「結婚してもいいんだよ?」
日付が変わる前の話。
親しき友からLINEがあった
「ちょっと電話してもいい?」と。
そんなことを言われたら、時間を作らないわけにはいかない。
私は急いで寝る準備をしてから寝間着のまま、スマートフォンに充電コードを付けて電話をかけた。
内容は、
ただの愚痴だった。
おおよそ1時間ほど話し込んだであろう。長電話だった。
だけど、こうして友人と家で話すということも私にとっては大切なことである。
大人になってわかった“大切だと思う”理由の一つは「人を信じることが怖くなったこと」。
ここで暴露するが、私は一度離縁している。
その過程で、過度の人間不信に陥ったことがあった。
離縁をした人はもちろん、離縁をした相手の共通の友人には境界線を自ら張った。というのも、心配してくれる連絡もあった中で、どうして離縁をしたのだと責める友人もいたから。その友人だった人物からは一方的に「私が悪い」のだと、そう責め続けられた。
だけど、助けてくれる友人が多かった。だからこうして人間不信から脱却することができ、反対に私を救ってくれた友人を死ぬまで大切にしたいと思うようになった。
感謝の念、そして愛の念とは、まさにこのことなのかなと。
今思えば、私に落ち度はない。だが、「物わかりの悪い」友人がいると、当時は割り切れずにふさぎ込んだ。そんな友人だったものを一蹴してくれたのは、私を支えてくれた友人の中の一人で、今回愚痴を聞いている友人もその一人。
そんな友人が、結婚をすることになった。
そんな友人のパートナーも、友人と同じぐらい大切な人になると私は思っている。
二人とも、幸せになってほしい。
と、願う私に対して親友は言葉では言わないが、私の将来について心配してくれている。顔に出ている。
離縁して数年が経ち、落ち着いたころに「再婚」という言葉が私の頭をよぎったり、まわりから耳にするようになった。
なぜ周りから落ち着いたころに言われるようになったのか。それはもう一つ暴露しなければならない事実がある。
こう見えても、私は人の親である。
そう、愛しい娘が一人いる。
だから、周りの人も娘のことを考えて「再婚」という言葉を口にする。離縁した当初は声をかけづらい状態であったというが、数年と経って自分で整理がつくようになってからは周りも少しずつ言葉にするようになった。
だから、勇気を出して数年婚活たるものをやってみたが、見事に玉砕した。
どうやら性に合わないらしい。もしくは今がその時じゃないのだろうか。
そんなことを考え、再婚は難しいなと悩んでいたところ、我が娘があろうことかこんな言葉を私にかけてくれた。
「ママ、そろそろ結婚してもいいんだよ?」と。
えっ?えっ?
その言葉の意味がわからず、少し考えた。
でも、よくよく考えてみると
私、婚活する→なぜ婚活する?→娘のため(付属老後1人への不安)
という構造が出来上がっていたのだが、きっと娘の中では
ママの結婚→ママの幸せ
になっていた様子。
つまり、間違って出会ってしまって再婚する相手を、娘は「新しいパパ」になるという認識がないようであった。
きっとこの理解は後に大きくなってわかってくるのだろうが、今娘が「わたしのしあわせ」というものを最高に考えてくれているという意味であると受け取っても良いぐらいの幸せな言葉であることが理解できた。
純粋に、うれしかった。
のだが
「ママが結婚すると離れ離れになるの?」
と、唐突にストレートを投げかけてくる娘に焦ったことは言うまでもなく
「ずっと一緒にきまってるじゃない!」
と、お風呂で泣いてしまったのは内密な話である。
それがうれし泣きなのか、私が寂しくて泣いてしまったのか、娘から「結婚」という言葉が出て咄嗟に娘が結婚してしまうことを想像してしまい泣いてしまったのかは、私も理由が定かではない。
自分の日常で、娘という大切な存在や友人という大切な存在が幸せになってくれるることを願う一方で、こんな自分のことを「幸せになってほしい」と願ってくれる幸せを、かみしめることができる今が一番幸せだと感じている。
これ以上の幸せを望んでいいのだろうかと、そう思う日はない。
でも、幸せを見て幸せを望むという相互作用は、結果がついてくることによってさらに幸せになることもあるのだろうかと思う自分もいる。
自分が結果を出して、相手が幸せになってくれるならいくらでもしたい。
現状、予定はない。
それは、追々時に身を任せることにしよう。
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