第5話 台風直撃でも帰宅させてくれないお店

24時間営業のコンビニエンスストアは別だろうが、台風直撃の予報があれば大手のスーパーマーケットやチェーン店では台風が来る前にお店を閉店する。

それも早い時間帯に判断されている。

個人商店でも店主の判断でその日は営業をしなかったり。

最近はJRや私鉄、バスなどの公共交通機関も計画運休をしていたり。


それなのに!!

中途半端な中小企業の小売りやサービス業は台風直撃に対しての対応が遅かったり、まったく対応しなかったり。

台風直撃でも基本的には通常営業。

お店の周りに出している旗をしまい込み、店頭の商品什器を店内に入れての営業。

台風直撃でもお客さんは来るには来る。

しかし、お客さんに対して悪いが、それほど大した買い物はしない。

とりあえず開いてるから飲料でも買おうというレベル。

若くて本部に洗脳されている店長なら、台風直撃でも飲料1本でも買いに来られるお客さんがいるのであるから、店としての使命を果たしているとか思うようだ。

お客さんもコンビニエンスストアが近くにあればそこを利用するだろう。


災害が起こりそうな状態でも、本部の指示は「台風が通過する一番ひどい時間帯だけ一時的に閉店して、収まればまたお店を開けろ!」である。

一時的に閉店している時間帯に売り場の陳列変更を指示されたり。

台風直撃の日に商品納品があれば裏口だけで対応し、品出ししたり。

店長によっては本部からの一時的閉店の指示が出た時点で、パートやバイトを退勤させる人もいる。

お店を開けてもいないのにパートやバイトを何人も使っていたら人件費の無駄になるという理由で、決してパートやバイトの安全を考えている訳ではない。

徒歩や自転車で通うパートやバイトがほとんどで、その時点でも帰宅するには大変危険な状態だったり!!


数時間後、台風の中心が通過してもまだまだ暴風圏にあるにもかかわらず、本部からそろそろ店を開けろと連絡がくる。

パートやバイトを退勤させているから店の運営は残された社員だけでしなければならない。

元々シフト表では19時で退勤の社員も人員不足の為そのまま閉店まで勤務しなければならなくなる。

台風直撃の日でも店は22時や23時まで営業しているのに、本部の人々は18時になればさっさと退勤する。

店の看板が落ちかけていたり、店の前の木が折れているなど連絡しても本部には誰もいない。


やっと閉店時間になり残された社員が帰宅しようとしたとき、台風直撃の為公共交通機関が計画運休の時間帯に入っている。

帰りの電車がない。

駅前のタクシー乗り場では行列。

いろんな事情で電車に乗れなかった人達なのだろう。

1時間近くタクシーを待ち、ようやく乗車し帰宅。

いつもは電車を乗り継いで40分の通勤時間。もちろん通勤定期券。

しかし、タクシー代は1万円を超えている。

タクシー代は本部には請求できないようだ。

自腹で泣き寝入り。


これが中途半端な中小企業のチェーン店の台風直撃の日の現状。



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