お袋の手紙
それから二か月ばかり経った頃、真夜中にアトリエで絵を描いていると、師匠が血相を変えて入って来た。
「どうしたんですか。師匠。そんなに血相変えて?」
「お前の母ちゃんがガンで倒れた」
「今、何て?」
急に言われて頭が真白になった。
「お前の母ちゃんがガンで倒れた。今、病院にいる」
俺は構わず絵を描き続けた。
「何してる? 早く行ってあげなさい」
「お袋は俺を捨てた」
「何を言ってる。正気か?」
そう言うと、どたんどたんと家の中に入ると、手紙の束を持って来た。
「こんなに手紙を書いて来てるんだ。お前の事を心配してるんだぞ」
「見せかけです」
師匠が手紙を読み始めた。
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