第23話 入院10日目(手術後7日目)
私はNHKの朝ドラを観る人である。普段は録画したのを観ているが、入院中は暇なので、まずBSで7:30、本放送の8:00、再放送の12:45と3回観ることもあった。もっと言えば、BS7:15からの『おしん』も観ていた。
だいたい『おしん』が終わる頃、配膳の方がお茶を入れに来てくれて、『なつぞら』の本放送を観ながら朝食といった感じだった。
思えば、入院初日には「上げ膳据え膳で快適!」なんて言ってたが、時間になると食事が出され、独りで食べるという日々。精神的に良くないなーと考えさせられた。だから在宅医療ってありがたいだろなーと思った。
そう思いながらも、普通食に戻ってからは毎食完食した。正直あまり美味しくない時もあったが、今は食べて元気になるのが仕事だ。
この数日前だったか、食事が終わって、食器を廊下のワゴンに返しに行った時に近くの個室から、
「じゃあ何か食べたいものあるの?あるんだったら私買ってくるよ」と困り果てたような女性の声がした。
勝手な想像だけど、部屋の患者名から考えると、入院しているのは高齢の男性で、「こんなもの食べられない」とか言って、娘さんを困らせているようだった。
「気持ちはわかる!でも今は元気になるために頑張りましょう」と心の中で声をかけた。
でも、病院は工夫してくれてると思う。金曜日の昼は麺類で、土曜日の朝はパン、というように変化を付けていた。
前の週の金土は手術だったので食事はなかった。だからこの日の麺類の昼食は楽しみだった。
メニューは、つけ麺のうどんと春巻きという組み合わせだった。しっかりした味で美味しくいただいた。
そろそろ退院の準備をしないと。
図書室で借りていた本を返しに行った。この病院には図書室がある。医療系の本ばかりで難しいものが多いが、私は医療の専門学校生なので、欲しいけど高くて買えなかった本がシリーズであったりして、ラッキー!と思った。でも結局、コミュニティルームにあった赤川次郎さんや群ようこさんの本ばかり読んでた。
それから、医療保険の診断書の依頼をしに1階の受付へ。診断書を書くのは病理検査が出てからになるらしい。
あとやることは…
1階のカフェでクリームメロンソーダを飲むこと。
クリームソーダは子供の頃以来飲んでないが、前の日に友達と来たとき、メニューの写真が凄く美味しそうに見えて、明日飲みに来よう!と思ってたのである。
当たり前だが冷たい。アホか私は。手術後だというのに、こんな冷たいものを。
お腹が冷えないように、ゆーっくり飲んだ。
この日、夫が愛犬カールを私の実家へ迎えに行ってくれた。カールが大喜びしている画像が送られてきた。私も明日の今頃は家に帰ってる。
夜は本を全部返してしまったのでテレビを観た。なんだったか忘れたが面白くて、笑うとお腹が痛くて苦しみながら笑った。笑えるのはいいことだ!
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