危険な道を歩む少女

第4話 彼女は危険な人生を行く


「......おはよう」


次の日、センターに行くと高城さんがいたので、一応挨拶だけでもしておく

すると、高城さんは読んでいた小説を一度閉じ、こちらに向く


「...なに」


「いや、挨拶だけでもと。朝は挨拶からって聞いたこと無いのか...?」


「いいえ。別にそんなことは聞いてないわ」


なんだこいつ

神埼と同じでめんどくさいタイプだな...?


「はぁ......まぁいいわ。でも一つだけ言っておくわ」


閉じていた小説を開き、続きから読む高城さん


「......なんだ」


「私とは付き合えないわよ?」

「分かりきってるから安心しろ」


「あら、そういう目的じゃないのね」


「......期待してたのか」


そう言うと高城さんが顔を赤らめ、少し慌てた様子で言う


「い、いや?そんなこと私は......思ってないからねっ!良いわねっ!」


「指を指すな」


高城さんは手を腰に当て、片方の手を俺の前に出して指を指す

その姿がちょっと可愛かったが残念だったな

今は天使さんあの子に惚れているんだ

俺を落とすならそれ相応の事をするんだな



「お、やっほー。暁!」


しばらくして神埼がドアを開け、こちらに向かってくる

高城さんは今のポーズから動けず、固まった様子である

どうやらこのようなポーズは他には見られたくないらしい



「......朝から青春か?」


「神埼、ちょっと喧嘩の為に出るか」


「...さ、散歩にしないか?喧嘩だとほら......学校側に伝わっちゃうだろ...?だからさ...話し合いでどうだ...?」


焦りを見せる神埼

まぁ今日はそんな気分ではない

だが一応威圧を掛けておく


「表出ろ」

「すいませんでしたー!」


勢いよく頭を下げる神埼

だか今日の俺の「表出ろ」は意味が違う



「神埼、行くぞ。散歩話し合いだ」


「え?あぁ.....おう...」


俺は、少し高城さんに少し落ち着く時間を与えるようにして神埼と一緒に大広間を出る



「っ......恥ずかしいわね...」


顔を少し赤らめ、席に戻る

......暁君か...


________




「ふぅん......朝にそんなことがあったのか。まぁ確かに高城さんは有名な大学に推薦されるほどの才能をお持ちだし...ねぇ?」


「まぁ......才能のある人材がセンターに集まってるんだからそうだろ」


校舎裏の小さな森を散歩コースに選んだ

意外と歩くには良いだろうな

今度来た時に誰か誘う......


「天使さんを誘うか......」


思わず声を出してしまう

それに気付いた神埼がニヤリと不気味な笑みをし、聞いてくる


「もしや...?」


「いや違うからなそんな訳ないだろう第一今まで恋をしたこと無いし恋に落ちるだなんてことは僕には一切合切なくてあとは...後は......」


顔には出さないが、分かりやすく動揺する

いや違うからな...?


「......まぁそれは良いとして、高城さんの事知りたいのか?」


「...いや、そういう訳じゃないが少し。異性として気になってる訳じゃない」


「というと?」


さっきの朝の出来事を思い出す

確かにあったんだ

開いていたカバンの中から少し見えていた“あれ”......



「......高城さんは...あいつは何か隠してないか?」


「高城さんが?まさか......秩序正しい雰囲気を出している高城さんだぞ?」


「...あったんだ...」


「何が?」


その場で止まり、校舎に視線を向ける

神埼は後ろで俺を見ている

そして、彼女の事を語った



「あいつ......危ない人生みちを渡ろうとしてるぞ」


高城さんのカバンにあったのは、高城さんの下着姿の写真だ

それも......ホテルで撮られたような写真だ

...まさかでも可能性はある

調べてみる必要があるし、道をやり直しさせなければならない時もある

......あいつのように...


「高城さんが......そうか...」


「......こんなの、前にもあったなぁ...」


上を向き、思い出すように目を瞑る


「...調べておくよ。後で連絡しとく」



そして、校舎に戻る為に歩く

神埼を置いていくように



______



「......また、使われる始末か...」


溜め息を吐き、その場を後にする

やっぱり暁は......


「まだ、気にしてるのかなぁ......赤木あかぎのこと...」


そんなことを呟きながらその場を去る神埼であった


______



「夏祭りってこの地域じゃ早いらしいね」


大広間に戻ると、神埼と俺以外の5人が何やら話している


「なんの話をしてるんだ...?」


取り仕切っていた新城に話を聞く


「あ、暁君っ!夏祭り行かない?っていう話っ!7月30日に祭りがあるから皆でさ、行こうよっ!」


「あぁ......良いな」


夏祭りにはたくさん人が来そうだな...

あまり人とは一緒に居たくない俺にとってはちょっとキツイ場所になるだろうが今年は違う


「ふふっ、暁君は行く?それとも、行かないの?」


天使さんが今年はいるのだ

なら、行くしか別の道は無いな

確定事項だ


「あぁ......んじゃあ行くか...」


「うん!夏祭りまでは......約1週間あるねっ!今の内にどの屋台に行くか決めようっ!」


「「おー!」」


新城はまとめ役としていい働きをしてるな

上出来だ


(......今の内に、天使さんの名前でも......っ)


一瞬、例の写真が頭の中を横切った

......やはり、判断を怠るなということなのか......

天使さんの名前を聞くのはまた今度にして、高城さんを...




「...救うか」


「ん?どうした暁」


勝ノ原かつのはらが聞いてくる

声に出してしまったか


「なんでもない......ここを頼むぞ。勝ノ原」


「お、おう...?」


勝ノ原にそう言いながら、高城さんの方に行く

そして肩に手を置き、言う


「後で図書室に来てくれ」


「えっ......」


高城さんは少し驚いた声をしていた

まさか......


(暁君から声を掛けられるとは......まさかあの事で...?!)



...とか思ってないだろうな



「...何の用なのかしら...」


誰にも聞こえないように呟く高城さん



俺は、彼女を救えるのだろうか...

また、赤木あいつみたいに終わるのだろうか......




第4話 彼女は危険な人生みちを行く____


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