幻影パブロフ~もう君は私のことしか考えられない

 青春に夏は欠かせない。


 海、山、祭り、花火。青春の風物詩と呼ばれるイベントは、夏に集約される。


 そして今日、俺と春野は二人で海水浴に行く日だった。


 ピピピ……。


 無機質なスマホのアラームが響いて、俺は目を覚ました。冷房を存分に効かせた部屋。夏の暑さを一切感じることなく、快適な空間。


 俺は起き上がって、部屋中を見渡す。


「よし」


 部屋の片隅に置いてあった、水着の入ったバッグを見て俺は呟いた。そして俺は出掛ける為に服を着替える。


「夏木ー、ご飯できたよー!」


 そんな声が響いて、俺は動きを止めた。


「今の声、お母さんだったよな……」


 俺は感じた違和感を思わず口にした。


 先ほどの母の声。声質が妙だった気がした。どこか低いトーンで、眠くなるような低刺激な声、だったような気がする。


「はは、まさかね」


 ともかく、如何にも母らしいセリフだったし、そんな訳ないだろう。


 俺はさっさと着替えを済まして、ダイニングキッチンに入った。


 キッチンでは母が朝食のパンを皿に乗せているところだった。


「お母さん……?」


 エプロンを着けた母の後ろ姿。しかし妙だ。母の後ろ姿は、こうだっただろうか。


「おはよう夏木。悪いけど自分で持ってって、さっさと食べちゃって」


 そんな低刺激で低トーンな声を発しながら、母は振り返った。


「あ、秋音!?」


 俺は思わず叫んだ。白衣は来ていないけれど、間違いなく秋音だ。


「秋音? 秋音ちゃん、今日来るんだっけ。あんた、今日は春野ちゃんとデートって言っていなかった?」


 なんて秋音は言った。全く会話が成り立っていない。それどころか、秋音は不自然にも母の真似をしているようだ。


 何が起こっているのだと考えていたら、ダイニングキッチンのドアが開いた。


「おお夏木。今日は早いな。ああ、春野ちゃんとデートだっけ。はは。良いねえ。青春だねえ」


 秋音の声で、そんな父らしい言葉が響いた。俺は恐る恐る振り返る。


「おはよう。夏木」


 俺は挨拶を返せず、絶句した。秋音が二人いる。キッチンには母の真似をした秋音。ドアの前には父の真似をした秋音。


「ご、ごめん。ちょっとトイレ」


 俺はそう言って廊下に出た。そしてスマホを取り出して、電話を掛ける。


 電話の相手は、すぐに出た。


「やあ。おはよう夏木。どうだい、気分は」


 ぬけぬけと秋音は言った。


「おい秋音。何かしただろう。説明しろ」


 俺が問い詰めると、すぐに秋音は語り出した。


「さすが夏木。察しが良いね。名付けて幻影パブロフ。脳の錯覚を利用して、見える人全て私の姿として誤認させてしまう装置だ。君は今、その装置に影響されている」


 俺は状況を冷静に分析する。つまり先ほど遭遇した二人の秋音は、母と父だったのだ。


「ねえ夏木。今日は春野とデートだよね」


 秋音に言われてハッとした。そうだ、今日は春野とデートだった。しかしこんな状態だ。


「中止にするしかない。お前の所為だぞ、秋音!」


 流石に俺は怒った。


「どうして? 春野からは普通に見えているんだよ? 私に見えてしまうのは夏木だけ。なら、夏木が我慢すれば良いことじゃない」

「それはそうだが……」


 しかし、春野が秋音に見えてしまう俺は、果たして普通でいられるのだろうか。


 そう思案していると、呼び鈴が鳴った。恐らく春野だ。俺は玄関の鍵を開けた。


 玄関の向こうには秋音が立っていた。しかしそれは、恐らく春野だ。


「春野、実は……」


 俺は事の事情を話そうとした。


「夏木!」


 しかし春野は、俺の姿を見るや否や俺に抱きついてきた。


 秋音の身体が俺に密着する。脳の錯覚と言っていたが、秋音のその大きな胸の感触までリアルだった。秋音の髪の毛が鼻腔付近にあって、嫌でも匂いを嗅いでしまう。おかしなことに、匂いまでも秋音だった。


