第4話 オリ・パラが危ない
2020夏季オリンピック・パラリンピック東京大会まで1年の7月24日、五輪で各種目のトップ3に贈られる金、銀、銅のメダルのデザインが発表されました。冒頭で「オリンピック・パラリンピック東京大会」と
オリンピックとパラリンピックを併記して表示するようになったのは、何を隠そう上記の大会関係者であり、マスコミだったんです。新聞は主語に14文字も費やし、放送局もたかだか1、2分のニュースで繰り返し繰り返し「同じ主語」を本音では歓迎しなかったのです。でも、「バリアフリー」や「ユニバーサル社会」が世界標準となる環境下では表立って反対もできず「オリ・パラ」という略語を作りました。
しかし、です。「渋川ゼミ」でも紹介したエピソードですが、1998年の長野冬季オリンピック時、オリンピック選手が着用した紺色のコートと同じデザインをパラリンピック選手には認めなかったのです。大会関係者であるJOCのお偉方が。当時の橋本龍太郎総理の「鶴の一声」で最終的に同一デザインに落ち着きましたが、もし同一デザインを「拒絶」したままの開催だったらとんでもない「差別」と追及されたに違いありません。ご存じの方も多いと思いますが、オリンピック憲章は「いかなる差別も禁じている」のですから。
で、2020大会についてもオリ・パラ併記は暗黙の了解だったはずです。ところが、〇〇日前イベントとか、ここに来てオリンピックとパラリンピックが別々に扱われるケースが目立ち始めました。メダルのデザイン発表もしかり。僅か2、3週間開催期間がずれるだけですよ。チケットの販売は申し込みの殺到や混乱が予想されるので、反対はしません。しかし、プレイベントの「分離開催」などには100のデメリットがあっても、1つのメリットもありません。これでは、オリンピック選手とパラリンピック選手の交流は叶いませんし、集客数にも雲泥のが生じるのは想像に難くありません。まるで健常者と障害者の分断を積極的に進めている感をがあります。
ちなみに、オリ・パラの大会組織委員会が月に4千万円以上の賃料を払って入居する虎ノ門ヒルズに掲げられているシンボルマークはオリンピックのみで、パラリンピックはありませんでした(2019年4月現在。2020年春には誰かの助言か、やっと併記に変わりました)。同時期、都庁には正面玄関を挟む形で1ヵ所、議会棟との渡り廊下にもう1ヵ所、オリ・パラ併記で掲示されていました。
オリ・パラの「共同開催」は「渋川ゼミ」ゼミ員の総意ですので、これからも訴えて行きます。みなさん、新国立の開会式でテニスの錦織 圭と国枝 慎吾、大坂 なおみと上地 結衣が並んで入場行進する姿、見てみたいと思いませんか。他の競技でもオリンピアンとパラリンピアンが「同じ画(え)」に収まる姿を想像してみて下さい。入場行進に時間がかかるなんてネガティブな理由は論外です。
たぶん後50年は東京開催の実現は保証できないのですから、「オリ・パラ共催」を世界に誇れる2020東京大会のレガシーにしてほしいと思います。ね、小池さん。
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