第27話 その後7月末まで

学校に復帰したが、もしも病院から連絡が来たら再入院で抗がん剤治療が始まる、ということで、学校でも頻繁にスマホをチェックしていた。


学校に戻って少し経ってから、気分が落ち込む期間があった。追加治療になるかも、という不安もあったが、それよりは、体力がなかなか回復しないことへの焦りなのか、原因はよくわからない。


そう考えるのは良くない、とわかっていても、ネガティブなことばかり考えてしまう。失ったものばかりを考える。


仕事はお休みしているので、お客様がゼロになってしまった、とか、学校の授業料でお金がなくなったのに、まだ何も身に付いてない、とか、はたまた子供産めなかったな、ということまで。


3ヶ月前は、命さえ助かれば贅沢はいわないと思ってたのに。


ただ疲れてたのかも。


それから、学校に復帰したら、ちょうど授業が、いくつかの科目で腫瘍やがん、婦人科疾患に入っていた。別に私のことがあってのタイムリーネタというわけではなく、カリキュラム上のことだ。


どうしても、マイナスの情報も入ってくる。

興味を持てる一方で、腫瘍の発生とか勉強していると、なんで私は癌になったんだろう。ホルモン依存性だったら、ホルモンを抑えるピルを飲んでおけば良かったのか、とかボケーと考えたり、生存率についてもマイナスに捉えてしまったりする。


実はこの記録を始めたのは、そんな最中。がん治療という自分の身に起きたことを書き出すことで気持ちを整理しようとしてた。


そして、学校には月末まで行き夏休みに入った。

病院からの連絡はなかったので、追加治療はなし。


天気も長い梅雨が終わり、暑い夏がやって来た。

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