「あきっ……春野」


 俺は思わず口走りそうになって、冷や汗が垂れた。まずい。秋音に抱きしめられているようにしか思えない。


「夏木……」


 うっとりとした表情で、春野は俺を見つめる。しかし俺には秋音に見えている。黒くて縁の太い眼鏡は掛けていない。ダサい白衣も着ておらず、白のTシャツに、デニムのショートパンツ。普段はボサボサの髪の毛も、櫛で綺麗にとかされていて、シュシュで一つに結わえられていた。


 春野のセンスでいつも以上に女性らしい秋音が、俺を魅了してくる。俺は途端にクラっとしてしまう。


 そして春野は、そのまま俺に唇を近づけてきた。いつもなら受け入れるキスも、俺は躊躇してしまう。だってこれはもはや、秋音とキスするようなものだ。


「もう、焦れったいな……えい」


 春野はいつまでも唇を重ねない俺に焦れて、自ら唇を重ねてきた。


 やわらかな唇の感触。はたしてこれは春野の感触なのだろうか。それとも秋音の感触なのだろうか。中身は同じなのに、顔が違うだけでこうも違うとは。


「ムフッ。あはぁっ! しちゃったね、キス!」


 悪魔の声がスマホから微かに響いた。


 俺と春野は離れる。


「行こっか、夏木」


 秋音の顔でニッコリと笑う春野。キスをしてしまったから、もう事情は話せない。秋音とキスしたと春野に告げるようなものだ。


「あ、ああ。行こっか」


 頰の紅潮を必死に隠しながら、俺は言った。





「うわあ! 凄い! 海だよ海」


 春野が言った。水着姿の、秋音の格好で。春野は黄色の可愛らしい水着を着ていた。


 青い空。白い雲。太陽の日差しをキラキラと反射させた、宝石のような海。白い、きめ細かな砂浜。賑わっている海の家。しつこい程の潮の香り。


 救助スタッフに、水着姿のギャル。


「この世の地獄か、ここは」


 俺はげんなりして言う。なにせ、眼に映る人々全て、秋音だからだ。海の家の店員も、救助スタッフも、水着姿のギャルも、みんな秋音だ。性別問わず秋音と誤認させられているようで、男であろうが女性の水着を着ている秋音の姿を見せられているらしい。


 気が狂いそうだ。


「お、あそこにイケメンはっけーん」

「はは、ちょーウケるー」


 なんて会話をしながら通り過ぎていった二人の秋音を俺は見た。日焼けした肌。黒くて面積の狭い水着を着用した秋音。その隣にいるのは白い水着を着た秋音だ。はっきり言ってエロい。幼馴染がはしたない格好で歩いているものだから、ドキドキする。


 ドサッ。


 ボーッと突っ立っていると、太もも辺りに何かがぶつかってきた。


「きゃあ!」


 そんな可愛らしい声を上げたのは、およそ幼稚園児くらいの幼い秋音だった。よそ見をして俺の脚にぶつかったのだろう。幼い秋音は、大きな目をパチクリしながら、俺を見上げてくる。


「……っ!!」


 俺は口を押さえ、目を背けた。その可愛さは反則過ぎる。


「ふぇえ……」


 そんな声をあげたかと思えば、目に涙をうるうるさせた。泣く合図だ。


「うぇえええええええん!」


 案の定、大声で泣きだす幼き秋音。泣いていながら、どういう訳か俺の脚に引っ付いたままだ。


 もう勘弁して欲しい。何か良からぬものに目覚めてしまいそうだ。


「すいません、ウチの子が!」


 続いて現れたのは、30代前半くらいの大人びた秋音だった。身長は高くて、ツバの広い、ベージュのキャペリンハットを被っている。丁寧に手入れされた艶やかな黒髪は一つに結わえられて、肩に下ろされていた。水着はシンプルな白い水着を着ていて、その上に上着を軽く羽織っていた。


