八人目 復讐は、一度始めたら終わらない

「おい、また三人殺されたらしいぞ…」

「うちの家内もやられたんだ、俺たちも武器を持たないと…先に殺られる!」


人気の少ない路地裏、二人の男がこそこそと話している。勿論、

「馬鹿だなあ、こんな路地裏、だあれも助けてはくれないのにね…」

風にのるような軽い口調で、死神は男達を見下ろしていた。そしてなにもない空間からを取り出した。キラリと暗闇に光る大鎌は不気味さを増し、死神の黒服は風に靡いていた。

「ああ、仕事の時間だ。」

時計を見ると死神はひらりと飛び降り、軽々と大鎌を振り回す。男たちはギョッとしたが、自衛ようのナイフを懐から出すと構える。

「構えが素人だ、素人がナイフを持っても近距離での戦いは流石に無理だよ」

大鎌を構えると、死神は一気に間合いを詰めた。腕、足、脇腹…急所を外しながらどんどんと切り裂いていく。当然素人にはどうしようもない為、簡単に切りつけられる。傷口からは色鮮やかな血が噴き出す。

「あっはは、ほら、痛いでしょう?止めを差してくれって、泣いて拝め」

言葉に似合わない程無邪気な笑いを見せる。男たちは痛みに顔を歪め

「これまでの遺体のほとんどにあった不思議なほどの量の傷、それは全部こいつに殺されたのか!!」

一人の男が怒りで顔を真っ赤にした。だが死神は余裕綽々よゆうしゃくしゃくにただ

「君たちが始めて気付いたよ、人間って馬鹿なんだねえ?そんな簡単なことも気付かず。そうだよ、私が殺した。最後に泣き叫ぶ奴がほとんどだった。いや、実に楽しいね」

子供がおもちゃで遊ぶように、彼にとっては武器を持った人間も、ただのおもちゃでしかないのだ。

「ふざけるな、人を遊ぶように殺しやがって…命をなんだと思ってる!」

ふーん、とでも言いたげに興味のない様子で彼らを見る。命かあ、と呟くように言うと

「命?そんなもの知ったこっちゃない。ただのそこに存在するための道具に過ぎないよ」

つまらない、と判断したのか大鎌を力一杯振る。鋭い一撃となり男二人の体は人形のようにドサッと崩れ落ち、地面には血溜りができる。死神は顔についた返り血を手で拭うと死体には目もくれず歩き出す。

「この世界では、もうすぐ革命が起こるよ」

ニヤリと笑って死神は黒服をひらりと翻して消えた。マジシャンが手品を見せたときのように、笑いを残して…

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