4‐6
「ゆっくり座席に戻れ。で、視線だけ動かしてみろ」
言われるがまま目だけ動かしてみると、周りにはファミリーカーに紛れて数台の黒塗りセダン車が止まっていた。その車の周りにはいかにもといった風貌の男達がうろついている。アマゾン川低域でワニとピラニアに囲まれたそんな状況。
「嘘でしょ―――」
もし異変に気づかずハイエースを出せば追っ手に勘づかれ、俺たちは無事に病院に着くどころか、殺されてしまったかもしれない。耳の奥で音叉が鳴り、頭に靄がかかる。改めて、俺は自分たちがいかに危険な綱渡りをしているかを自覚する。
籠城して、向こうの警戒が弱まるまで我慢比べしかない―――
そう思った時、目の前の景色に俺の考えは否定された。
朝を迎えたことで、車中泊していた車たちが、ちらほらとサービスエリアから出て行っているのだ。
つまり、駐車場に止まる多くの車でカモフラージュされていたはずのハイエースは堅牢な外堀を剥がされ裸一貫になってしまう。
焦って動けば捕まる。
かといってじっとしていれば、見つかってしまう。
「組の抗争ってのは大概全滅するまで続くものだから、逃げ切れた時はどうも上手くいき過ぎていると思ったが、連中、実は気づかれないように尾けてたってことか? ああクソッ……」
舌打ちとともに、八つ当たり先の見つからない拳が堅く握られた。
「安心してください。策はあります」
俺は―――この展開を予想していた。
悪い予感というものは大概あたる。これまでの経験で俺はそのことを学んでいた。徒労だと思っていたこともこうして経験となり役立ってくれるのなら、この綱渡りもいつか自分の人生に役立つのだろうか。
冷静な思考を取り戻した頭が計画の種ミュレーションを繰り返す傍ら戯言を思い浮かべる。
さぁ、逃走劇の続きと行こうか。
「『やったか……』と思ったらやってない、的な展開ってやっぱ十八番ですよねー、なんて」
「あ? 何言ってんだ。状況解ってんのか? 」
「ええ。ちゃんと理解してます」
そう言いながら俺はスマートフォンに番号を打ち込み、受話器口に耳を当てた。
下手に動くなよ、と六郎が静かに横で慌てている。
「すみません、出番です。ええ、居場所は今送った通りです。出来る限り台数多めでお願いしますよ」
口橋が僅かにつり上がった。いいぞ気分が乗ってきた。
「ギンの倅、ほんとにお前、打開策があるってのか―――」
驚嘆によって開かれた口から煙が漏れ出る。
「多分もうすぐチャンスは来ます。合図したら出てください。必ず成功します。父さんを頼ったように俺を信じてください」
頼む、早く来てくれ。あとは願うばかりだ。
静かに響くエンジン音遠ざかり、目の前ではタイムリミットを刻むように駐車場から車の台数か減っていく。
「さっさん。なにあれ? 」
寝起きのメグミの声に促され、外を見ると、次々と黒いバンがサービスエリアに流れ込んできた。
「聡さん、不味いよ!きっと追っ手だ」
取り乱すシュンに俺は落ち着けと手を挙げ、黒いバンが一台また一台と入り込んでくるのをただ見送る。
「お願いします」
ロクロウがエンジンをかけた。
「チャンスってもしかしてこれか? 」
「ええ、そうです。作戦開始です」
清流にオイルを混ぜるように黒塗りのバンがどんどんと駐車場内に入り込んでくる。
異様な光景に留まっていた追っ手たちの警戒の眼が周りへと流れ、霧散していく。
「行きましょう。今しかないです」
俺たちに対してのマークが薄くなったそのわずかな隙を縫うように黒塗りのハイエースはゆっくりと駐車スペースから通路へと向かっていく。俺はメグミ達に体勢を低くするようにハンドサインを送り、ハイエースは出口に向かって進んでいく。幸い追っ手には気づかれてないようだ。ハイエースが高速道路入口に差しかかる。後ろには漂っていたバンの何台かが後ろについている。
「なるほど、チャフグレネード」
なにかを察したシュンが呟いた。
「今です―――」