「ママぁー!」


 幼女秋音が俺から離れて、現れた秋音の太ももに引っ付く。すると、ムニッとその子の手が太ももの肉に食い込む。俺はそれを見て、ゴクリと唾を飲み込んだ。姿は幼馴染の秋音なのに、大人の色気がムンムンでやばい。


 恐らくはこの子の母だろう。人妻秋音と幼女秋音が俺の視界に収まる。とんでもない光景だった。


 人妻秋音は軽く会釈をすると、幼女秋音の手を握って去っていく。


「ちょっと夏木」


 怒り気味の秋音の声がして、俺は振り向く。するとやはり、怒った表情を浮かべた秋音がいた。黄色の水着。えっと、たしか春野が来ていたのが、その水着だった。話しかけてきたし、この秋音は春野か。


「何よそのデレっとした顔は。さっきの人、そんなに良かったの!」


 どうやら、さっきの人妻に嫉妬しているらしい。当の本人は幼女秋音にも興奮してしまったけれど、幸いにもバレていないようだ。そりゃあ、普段の俺だってその辺の幼女に興奮するような奴ではない。ただ、それが秋音の姿をしているとなると、話は別だ。


「いやいや。春野の水着姿がやっぱり一番だなって、思って見ていただけだよ」


 我ながら歯の浮くようなセリフを言ったものだ。


「そ、そう……。なら良いのだけれど」


 春野は少しを頰を紅くして言った。春野が照れてくれるから、こういったセリフも言いやすい。言った甲斐がある。


「早く海に入りましょう。ほら!」


 春野は俺の手を握る。俺にはどうにも秋音に握られたようで、やはり慣れない。しかしそれに構わず、春野は俺を海へ引っ張っていった。





「はあ、疲れた。ちょっと休憩しましょうか」


 春野が言うので、俺たちは海から出た。かなり体温が下がっていたようで、夏の日差しが暖かくて気持ちが良い。


「何か食べようか」


 俺は言った。秋音姿の春野に、大分慣れてきた。


「そうね」


 そして春野が同意したので、俺たちは海の家で軽食を摂ることにした。意外にも様々な種類のものがあって、目移りする。しかしそれでも、店員は全て秋音の姿をしているので、俺はその度に複雑な気持ちになった。


「あ、ここ良い。ここにしよっ!」


 そして春野はよりにもよって、妙な店をチョイスしてきた。


「海のメイド喫茶……?」


 胸騒ぎがした。


 店の前には、秋葉原の通りみたいに、水着姿の女性が客引きを行なっていた。水着も妙に凝っていて、黒地に白いフリフリを存分にあしらっており、あくまでもメイドなのだと主張しているかのようだ。


