第26話 退院後2週目
海の日連休が明けて、7月16日の診察日を迎えた。
10日ぶりの、がんセンター。
11日間過ごした慣れ親しんだ場所だ。
この時の診察が第1話の「追加治療はない可能性が高い。もしも追加治療となった場合は、今月中に連絡する」と言われた時。
ところで診察の時は、まず婦人科カウンターで受付をして、それから診察室の前の待ちエリアで待つことになる。
順番が来ると、診察室のドア横の画面『診察中』の欄に診察番号が映し出されると共に呼び出し音がなるのだが、これがドキッとする恐ろしい音なのだ。緊急地震速報の音もドキッとするが、あの類いの音。
これから検診の度にドキッとするのかも。そのうち慣れるのかなぁ。いや、検診そのものがドキドキなんだろうなぁ。
その次の日から学校に行ってみた。欠席届けは19日まで出していたが、出席日数もギリギリになっていたし、学校は普段は歩いて10分ちょっとの距離。リハビリにもちょうど良い。
出発してみたが、蒸し暑いし、なんか足元がフワフワする。信号も青点滅では、とても渡り切れそうもない。外の雑踏の中を歩くのが、こんなに疲れるなんて。20分かけて無事到着した。
リンパ浮腫のリスクを、抱えてる身なので、1時間半の授業中も意識して足を動かしたりして授業を受けてみた。大丈夫そうだ。
こんな感じで水、木、金と出席日数が危なそうな授業をチョイスして授業に出た。先生たちは「無理しないでね」と言ってくれるが、欠席限度の警告は届く。家にも届いたし、先生が「形式上こうなってしまうのですが…」と申し訳なさそうに、でも次々と持ってくるのだ。
木曜日、授業が始まる前に若い子が何人か私の机を囲んだ。そして、
「退院おめでとうございます。良く頑張りました!」と言ってプレゼントをくれた。
もう、おばちゃん泣いちゃったわよ!
元気が出るハーブティーとカップのセットだった。いろいろ考えて選んでくれたらしい。
他にも退院祝いを用意してくれた子、あたたかい言葉や、笑顔を向けてくれる子、みんな本当にやさしい。
大人のクラスメイトたちも、病気がわかってから、本当に力になってくれた。
鍼灸やマッサージで人のために尽くそうと思っている人達だから、こんなに皆、優しいのかなぁとも思う。
在学中に病気になってしまったことは悲劇だと思っていたけど、こんなに支えてもらえるなんて幸運だ。
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