サービスエリアの出口に向かって突如スピードを上げた大群の中に俺達は入り込むことに成功する。
その動きに慌てた追っ手たちは、各々の車に乗り込み、黒塗りのバンの群れを一歩出遅れて追いかける。
サービスエリアを脱出してから高速道路の三車線には陣取るように同じ色で似たようなタイプの車が群れをなす。それぞれの車線に追っ手たちが張り付いた。どうやら上手く撹乱出来ているみたいだ。
しばらく走った後、震えたスマートフォンの着信画面には三池文太と表示されていた。
「冴島くん、これでいいんか?」
ハンズフリーのため、ブンタの声が車内に響く。
「助かりました。どうやら撹乱作戦は効いているみたいです」
「まぁそれならいいけどよ。いきなり夜中に呼び起こされたかと思えば『商店街の人の車をできるだけ真っ黒に塗ってください』なんて最初は寝ぼけてんのかと思ったが、上手く事が運ぶもんだな」
「ですね。でも危機的状況だとはいえ、よくこんな無茶なお願い聞いてくれましたよね」
「全くだ。洗えば落ちる塗料を使うとは言えど、商店街のメンバー叩き起こしていきなり『車、真っ黒にさせてください』なんて言うのは大変だったんだぞ」
「流石、会長です」
「けっ……うるせぇよ。元会長だ。塗り替え代とその他諸々はきっちりと返してもらうからな」
「覚悟しています」思わずにやけてしまった。繋がりという温かみを俺は噛みしめる。
「そんで、この先どうすればいいんだ」
「間もなくジャンクションが見えてくるはずです。そしたら、各自違う方面に向かって散ってください」
「ヤクザにカチコミに行った時の緊張が蘇ってるよ。追われている相手、あれだろ?一之瀬組だろ」
「はい」
「懐かしいな。太平と襲撃に行ったこと思い出すよ」
ヤクザに追われている。しかも率先して。常人であれば、パニックになってもおかしくないこの状況にブンタの声は落ち着き払っていて、親友との思い出に浸る余裕すらあるとは。心強い
「お噂は聞いています」
かかか、と電話の向こうから分他の笑い声が聞こえる。
「そうか。ああ、いけねぇな……冴島くんがそんなこと言うから湿っぽくなっちまったじゃねぇか。思い出に浸っている場合じゃねぇな気引き締めねぇと。切るぞ」
着信画面が消えた俺のスマートフォンをロクロウはちらちらと見ている。
「今の人、なんであんなに落ち着いてんだよ。言っておくけどよ、ヤクザって怖いんだからな」
そんなストレートに「怖いんだぞ」なんて言われると、不思議と恐ろしく聞こえない。
「昔、あの街でデモがあったの知ってます? 」
「ああ、一之瀬組が街に多額の助成金を出してショッピングモールを作ろうとして、その計画を阻止するために起こった抗議運動だろ。あれ、知ってるか?実は一之瀬組がショッピングモールの地下にカジノを作りたくてやったんだよ」
黒い噂があるのは何となく知っていたが、それは初耳だ。
「そんでその事業は成功し、俺らは追われる羽目になったわけよ」
「地下カジノ……」
自治体と暴力団組織の蜜月関係。とんでもないことを知ってしまった。
だが今はまず逃げ切らなければ。街を相手に正義のヒーローを名乗るのはまだ気が早い。
「話は戻りますが、それで、さっきまで俺が電話をしていた相手がその抗議活動していた人の一人なんですよ。やけに落ち着いていたのはその人達が一之瀬組に突撃した経験があるからです」
「あ、そういうこと―――あの厄介な連中ね」
厄介な。
ため息を交えながらしぶしぶ納得した口ぶりからすると、タイヘイやブンタたちが起こしたあの騒動ってのは、当事者たちが思っている以上に凄まじかったのかもしれない。
「一之瀬組は自治体を丸め込むのは早かったんだけどよ。住人達を丸込むまでは相当手間が掛かったらしくてな。無闇やたらに住民を力で脅せば、警察の視線が集まってくるから出来ない。かといって強情な住民は金をちらつかせた穏便な説得に絶対首を縦に振らなかったらしい。特に関って家と三池って家がしぶとく粘ったらしくてな。なるほどそのデモの一人ってのなら大丈夫そうだな。さっき言った通り、向こうも警察にマークされるのは嫌うはずだから嘘がバレても簡単に殺しはしないだろうしな」
