第111話 これが3号君の実力だ!

 空に放った3号君の火炎放射は、ジャイアントハニービー達をどんどん燃やしていく。


「は~っはっはっは! 空を飛んでいようと、火炎放射器でなら余裕なんだよ!」


 銃や大砲のような点の攻撃と違って、火炎放射器による攻撃はまさしく面の攻撃だ。空を飛んでいようと当てるのに苦労はしないぜ! おまけにジャイアントハニービーはデカいが故に狙いやすいし、デカいが故に小回りが効かないみたいだしな!


 3号君の火炎放射をあびたジャイアントハニービー達は、燃えながら次々に地面へと落下する。


 ただ、兵隊蜂どもは一応ランク4のモンスターだ。俺の火炎魔法のかかった火炎放射器の炎とはいえ、軽くあぶった程度じゃあ、そこまでのダメージじゃなかったようだな。とはいえ、その自慢の羽は使い物にならなくなっているようだがな!


 ジャイアントハニービー達は地面に焼き落とされながらも、その戦意はまだ消えないようだ。自らの足で立ち上がり、こちらを睨みつけてくる。表情筋の無い虫が睨むことはないって? 雰囲気だよ雰囲気!


 そして、地面に落ちたジャイアントハニービー達の群れに、ジンクの武装ゴーレムが突っ込んでいく。空を飛べなくなったジャイアントハニービーの強さは、もはやランク4とは言えないレベルだ。火傷の影響も考えれば、すでにランク3程度の実力も発揮できないだろうな。


 さて、それじゃあ新しいジンクの武装ゴーレムの力、見せてもらおうか!


 ぶしゃあ! ぐしゃあ! ばちん!


 うわ~、すげえなこりゃ。完全に一方的じゃんか。


 剣で、盾で、足で、ジンクの武装ゴーレムはジャイアントハニービー達の群れを軽く一蹴する。まさに鎧袖一触ってかんじだ。


 3mから4mへサイズアップしたジンクの武装ゴーレムは、間違いなく戦闘力があがっているな。ただ、まだサイズに慣れていないのか、少し無駄が多いって言うか、間合いの取り方に違和感を覚えるな。なんていうか、3mの頃の間合いで戦っているのか、凄く窮屈そうな間合いの取り方だ。


 戦闘距離が必要以上に近いせいか、ジンクの武装ゴーレムにジャイアントハニービー達の体液が結構派手についていく。これ、後で掃除するの面倒だぞ。っていうか、俺は掃除したくない。まあ、そのくらいジンク一人で出来るよな。


「ふう、サイズアップにはまだまだ慣れないが、このパワー、使いこなせれば大幅な戦力増強になるな。よしアイアン、次行くぞ!」

「ああ、わかったぜ」


 3号君の火炎放射器とジンクの武装ゴーレムの手によって、ジャイアントハニービー達の第1陣を退けた俺達は、ジャイアントハニービーの巣目指して進軍を再開する。


 いや待て、この死骸と体液がたっぷりの場所を、今から3号君で渡らないといけないのか? うげ~、これ、絶対履帯をはじめとした足回りが汚れるじゃん。


 後で俺が戦車だ! モードを使う可能性があることを考えると、虫の死骸とかで汚れたくないんだよな。


「どうしたアイアン? 3号君に不具合か? フェーズ1はスピードが大事だって言っただろ?」


 ああ~、しょうがねえ。後で奇麗に洗ってやるから我慢してくれよな3号君。


「今行くぜ!」


 俺はジンクの後を3号君で追う。今の戦闘でかなりの数のジャイアントハニービー達を倒したが、倒したのはあくまでも第1陣だ。虫の姿をしてはいるが、ジャイアントハニービーはランク4のモンスターだからな、そこそこ知能もある。いきなり正体不明の敵に総攻撃を仕掛けて、未知の攻撃で全滅するような真似はしちゃくれない。


 ジャイアントハニービーの巣からは、続々とジャイアントハニービー達が飛び出してくる。兵隊蜂だけじゃなくて、働き蜂達もいるな。あれが第2陣っていいたいところだけど、巣から離れてこちらに来る気配がない。つまり、次が最後、総力戦ってわけだな。


 さて、さっきの戦闘でこちらは手札として火炎放射器を出したわけだが、対抗する方法があるかな? お手並み拝見と行こうか!




 俺達はその後も前進を続ける。現在位置はジャイアントハニービーの巣から100mくらいか? すると、ジャイアントハニービー達が動き出した。


「アイアン、再度仕掛けてきたぞ! 火炎放射で焼き落とせ!」

「わかったぜジンク!」


 ジャイアントハニービー達は俺達へとさっきのように突っ込んでくる。と同時に、巣から強力な魔法の力を感じた。なるほど、女王蜂のより近くで戦うことで、女王蜂の補助魔法の効果をより強力にしようってわけか。


「いいぜ! お前らがより強力な補助魔法を使うってんなら、こっちはそれを上回る火力を出すだけだ!」


 3号君のコンプレッサーがうなりを上げて、火炎放射器用の燃料を勢いよく押し出す。そしてそこに俺自身の火炎放射魔法を加えることで、その破壊力を思いっきり上げる。


「は~っはっはっは! どうよこの火力! さっきより強力な炎だぜ! は~っはっはっは~!」


 俺は向かってくる蜂の群れたちに、炎のシャワーをプレゼントする。俺の火炎放射を食らったジャイアントハニービー達たちは空中で燃え上がり、そして墜落していく。


「待てアイアン! 落ちてこない奴らが多くいる!」

「何!?」


 マジだ。さっきみたいに空中で燃えて落下している奴らもいるが、その数は決して多くない。多くのジャイアントハニービーは燃えたまま空中に留まってやがる。


 どういうことだ? まさか女王蜂の強化魔法の影響で、俺の火炎放射でダメージが無いほど羽が頑丈になったってのか? んなバカな。ランク4のモンスターがそこまで強いはずがねえ!


 面白い、どんな小細工で俺の火炎放射を防いだかは知らないが、炎が虫に強いっていうのは、日本じゃ小学生でも知ってる常識なんだよ! その小細工ごと燃やし尽くしてやるぜ!




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