六人目 自分という殻を破って

「君は、

突然告げられた事実、しかもそれを伝えたのはよく知らない男性。秋谷響あきのやひびきには戸惑いの表情が伺えた。

「なっ、おじさん…俺を巻き込まないでよ…何故そんなことを言う!!」

歯ぎしりをして響は怒鳴る。あんなものを見せられたら、この男のことは信用しざるをえない。しかし、自分まで人間ではないと言われるのは失礼であり、そして受け入れたくはない事実だった。

「君は、何故自分が周りの人間から虐げられてるか疑問に思ったことはないかい?」

恐ろしい程静かに告げる男は、不気味だった。その目は響には向けられておらず、何処か遠くを…彼自身の記憶へと向けられていた。

「それは…勿論ある。何故俺なのか、突然俺が悪者にでもなると思っているのか…」

ははっ、と力無く笑う響には幼い頃からの大きな荷物を、誰かにもってもらったように、少しだけ、少しだけ軽くなったように見えた。

「君は、何も悪くないよ。」

ふっ、と鼻で笑い

「悪いのは、戦争を始めた

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