「三池のおじさん大丈夫かな」
親戚の一人を心配するようにメグミが呟く。
「大丈夫。ジャンクションを過ぎて一台対一台の状況になったらその時点で警察に通報するように言っといたから」
「聡さん。準備万端ですね」
メグミがほっと一息ついて、その安堵を引き継ぐようにシュンが続く。
「お前ら校長と親しかったり、商店街の面々を抱きこんでいたり、ずいぶんと顔が広いんだな。一体普段何してんだよ」
「うーんっと、お悩み相談? 」シュンに返答が正しいかどうかを求めながらメグミは首を傾げる。
「ま、そうだな」
ジャンクションを越えて追っ手は見事に方々へ散った。
空港へ向かって走り続ける俺達を追うのは一台のみだ。だけど、この一台を払いのけるのが難しい。
ブンタ達のような手を使って追っ手を振り切れば、追い払うことはできる。でも警察を呼ぶと今度はロクロウ達が捕まってしまう。
切れるカードを切って、なんとか危機的状況をなるべく危害なく潜り抜けてきたが、所詮は素人の浅知恵だ。
こうして穴が出てくるのは当然といえば当然か。
「あと一台……」
大蛇のようなプレッシャーは二台挟んだ先からでも如実に伝わってくる。
「俺一人なら一之瀬組の車に突っ込んで相打ちにすることはできるが、ここには恵ちゃんに瞬くん、それにギンの倅もいるしな……リスクは正直避けたいところだ」
「ですよね」と頷く。
『おい、俺を忘れないでくれよな』
沈黙を決め続けていたため、俺ですら肩を震わせた。
「はぁぁぁぁぉぉ!?」
よって犬が喋るという状況を初体験したメグミや、フロントミラー越しに犬が喋っている光景を目撃してしまったロクロウの衝撃は凄まじかった。
悲鳴が溢れかえる車内の中、ナナスケは特に驚く様子もなく「犬がしゃべったー」と笑っている。
おいおい暢気すぎんだろ、この子。
目の前で信じられないことが起きているが、でも起きているのだからもう信じるしかないと、例によって言い聞かせ、やっと二人の留飲を収める。
「全く、喋る時くらい意思表示してくれよ」
『無理な話だろ。だって今からしゃべるから、なんて言ったらもうその時点で喋ってんだから』
「にしても他にあったろ。アイコンタクトとかさ」
「頭抱えたり、携帯見てるのに必死なお前にアイコンタクトなんてとれるか? 」
「……それもそうか」
納得する俺にソウゴが溜め息を吐いた。
『ここでしっかり向かい合って区切りを付けましょう』
偉人がタイムスリップしてきたような喋りはなくなり、素のソウゴの声が車内に響く。飾り下のないその姿勢が、反撃宣言に真実味を帯びさせている。
俺もロクロウも薄々そうしなければならないとわかっていた。でもどこかで子供を巻きこむリスクや、敵勢力の武力が不明なことに気が回り、こんな状況なら仕方がないと立ち止まりそうになる思いもあった―――
さっきまであった喧騒はぴたりと止み、押し黙り、立ち止まる社内の空気。立ち止まる俺たちの気持ちをソウゴがまた引っ張っていく。
『陸朗さんの世界で言う、ケジメってやつですよ』
リスクや、最悪のシナリオばかり思い浮かべる俺は相互の言葉で視線をあげた。ソウゴの尾はわくわく感で横に振れている。
「よく喋るワン公だ」
ロクロウが思考を放棄したように笑う。
「丁か半かってか。博打は苦手なんだよなぁ」
『勝てます。いや何があっても俺が全員勝たせてみせますから』
絶望的にも見えるこの状況で高揚感を抱いているソウゴの姿は不謹慎にも見えて、でもそれが希望にも感じて、だから俺はその希望に乗っかってみることにした。
「追跡してきているのは黒のセダン車。おそらく刺客は多くて五人ほど、ですかね」
「そんなもんだろうな」
「俺が一人、メグミが一人、陸朗さんには二人やってもらうとして……」
