第13話 いよいよ入院

私達夫婦には子供はいないが、2人で溺愛している愛犬カールがいる。入院翌日からは私の実家に預けることにしていた。


入院当日はカールも何かを察していたらしく、落ち着きのない様子だった。涙を堪えカールを留守番させて玄関を出た。犬友達である近所の奥様もちょうど出かけるところだった。数日前に病気のことを話していたので、「今から入院なんです。今カールとお別れしたところ…」と言ったとたん、涙が溢れ泣いてしまった。


病気が、わかってから、夫の前でも友達の前でも泣いてなかったのに、私の涙のセンサーはどうなっているんだ?


そして、夫の運転でがんセンターに着いた。入院受付はまるでホテルの受付でもしているような感じだった。私の病室は8階の個室。窓からは森と乗馬クラブが見えるのが嬉しかった。


少ししてから、主治医の先生との面談。病状と手術の説明があった。外来の時と主治医の先生が変わった。新しく主治医になった先生が手術も執刀し、今後の外来なども、この先生が担当してくださるとのことだった。


前回6月6日の時に「子宮頸部に何かある」と言われたことについて聞いてみると、ああ、そのことねって感じで、この位の年齢なら特に異常なことではないと考えられる、とのこと。ちょっとー心配したじゃないの! まあ良かったけど。

そして、 この時たーくさんの用紙に署名した。


そしてその後は、初めての病院食。美味しくて完食した。夫も病院内のコンビニでおにぎりとか買ってきて一緒に食べた。

午後は採血やフロアーの案内など。そして、旅館の女将のごとく看護師長が挨拶に来てくれた。…なんて思ったのは、この時はまだ旅行気分だったから。


姉からの様子をたずねるLINEに、「上げ膳据え膳で快適!」なんて能天気な返事をしていたことを思い出す。


それから、主治医の先生自ら病室に呼びに来てくれて内診の診察があった。診察室に入ると、看護師さんに「ちょっと診察手伝ってくれる? あ、もう患者さんは連れてきてる」なんて言ってたので、行動派の先生みたい。

この時も生理の出血は多い量で続いていて、内診の診察台の上でもドバッと出血してしまった。人生最後の生理の思い出だわ。

こんなに出血していても手術には問題ないらしい。


2日後に行われる手術は13:30からとのことだった。


こうして入院初日は過ぎていき、病院は21時消灯。あまり熟睡は出来なかった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る