「春野。別のところにしないか?」


 もはや水着姿の秋音には慣れた俺だったが、水着姿の秋音にメイドっぽく何かを言われるのは、不味い気がした。


「ええ、良いじゃん。気になるの。お願い」


 春野は言い出したら止まらない質だ。俺は仕方がなく了承する。ポップでカラフルな店の敷居を、俺たちは跨いだ。


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


 入店すると即座に、水着メイドの秋音が接客にきた。あの秋音がそんなセリフを言うなんて……。


 俺と春野は、水着メイドの秋音に案内されるがまま、店に奥に入っていく。


「うっわ」


 思わず俺はドン引きの声を上げた。メイド秋音に媚びへつらう客どもと、その客に対して媚びへつらうメイド秋音。そんな光景があちこちにあって、俺は目眩がした。


「うっわー、凄い!」


 春野には一体どんな景色が見えているのだろう。もはや俺には想像が付かない。


 俺たちは案内された席に着くと、メニューが差し出された。俺は焼きそばを、春野はオムライスを注文した。


「海でオムライスって……」

「だってさ。きっとアレ見れるよ」

「アレって?」

「美味しくなあれって奴」

「勿論見れますにゃ」


 唐突に妙な声が聞こえてきたと思えば、すぐそばにメイドがいた。そのメイドは他のメイドとは異質だ。他の店員と同様に、黒地に白いフリフリの水着を着ていたが、さらに猫耳と尻尾のようなものを付けていた。


 そんな姿の、秋音がいた。


「わあ、可愛い!」


 猫メイドの秋音を見て、春野は興奮する。


「ありがとうにゃ」


 秋音の声質でそんな猫撫で声を聞いてしまい、俺は途端に恥ずかしくなる。


「触っても良いですか」


 果敢にも春野はそんなことを言う。


「どうぞですにゃ」


 合意を得た春野は、おもむろに立ち上がった。途端に春野の胸がたゆんと揺れる。忘れてはいけない。春野だって秋音の姿をしているのだ。


 そんな秋音姿の春野は、なんと大胆にもぎゅっと猫メイドの秋音を抱きしめた。


「にゃおおん」


 抱きしめられた猫メイド秋音もまんざらではなさそうで、調子よく艶かしい声を上げた。


 俺はただ凝視せざるを得ない。二人の秋音がお互いを抱きしめ合っている。二人の大きな胸と胸が、ムギュッと重なりあっている。お互いのくびれた腰に、小さな手が添えられていた。そして猫メイドと春野はお互いを見つめ合う。俺には秋音と秋音が見つめ合っているようにしか見えない。そして二人の唇は、あと少しで触れてしまいそうな程に近かった。


「は、春野!」


 俺は堪らず春野を止めた。


「うふふ。夏木、興奮した?」


 春野が言った。


「からかうなよ」


 俺は照れながら言う。そりゃあ興奮したさ。まさか幼馴染の秋音が秋音を抱きしめ合う姿を見るなんて。しかしそんなこと、春野には死んでも言えない。


 春野と会話をしていると、料理を持ったメイドがやってきた。先程の猫メイドではない。


「あ、あなたの為に料理を持ってきてあげたわ。感謝しなさい!」


 顔を赤らめてそんなことを言うと、そのメイドは焼きそばとオムライスを置いた。俺の注文した焼きそばは、何の変哲もない焼きそばだ。一方でオムライスの方は、肝心のケチャップが掛かっていない。


「仕方がないから、私がケチャップで文字を書いてあげる。光栄に思いなさい!」


 客商売としては有り得ない口調のそれは、恐らくツンデレという奴だろう。春野は芝居掛かったセリフを聞く度に、目をキラキラさせている。


「なにかリクエストは?」

「じゃあ、去勢で!」

「なんで!?」


 春野の予想外のチョイスに、俺は戦慄した。


「だって夏木の小さすぎるのよ。いっそ去勢して女になっちゃいなさいよ」


 なんてことを、春野は臆面もなく言う。


「ふふ。かしこまったわ」


 その言葉の使い方は正しいのか、ツンデレメイド秋音。


 さすがに慣れているようで、スラスラとケチャップで文字を書いていく。そして、“去勢”と書かれた恐怖のオムライスが出来上がった。


「では二人とも。今から美味しくなる魔法を唱えるわ」


 ツンデレメイドがそんな切り出しでレクチャーを開始した。例の美味しくなあれ、というやつだ。


「では、せーのっ!」


 俺を含め三人は、両手でハートを作り、それを胸元に構える。


 なんて恥ずかしいポーズだ。死んでしまいたい!