「えっあたしも闘うの? 」
自分を指差して目を丸くするメグミ。娘を巻きこむなとソウゴが俺を睨んだ。
いや、だって人数不足だから。それに言いだしたのはお前だからな。俺は睨み返した。
「緊急事態なんだから。頼むよ武闘家」
「まぁ、空手とかやってたからいいけどさ」
満更でもなさそうにメグミは前髪をかきあげた。
「ギンの倅、俺がちゃっかり二人担当に任命されてるのは良しにしよう。だが頭数を埋めるには一人足りないぞ」
「そこなんですよね……」
あ、また穴が出来てしまった。まぁ最悪、ロクロウに三人やっつけてもらおう。
沈黙が訪れ、思考がその場で停滞する。その時、リスクを背負ってでもこの状況を打破しようとする者が恐る恐る手を挙げた。
「僕、や…やります」
一同がシュンに視線を集めた。
「お前、やる気なのか? 」
「はっはい……ぼっ僕だって戦えます」
シュンは挫けそうになる自分を必死に律しながら声を絞り出す。自分は体も大きくないし、もちろん極道でもないし、武道も収めてない。それを自覚しているからこそシュンの体は震えている。
「志は立派だけどな……その機会は今日じゃなくていいんじゃねぇか。まぁ巻きこんどいてなんだけどよ」
ロクロウの言葉を受ける華奢な体の中には行き場のない熱がこもっている気がした。これを発散させてもいいものなのだろうか―――危機は刻々と迫る中、俺は選択を強いられる。
「瞬は自分の命の尊さに気づいたんだろ? 今のお前は衝動的に自分の命をぞんざいにしている気もするけど―――」
ドン、と鈍い音が車内に響いた。
その音はシュンが自分の胸を自分の拳で殴ったからで、俺達はそれに気づくまで数秒かかった。
「だからこそ」
声は震えていた。
だが、男が覚悟を決める瞬間ってのはいつ見ても目を奪われるものだ。
「だとしても―――」
呟くシュンの声には身体の内に籠っていたはずの熱が乗っかっている。
「それでも変わりたい。僕は今まで自分の命に目を向けてこなかった。でもジョンのことがあってそれは違うと気づけたんです。だから僕はそこからさらに先に進みたい。僕は―――大切な人や周りの人を守れる男になりたいんです」
熱は声に乗って、放出されたことで意志の強さに昇華する。
胸が高鳴る。
目が見開く。
体の内に沸き起こった泡が、粟となって外に放出される。
やっと自分の中での迷いが終わった。
よし。だったら俺は先行く少年と共に行こうじゃないか。
「分かった」
俯いているシュンの頭に俺は手を置いた。
「しょうがねぇ奴だな……坊主、無理はするなよ」
根負けしたロクロウの表情が苦虫を潰したように歪む。
「はい」
頷くシュンの顔はロクロウと違って晴れやかに見えた。
ハイエースは高速道を下りて、インターの脇道を走る。
数台連なっていた一般の後続車が消え、脇道で追っ手とついに一対一となる。
車一つ通らない道に入ったところでロクロウはブレーキを踏んだ。
追っ手たちが車を止め、それぞれのドアから刺客が出てくる。
一、二、三……数は予想に反して四人だった。嬉しい誤算だ。
ぞろぞろと歩く男たちを見ながら、目星を付ける。
筋骨隆々のお方はロクロウに任せよう。ちょうど二人いることだし。あとはひょろそうにも見えるな。
ロクロウとソウゴが車から降りた。ヤクザの隣にグレートピレニーズ。その違和感に追っ手たちは蜃気楼の向こうを覗くように顔を歪める。
「あ、なんだあれ。犬ころ?」
「んなわけねぇだろ。どこの大将が抗争真っ只中にわんころと呑気に散歩なんて、本当だ。わんころだわ」
追っ手たちがしゃがみ股の下で手をはたきソウゴを呼び寄せようとしている。
ソウゴは日射で熱されたアスファルトを蹴って、追っ手たちへ向かっていく。
「おい、走ってきたぞ」
追っ手たちは誰の元に来るかな、とはしゃいでいる。
そしてソウゴは男達の前で立ち止まると強烈な猫騙しをくらわす。
『馬鹿で助かったよ』
え、今喋った?
