中年のおっさんが地球上に残り僅かとなった喫煙者として捕獲されて上野動物園に展示されてしまうという、衝撃的な幕開けをする物語です。初めはその状況や周囲からの扱いの皮肉さに思わず笑ってしまったのですが、徐々に「人格とは」「人権とは何なのか」と上手く呼吸ができないような息苦しさを感じました。彼はただ好きなことをしていただけなのに。ラストシーンの物哀しさが、何とも言えない余韻を残します。簡潔でテンポの良い文章で綴られた、それでいて大きなインパクトのある短編でした。すごく面白かったです!
喫煙者が展示されるって、スゴい状況が生まれてしまったもんだ。しかも上野動物園。「上野動物園に展示されてしまう」って淡々と書くからアイロニーがスゴい。爆笑の連続です。淡々とスゴい状況面白く書く筆力がある作者ならではの名作。喫煙者を罵倒することなく、擁護することもなく、ただ愛護する物語。必見です。