第5話 全てを直すのが仕事

「......なに」


一階の昇降口の隣に位置する図書室

一部屋が小さく、本の種類はほとんどが勉強に使うような本だらけというところに高城さんを呼んだ


ちなみにもうお昼、12時頃であり、皆は弁当や、おにぎりを食べているだろう

高城さんも片手にお弁当を持っている



「単刀直入に言う。お前、援交してるか?」


「はぁ?あなたってそんな目で私を見ていたの?」


まぁそんな反応が帰ってくると思っていたが、ちょっと心に5ミリほどの穴が空いたようなそんな気分だ

...どんな気分だよ


「まぁそう言うな。ちゃんと証拠もある」


「っ......なら出してみなさいよ」


机を叩いて大声で言う高城さん

俺は冷静に言葉を選び、証拠の言葉を引き出そうとする


「......証拠の写真を見た」


「だから?そんなので勝手に決め付けないで。それじゃあ私はお昼食べるから」


「待った方が良いぞ」


「?」


高城さんの方を向き、近付いていく暁


「ちょ、ちょっと何よ......近付かないでくれる?」


高城さんの近くまできて、高城さんのカバンを見る

高城さんはその視線に気付いたのか、カバンを自分の後ろに隠す


「......まさか、見たの?」


「何をだ?」


「まさかあの写真を見たのっ!」


怒った

ちょっとミスをしたか

いや、危険な人生みちを歩むのであれば、強制にでも戻さなければ...


「......あの写真ってなんだ。その写真を見せてくれよ。それで見たかどうかを...」


「あなた、プライバシーのプの字も知らないのっ!?」


首元を掴まれる

そして、高城さんは少し涙目ながらも、怒ったまま叫ぶ


「私の事に口出ししないでっ!私の事は......ほっといてよ...」


そして、少し泣きながら図書室のドアを開ける

図書室に残された俺は、今の反応で確証を得た


「......そっか...んじゃあ、正さないとな...」


と呟くと、図書室の窓から涼しい風が当たるのであった



______



皆が大広間の畳の所でトランプをやっているらしい

...高城さんは居ないが。

その間にお昼に食べられなかった弁当を食べようと一人で大広間のソファーエリアと呼ばれる所でご飯を食べようと思ったら、天使さんが話し掛けてきた


「あれ?暁君、こんなところでご飯食べるんですか?」


「え、あぁ...うん。お昼食べられなかったからね」


と、言いつつ弁当を開ける

すると、ご飯に小さいハンバーグ。

卵焼きにソーセージ等々、沢山の具材が顔を出す


「うわぁっ!凄い......美味しそうだなぁ...」


「良かったら一個食べておきます?」


「えっ!」


天使さんがキラキラした目でこっちを見る

そんな天使さんを見ると全部あげようかなと思ってしまったり...


「あ、でも全部食べちゃっていいですよ?私はほら......お腹いっぱいですし......ね?」


ということなので全部食べることになった

すると、天使さんが聞いてくる



「そういえば、お昼何処に居たんです?折角私の名前分かったかなーって聞こうと思ったんですが...」


「お昼は図書室に居たよ。あと君の名前を知らない。本当にどこかで会ったりしたか?」


疑問をぶつけてみる

名前を知っていると言うのであれば、どこかで会うか、テレビや新聞で名前を見たかと、記憶に残っていると思うんだが...


「んー......どうでしょうねっ?」


人差し指を顎に置いて考え込む天使さん

その事を気にせず、ご飯を掻き込み、弁当を食べ終わる


「あ、そういえば...」


天使さんが思い出したかのようにその場を仕切る


「暁君は私の事を、確実に知ってるはずですし、人を救うことも出来ますっ!」


「......最後の人を救うって必要か?」


「だって、困ってますよね?」


なんだ、この天使さんはエスパーなのか?

まぁ正解だ。

高城さんが援交しているのは本人の反応から確実にしている

そのままどんどんと下に堕ちると、取り返しの付かない物事になる

だからこそ、どう助けるか困っていた


「ふふっ、それじゃあヒントをあげましょう」


胸を張って手を腰に当てる天使さん

俺にとってはベストヒットだと思います撮っていいですか


「......ヒントって...?」


「...高城さんは、お金が欲しい訳じゃないんですよ」


「お金...以外...」


お金以外で援交する理由か......

...なんだろうか


「ふふっ、戸惑ってますねー!」


「いや、戸惑うでしょ」


「まぁいいや。それじゃあ、高城さんの事を救ってねっ」


そう言って皆のところへ行く

お金以外......か

......高城さんは確かお父さんが大手会社の社長か...

お母さんもその秘書だったっけか...


「......寂しさ...か......っ!」


そうか

高城さんはお父さんやお母さんに会えないから...


「だからって......危険な方を選択したのか」


なら、もうやる事はわかった

次の段階に行くか...


そう言って、携帯電話を出す

そして、どこかに電話を掛けるのであった



――――――



「寂しいか?」


家に帰った後、妹の美也みやに聞いてみる

お母さんと俺が居ないお家の中で、どう思うか。

もしかしたら高城さんと同じことを思っているかもしれない

要は高城さんが思っていることが分かるということだ



「......一人、怖い。寂しい...だよねニャアニャア...」


にゃぁー。と猫が鳴く

ぬいぐるみみたいに抱いているが苦しくないだろうか......

まぁ、それよりもこれで高城さんの思っていることはわかったな


「よし......それじゃあ、仕事しますか.........」


何故か違和感がある

...何で違和感を抱いているんだ...?


今日の出来事を思い返す

……………あっ

天使さんはなんで、高城さんのこと言ってないのに……


「高城さんで困っていると分かったんだ...?」


一言も高城さんとは言っていなかったのになぁ…


ますます彼女への謎が深まった1日になった

本当に、あの天使は、何者なのだろう…


第5話 全てを直すのが仕事―――




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