「(夏木のアソコが)大きくなあれ! 萌え萌えキュン!」


 三人が魔法を唱えた。俺を悲しみのどん底に叩き落とす魔法である。


「夏木。はい、あーん」


 そして春野は、そのオムライスの一口分をスプーンに乗せ、俺に差し出してくる。冗談じゃないよ、春野。


「いや、いいよ……」


 俺はそう言ってがっくりと項垂れ、涙目で焼きそばを頬張った。





「ねえ、夏木。今日、ウチ来るでしょ?」


 夕方。とことん遊んで気持ちの良い疲労を抱え、人気の少ない電車の振動に揺さぶられウトウトしてきた頃。春野が俺の腕にぎゅっと抱きしめて、ウットリした表情で言った。幼馴染で子供の頃はお互いの裸だって見ている秋音とはいえ、こういった直接的な誘惑はやはり慣れない。中身は春野だが、イケナイことをしている気分に苛まれる。


 俺は悩む。このまま行為に及ぶ訳にはいかない。かといって、春野の申し出を断るのも気が引けた。優柔不断な俺は、そのまま返事を曖昧にし、やがて春野の自宅の前まで来てしまった。


「ほら、夏木」


 春野が俺の手を引っ張るが、しかし俺は振り払って立ち止まってしまう。


 途端に、気まずい雰囲気になる。


「夏木、今日ずっと変だったよね」


 俺はその言葉にドキッとした。図星だ。でも、少しだけ嬉しかった。春野は俺のことを愛してくれている。だからこそ、俺の違和感に気付いてくれたのだろう。そう思うと、春野が恋人で本当に幸せだと思う。


「私のこと、嫌いになっちゃった?」

「そんなことない!」


 俺は即座に否定した。それだけは、認めてはならないだろう。


「じゃあそれとも、私のことが愛せなくなっちゃった?」

「それも違う」


 そんな問答を続けていると、俺はもどかしくなってきた。俺は春野のことがこんなにも好きなのに、不都合な事情を一つ抱えているだけで、こんなにも伝え難い。春野だって俺のことを愛してくれているのに、俺は素直に応えることができない。


「私を愛せるのであれば、全部関係ないでしょう?」


 春野はそう言うと、俺を自宅へ無理やり連れ込んだ。春野に引っ張られながら思う。ああ、春野ってこういう奴なのだ。モデル並みの顔と身体。そして誰よりも図太く、誰よりも格好良い精神。


 きっと春野は、俺が何らかのトラブルを抱えていることに気付いている。だから全てを受け入れる覚悟で、部屋を招き入れたのだ。この先何があっても、後で何が判明しても、あなたを責めない。そう言われている気がした。


 そしてそのまま、春野の部屋に連れていかれ、俺をベッドに押し倒してきた。秋音の顔と身体が、俺に密着する。幼馴染の秋音。あくまで友達で、こんなアダルトなことをするなんて想像もつかない秋音が、俺を押し倒している。


「夏木。私はあなたを愛しているわ」


 春野の言葉なのか、秋音の言葉なのか。俺は湧き上がる興奮に酩酊して判断が付かない。


「ああ、もう。良い雰囲気なのに。うるさいわね」


 唐突に春野はそう言って、立ち上がった。そして周囲をあちこち見渡しているかと思えば、パチンと手と手を叩く。


「えっ……」


 俺は思わず、声を漏らした。なにせ春野が手を叩いた瞬間、秋音姿の春野が、もとの春野の姿になったからだ。


「ごめん、手を洗ってくるね」


 そう言って部屋を出る春野を、俺は凝視した。


 白のTシャツに、デニムのショートパンツ。長い黒髪は櫛で綺麗にとかされていて、シュシュで一つに結わえられていた。今日、初めて見る、春野。大好きで大好きで堪らない、春野だ。


 俺はすぐに起き上がり、春野の腕を握って引き止めた。


「きゃっ! ん……」


 そしてそのまま、春野にキスをした。


 今朝のキスとは全く違う。


 唇に伝わる感触は、確かに春野のものだった。

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