犬が人間の言葉を使って叫んだ。そんな訳ない。
追っ手たちの心に生まれた衝撃は、どんなに血生臭い過去を背負っていたとしてもすぐには打ち消せない。
このことによって生まれた緩みは此方が先手を打つには願ってもないチャンスだった。
『もろどもかかれぇー! 』
「え―――?」
「チェストォォォォォォォ! 」
俺、メグミ、ロクロウは突風となり、全速力で急襲をかける。それとともにソウゴが全速力でバック。先発役は車内へ戻り、ナナスケの護衛に徹する。
突っ込んでいく中でソウゴとすれ違った。一瞬が少しの間停滞した気がした。
『あのセリフ、大河とか出たらやってみたかったんだよ』そこで俺はソウゴのしたり顔を頭に思い浮かべた。
どこまでも演技馬鹿なお前には全く参るよ。でも今はありがとう―――
心の中で礼を告げ、ソウゴの横を全速力で駆け抜けていく。
「せーのっ!」
顔面。金的。鳩尾。確実な急所だけを狙い、一発ノックアウトさせた俺たちに対し、シュンは―――奇声を発しながらただ突っ込んでいく、だけじゃなかった。
特殊部隊さながらに構えながら標的に向かってシュンは軽機関銃の弾幕を浴びさせた。
浴びせたのはバイオ弾で、構えるのはモデルガンだけど、目や唇などの粘膜組織に弾が当たれば激痛だし、失明することだって十二分に在りうる。
「ぎゃあああああああああ」
他四人が痛さで蹲り、声ない声を漏らす中、弾幕を食らった男だけは顔を覆いながら、騒ぎ喚く。
思春期の高校生のニキビ面みたいに腫れた顔を男は両手で覆う。唇からは血が流れ出血が口内の出血が咳と共に指股から溢れる。「痛ぇよ、痛ぇよ」と繰り返しているさまを見てるとなんだか気の毒にも見えてくる。
「ちょっと、やりすぎだった……かな? 」
俺たち同様に気の毒に思ったのか、後悔を顔に浮かべてシュンは男を見下ろす。
「坊主、意外とお前思い切りがいいんだな……」
ロクロウは息を飲んでいた。
「おい、動かない間に手縛っとけ」
「陸朗さん、この後どこ通すんでしたっけ? 」
「ああ、そうじゃない」
「陸朗さん、あたしもわからない」
「ちょっと待ってくれ。いっぺんに言われても対応しきれん」
手際よく結束バンドで二人を縛り上げたロクロウに手伝ってもらいながら野太い腕を縛り上げていく。
筋肉の詰まった体を改めて見回してぞっとした。奇襲であったから一撃も食らわずに済んだものの、この手で殴られていたら間違いなく、意識が飛んでいただろう。
「何とかなったな」
上手すぎる事の運びに俺達は警戒心を解いていた。そこに気づいたのは後になってのことだった。
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