第3話 最低賃金が改定されるたびにモチベーションが下がる従業員

ここ数年で最低賃金の改定が政府の指導により何度も行われている。

都道府県により格差はあるが、最低賃金は数年前に比べて100円以上あがっている。

最低賃金で働かなくてならないパートやバイトは100円上昇しようと最低賃金なのだから、仕事している価値に対して雇っている側は最低の評価しかされていない事や、物価の上昇や消費税増税を考えると嬉しくもなんともない。逆に悲しささえ覚える。

企業によっては最低賃金で採用してから何年働こうが一度も時給を上げない所もある。時給が上がる時は行政から最低賃金の改定指導があった時だけ。愛社精神も売り上げへのモチベーションも何もない。


最低賃金の改定は、資格などを保持し店舗でも責任のある業務についているパートにとってもモチベーションが下がる原因になっている。

なぜなら、最低賃金の改定で最低賃金のパートやバイトだけがこの数年で100円以上時間給が上がっているのに対して、元々最低賃金ではないパートの時間給が1円も賃上げされていない現状がある。

最低賃金ではない時間給で働くパートにとっては最低賃金の上昇と比例して自身の時間給も上昇するならば納得できるのだが、1円も上がらないのは自身の時間給が最低賃金に近づいている状況と同じである。

最低賃金のパートより高い時間給で働くことは、業務においてそれなりの価値を評価されてのことだが、その価値がだんだんと低くなってくる。

だから以前は土日祝日も夜間も店舗状況に合わせて融通を効かせて極力勤務していたが、最低賃金の人だけ時間給が上がり、こちらは1円も上がらないからそんなに店舗に協力的なシフトに入る必要もないだろうと思ったりしてしまう。


経営者は最低賃金の改定は望んでいないが行政により強制的にそうせざるを得ないから賃金を上昇させているだけだ。

店舗数や最低賃金で雇うパートやバイトの人数にも関係してくるが、中小企業の小売店でも最低賃金の改定でたったの25円上げねばならないとしても、年間で100万円や200万円の人件費はすぐに増えてしまう。

最低賃金の改定は強制的なものなので経営者は従わざるを得ないが、そのシワ寄せが元々最低賃金ではない有資格者などのパートの時間給が据え置きになり、また、正社員の定期昇給や賞与の額までも及んでいる。

そういう企業は誰もモチベーションが上がらない。

モチベーションが下がるばかりだ。

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