えられた。


娘は即座に「違うよ!ママだよ!」と否定した。あらら。


その瞬間はいろんな気持ちや思いが混同して頭を下げながらその場を離れていくだけが精いっぱいだった。



そんな私は、女性らしいと言えば女性らしい女性……。

えっと

魅力的な女性にあこがれの感情を抱くことが多い。



私自身が魅力的な女性じゃないと思っているからこそ、ないものねだりなのか、それともそういった趣向なのかはさておき、魅力的に見える女性を見るのがとても好きである。


その魅力的な女性というのは人それぞれ価値が違う為大きな概念はない。でも、その魅力というものの一つに、私は「器用さ」を加えている。



女性は賢い。

そして器用な人が多い。



独断と偏見に聞こえるが、女性でこうした人に魅力を強く感じる。


対して私は器用性がなく、そういった観点では魅力のない人間である。


ああ、欲しい。魅力がほしい。


そんなことを考えながら道行く道ですれ違う女性をじろじろと見ていると、母は言うのだ。



「あんた、さっきからにやけて気持ちが悪い」



自分が顔に出るタイプであることをすっかり忘れている、大型ショッピングモールの出来事である。

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