第2話 説明の始まり

「......み、皆...?」


黒板の前に立った女性が少し戸惑う

すると、神埼が口を開き...


「いや、始めましょうっ!って言われても、何すれば分からないですよ...」


と、説明すると、その女性はなるほどというジェスチャーをし、皆に説明をし始める


「良いですか?ここは元々は教育センターでしたが、少し事情があり、閉鎖となりました。

しかし、設備は新しく、まだれっきとした活動も行っていません」


「ようは何かしらの活動をすればいいんだねっ」


3列目の一番窓側、天使が言う

そうだ。ここに集められたのはその活動をするためなのだ


「そうですねっ!皆さんがこの施設でやらないといけないのは、『思い出作り』です」


全員がざわつく

といっても俺を除いた6人だけだが...


「まぁ思い出と言っても、花火とかしとけば大丈夫ですよぉ。それで終わりだもんっ!簡単でしょ?」


簡単過ぎやしないか...?

と心の中で思うが、それだけならいいんだ

問題はここに集まっているメンバー達だ


「でも他にも皆さんにはミッションがあります!それは、自分の夢を見つけるということです」


「夢?...私達夢の無い人って学校側から指定されたの?」


次は窓側から2番目、1列目の席に座る女子が言った

確かに、神埼は目指してる夢とかないと言ってたし、夢が無い人材しかいないのかもな


「そうですね......学校側からここに入れてほしいと要望された......才能のある生徒達が皆さんです。

それに、夢を見つけなくても良いですし、皆さんには才能があります。

その才能を生かせれば人生は意外と良くなるものですし、楽しく夏休みを過ごせば夏休みの終わりには、ここから解放されますよ」


才能......ね

確かに誰かがそんなことを言っていた気がする

だが、実際はそんなことあるわけがない



「まぁ......とりあえず、皆さんこの施設のことまだ良く分からないでしょうし、周りの箇所も分からないでしょう。なので...」


「先生!」


神埼が手を挙げ、女性に対し言う


「先生の名前ってなんですか?」


「あっ!そういえば......ごほん。私の名前は茨木いばらき あきです。皆さん夏休みの間、宜しくお願いしますっと......それじゃあ、皆の自己紹介は、歩きながらやりましょうか」


皆が「はーい」と言って、大広間を出ていく

俺もその皆の後を追おうとした時、まだクラスに残っていた子が居た


「...おーい。行かなくていいのかー」


「あ、すぐ行くよ暁君」


......やっぱり、天使みたいな笑顔だ...

俺はあまり感情を顔に出さない

声も、心がこもってない声だと言われる

だが、この子みたいに活発な人になりたいんだよな


「それじゃあ行こっか♪」


「...うん」


そして、大広間を出て、外へと出る

この可愛い天使と一緒に



_______




「ここが校舎裏の森ですね。そんなに広くはないですが、迷わないようにしてくださいね」


茨木先生が周りを見ながら言う

すると、電話の音がする


「あ、先生の携帯です。えっと......電話に出るので、その間自己紹介でもしていてください」


と言い、少し離れたところで電話に出る

その間、自己紹介か......

まぁ名前は覚えといて損はない...か


「神埼、お前から自己紹介しろ」


「命令かよぉ......まぁいいや。俺の名前は神埼だ。下の名前はれんだ。宜しくね」


「神埼君かぁ......かっこいい名前だねぇ...」


隣でクスッと笑い、俺にしか聞こえないような音量で言う天使

名前はまだ聞いていないので、一応天使という名前を勝手に付けた


「じゃあ次は私ね。私は立花たちばな 結衣ゆいね。好きなものは...んじゃあスイーツで」


んじゃあとはなんだ......

立花さん......一見ギャルっぽい見た目をしているが、それと同時に清楚感を漂わせる

赤黒あかくろな髪は腰まで届いており、スタイルはまるでモデルだ

でも何故ギャルみたいな雰囲気が出てきているのだろうか......


「それじゃあ...次は......君で」


「え、俺......」


と、考えていると立花さんに指示をされる

仕方ない。自己紹介するか


「名前はあかつき れいだ。よろしく頼む」


と、次の自己紹介する人を差そうとすると神埼と俺以外の男子が言う


「んじゃあ俺もいいか?俺の名前は勝ノ原かつのはら りょくだ。よろしくなっ!」


......天使の名前が聞けると思ったんだがな

まぁいいか


それはともかく頼もしい雰囲気の出る男子だ

多分身長ではこの7人よりは一番高い

結構ガッツリとした体付きで、性格も悪くない

信頼できる友人になるだろう

だか髪の色が茶髪なのはなんか気に入らないな

黒髪にしてくれと頼むべきか......いや、そっちでいっか


「で、誰を指名するんだ?」


「あぁ...じゃあ...君で」


そう言って指したのは新城だ


「あ、えっと、私は新城 灯。暁君の幼馴染みなんだ♪」


「へぇ......そうだったのか。暁、ちゃんと教えておかないとダメだぞー」


おっと、神埼には新城が幼馴染みということを伝えていなかったな

失敬しました...



「んじゃあ、私でいいかしら?」


「あ、どうぞ...」


「ごほん...」


新城の隣に居た清楚な少女が言う


「私は高城たかしろ りんよ。よろしく」


高城さんか......

確か......窓側から2番目の1列目に座っていた子だ

スタイルが完璧で、長い黒髪は少し紫っぽく、目も同じような色で、全体紫みたいな感じだなぁ...

紫で覚えておこう......


「で......最後があなたですね」


「あ、そうだねぇ......私の名前は...」


ついに天使の名前が......!


「お待たせしましたー」


...茨木先生、もう少し電話しててください...

ふとそんな事を思いながら、先生の後を続く



「あ、神社だ」


すると、新城が指を指す

確かに、その奥には神社がある


「あぁ、校舎の裏の小さな森に、神社があると言ってましたね」


先生がメモ帳を出し、めページを捲る

すると、勝ノ原が小声で話し掛けてくる


「なぁ、あの神社って恋愛関係とか叶えてくれると思うか?」


「まぁ......あるんじゃないのか...」


心の込もってない声で言う

あるか無いかなんて分かる訳がない

去年もここに来たことはあるが、あの神社がどんなことを願ったら良いか分からないからな


「そうか......ふむ...」


勝ノ原は何か考え混んでいる

すると、先生が「注目ー!」と言うので先生の方を向く



「あの神社は置いときまして、一度皆さんに施設内を案内しますよー。トイレとか場所が分からない子とかもいると思うのでねっ」


と言いながら来た道を戻る先生

後に続く同級生達に俺も後を追う


そして校舎に戻り、校舎の案内をされた



第2話 説明の始まり



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る